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妊娠初期の血液検査で、HIVが陽性になることがあります。
一次検査で陽性になったことで、即HIV感染を意味するわけではありません。
1000人に3人くらいは「疑陽性」、つまり感染していないのに「陽性」となります。
さらにこのうち95%の方は、二次検査で陰性であることが判明します。
仮にHIV感染があっても、正しい治療をすればエイズ発症を予防できますし、
帝王切開にすれば、赤ちゃんに感染する可能性は0.5%と低率です。
以前は「死に至る病」だったエイズですが、
治療法の発展により、慢性疾患としての管理が可能になりました。
しかし、妊婦さんがHIV感染を知った時の心的負担は、依然として甚大です。
場合によっては、家庭も崩壊しかねません。
そんな厳しい体験をされた女性から、お手紙を頂戴しました。
「同じ体験をした人の、少しでも役に立ちたい」とのご意思から
私にお話し下さったそうです。
ご本人からのメッセージをお伝えします。
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まず最初に心配したことは「赤ちゃんはどうなるの?」でした。
拠点病院の先生は、丁寧に説明して下さったので、ちょっとほっとしましたが、
妊娠中はとにかく不安で不安でたまりませんでした。
自分がHIVに感染しているだけでもショックでしたが、
赤ちゃんにうつるかも知れない、と思うと、気が変になりそうでした。
赤ちゃんのために、自分ができることが何もないことに苦しみました。
私にできたのは、ただきちんと薬をのむことだけでした。
泣かない日は一日もありませんでした。
主人は最初に感染がわかった時、ひと言目に「産もうね」と言ってくれました。
検査は私だけ陽性、主人は陰性です。
相談して、感染のことは双方の両親にも話さないことにしました。
お産は帝王切開でした。
入院中は、感染を隠すために、すごい数の嘘をつきました。
助産師さんやカウンセラーの先生が、親身なって教えてくれました。
帝王切開になったのは、逆子だからということにしたし、
赤ちゃんにシロップをあげるのは、ミルクに足りない栄養をあげていることにしました。
いろんな嘘をつきながら、
何でこんなことになってしまったんだろう、何がいけなかったんだろう、と
悩みました。
本当だったら、赤ちゃんが生まれて、幸せいっぱいのはずの時なのに。
一番つらかったのは、母乳をあげられないことでした。
母乳が出ないからということにして、
おっぱいマッサージを教わるふりまでしました。
感染のことを知らない身内、特に主人の両親は、
いろんなことを言ってきたり、
「これをするとおっぱいが出る」というものを勧めたりしてきました。
でも、ひたすら耐えるしかありませんでした。
私だって、母乳をあげられるものならあげたいのに!!
子供は定期的に血液検査をしていますが、幸いなことに、全て陰性です。
でも半年過ぎるまでは、もし感染していたら、と思うと地獄でした。
いくら感染率が低いといっても、ゼロではありませんから。
子供のためにも、支えてくれた主人のためにも、
早く死ぬわけにはいきません。 (一部略)
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こちらは、拠点病院に勤務する医師から聞いた話です。
やはりHIVの二次検査が陽性だった妊婦さんがいらっしゃいました。
この方は、ご主人との間に修復できない亀裂が入ってしまい、
離婚、中絶という非常に悲しい体験をなさいました。
しかし、自分と同じ苦しみを味わう人を一人でも減らしたい、
感染の拡大を一人でも減らしたい、とお考えになり、
思い切って過去のパートナーたちに連絡して、検査を勧めました。
その結果、2人の感染者が見つかりました。
この女性の勇気によって、2人のひとの早期治療と
感染拡大の予防ができたそうです。