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2007.11.10 14:45 |  診療  |  なな  | 推薦数 : 27

教授を尊敬する

私の所属する医局の教授は、非常に立派な方です。

 

大学医学部教授というと、イメージされる独特の姿があるかも知れません。

例えば数年前、作家・山崎豊子氏の名作「白い巨塔」がテレビドラマ化されていました。

その中で、教授・財前五郎の自宅には、

黒塗りの車が運転手つきでお迎えに来ていました。

当科の教授は、国産の大衆車をご自分で運転していらっしゃいます(笑)。

 

同じく「白い巨塔」では、例の大名行列さながらの教授回診の風景が描写されていました。

あのような回診をやっている大学病院は、今となっては少数派ですが

実はうちの大学、まだやっています。

週1回、教授を先頭に、医局員たちが行列について回って

粗相のないことだけに血道を上げながら、

患者さんのベッドサイドで、病状と治療状況を教授にプレゼンテーションします。

「白い巨塔」では、医局員が必死で、レントゲンフィルムを掲げて、専門用語でまくしたて、

教授はそれを鷹揚に聞きながら、返事をしたり指示を出したりします。

患者さんはそっちのけです。

しかし、我が尊敬する教授はちがいます。

医局員の必死のプレゼンテーションは同じですが、

教授は必ず患者さんの横に回って、患者さんの肩に手を置き、抱くようにしながら

医局員のプレゼンをお聞きになっています。

そしてプレゼンが終わると、必ず患者さんに

「治療は、おつらいですか。どうかお大事になさって下さい」

「もう少しで手術ですね。夜はお休みになれていますか」

などと、お声をおかけになります。

教授らしい、ちょっと天上人のような雰囲気のある先生ですが、

患者さんたちも、教授の回診は楽しみにしていらっしゃるようです。

 

言うまでもありませんが、非常に優秀な方です。

近年、いわゆる高齢妊娠の体外授精による双胎妊娠が増加しています。

高齢妊娠では、陣痛が長引き難産になるリスクが高いと言われています。

一方、双胎妊娠ではお腹が張りやすく、切迫早産になりやすいことが知られています。

この両者を合わせ、教授は

「では、高齢妊娠の場合は、双胎はむしろ難産のリスクを軽減させるファクターと考えられますか」

と、非常に斬新な視点から、研修医に向けた課題を下さったことがありました。

 

十数年前、研修医として胸ときめかせて医局に入った時、

教授が下さったお言葉集があります。

転勤と引越しを重ねた今でも、その一枚の紙は

自宅の壁に貼ってあります。

 

・ 医学はサイエンスでありアートであり、根底にはヒューマニズムが流れている

 

・ 一人の患者さんに出会ったら、その分成長できる医師であれ

 

・ 日々、小さなことを着実に継続する(=偉大な凡人)

 

・ 失敗より学べば、失敗は成功より意味がある

 

・ 知識なき経験は、経験なき知識に優る

 

教授を、心から尊敬しています。

幸せなことです。

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