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少し時間は経ちましたが、手術の合併症が続きました。
尿管や膀胱を損傷してしまいました。
患者さんには、大変申し訳ありません。
幸いにして、後遺症が残るようなものではありませんが、
治るまでの間、患者さんには多大なご負担をかけてしまいます。
合併症は、一定の確率で起こり得ることは頭ではわかっているのですが、
外科系の医師としての自信が、根底から揺らぎます。
産婦人科医としての人生において、多分第二の苦境にいました。
こんな自分が、今後もopeをやる資格があるのだろうか。
「もう、辞めようかな・・・」
そんな気にもなります。
しかし、この産婦人科医不足の状況下で辞めてしまうことが、
本当に正しいと言えるのだろうか。
こんな時に相談できる人は、産婦人科の恩師・井上先生(仮名)です。
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<井上先生へ>
尿路損傷を続けてやってしまいました。
・・・・(合併症の詳細な説明)・・・・
正直なところ、産婦人科医を辞めたい、と思ってしまいます。
しかし空前の産婦人科医不足の今、自分が辞めることが
社会にとって、医局の一員として、正しいことなのでしょうか。
ここで逃げてはいけない、という思いもありますが、
続けるのだとしたら、どう気持ちを持って行ったらいいのでしょう。
悩んでおります。
<ななへ>
失敗を恐れていたら、人間は進歩しません。
偉そうなことを言っている僕が犯した過ちの数は、ななの比ではありません。
それでも僕が立ち直っているのは、同じ失敗を繰り返さないこと、
自分の経験を次の世代に伝えることが、使命であると解釈しているためです。
ななは、僕が誇る僕の後継者です。
もし産婦人科医を辞めるのだとしたら、共に働いたあの日々は
一体何だったのでしょう。
辞めるのは止めましょう。
・・・・(症例に関する詳細なアドバイス)・・・・
それぞれの症例には、少しずつ違いがあるはずです。
それを認識して、次に役立てましょう。
ななは次の世代を育てなくてはなりません。
それが僕の願いです。
立ち直らなくてよいのです。今のままでいて下さい。
<井上先生へ>
先生の言葉に、涙しております。
本当に本当に、ありがとうございます。
そうでしたね・・・似たような合併症ではありますが、
それぞれ違いがあります。
詳細に検討して、反省すべき点をもっと具体的に肝に銘じます。
後達を育てることは、井上先生になったつもりで頑張っています。
自分が若いドクターたちに執刀させる立場になって、
井上先生がいかに忍耐強かったか、今更ながら思い知っています。
前任地で遭遇した新生児仮死に次ぐ、産婦人科医としての人生の危機を迎えていますが、
こんな時に親身になって下さる師匠に出会えたことは、
何ものにも代えられない、大きな財産です。
この事態を見ている後輩たちに、そう話します。
そろそろ泣き止まないと外来に出られなくなるので、これで送信します。
敬愛する井上先生へ
<ななへ>
「敬」は要りませんよ。