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2008.02.07 18:01 |  診療  |  医療事故  |  なな  | 推薦数 : 77

福島県立大野病院事件に思う

平成18年2月18日、福島県立大野病院の産婦人科医、加藤先生が逮捕されて

もうすぐ2年経ちます。

平成16年12月、加藤先生は前置胎盤の妊婦さんの帝王切開を執刀されました。

手術中に、胎盤が子宮壁に強固に癒着していることが判明し、剥離の際に大量出血、

加藤先生と手術スタッフたちは、懸命の治療をしますが、

非常に悲しく残念なことに、産婦さんは亡くなりました。

 

まずは、亡くなった産婦さんに、心から哀悼の意を捧げます。

 

手術から1年2ヶ月の後、加藤先生は業務上過失致死等で、福島県警に逮捕されました。

手術から1年以上経っているのに「証拠隠滅の恐れあり」、

ご自宅では、臨月の奥様がお待ちになっているのに「逃亡の恐れあり」として、

在宅起訴ではない、逮捕でした。

 

逮捕には、100を超える医学系学会が、抗議声明を表明しました。

現在も裁判は続いており、証拠調べは終了、次回は論告求刑が予定されています。

 

裁判では、癒着胎盤の術前診断や、胎盤剥離にクーパーを使ったことの可否が争われていますが、 

何だか違う気がするのです。

この他に、ずっと思っていることがあります。

 

① 加藤先生は、出血に対する処置は、最終的には完遂しています。

  手術経過を見直してみましょう。

------------------------------------------------

    14:50 児娩出、濃厚赤血球5単位輸血

  16:30 濃厚赤血球10単位輸血し、子宮全摘開始

  17:30 濃厚赤血球10単位輸血、子宮全摘終了

  18:00頃 心室細動、蘇生開始

  19:01 死亡確認

------------------------------------------------ 

出血を止められず、輸血も間に合わずに、血圧が低下して死亡しているのであれば、

過失の有無が問題になるのも、まだわかります。

しかし、胎盤剥離に固執せずに子宮摘出に切り替えることによって、止血を得ており、

その後、心室細動が起こって、亡くなっているのです。

加藤先生に、あれ以上何をし得たでしょうか。

 

② 医療が介入していなかったら、母児共に救命し得なかったケースであることが、

 忘れられていないでしょうか。

 麻酔下でも剥離できなかった、前置胎盤・癒着胎盤です。

 しかし、医療が介入した結果、児だけは救命できました。

 「母児共に救命できない」ことと、「母児共に救命できる」ことの間には、大きな溝があります。

 医療が介入すれば、その大きな溝を一足飛びに埋めることができて当然、

 できなければ犯罪行為なのでしょうか。

 医学はまだまだ発展途上、不確実なものです。

 発展を追求する途上で、追求者たちが犯罪者として裁かれるのであれば、

 誰が医学を発展させて行けると言うのでしょうか。

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