なな
More プロフィール

Search

Calendar

<< 2007/07 >>
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

トップページ

Doctors Blog

ブログの購読

新着コメント

  • 番外編
    • みんみん (11.21 16:56)
    • Doctor Takechan (11.20 23:45)
    • なな (11.19 20:13)
    • なな (11.19 20:02)
    • ききょう (11.18 06:23)
    • 患者 (11.15 23:17)
    • なな (11.14 08:16)
    • なな (11.14 08:12)
    • ナナ (11.11 16:20)
    • ナナ (11.11 16:18)

新着トラックバック

2007.07.19 18:57 |  診療  |  なな  | 推薦数 : 10

不妊治療にまつわる心の悩み

週1回、心と身体両方のケアに重点をおいた、”カウンセリング外来”を開いています。

女性特有の心身の悩み、

例えば月経関連障害、マタニティー・ブルース、更年期障害などの患者さんが主体で、

一人1時間くらいかけて、じっくりとお話をしています。

 

B子さんは、不妊治療からくる心の悩みを抱えて、カウンセリング外来にいらっしゃいました。

ご結婚されて約10年、これまでは仕事に夢中で、第一線でご活躍されていましたが、

ご主人の希望があり、妊娠を考えるようになったそうです。

段階を踏んで、不妊クリニックに通院するようになり、

体外授精を試みたのですが、

そこに至るまでに、筆舌に尽くしがたい心理的葛藤がありました。

何ごとにつけ、努力によって様々なものを手に入れて来たB子さんが、初めて直面した

「思うように妊娠しない」という事実。

「子供はまだ?」に代表される、周囲の無神経な言葉。

不妊治療中であることを、周囲に言えないつらさ。

治療の効果に高まる期待と、月経が来てしまった時の激しい落胆の繰り返し。

 

そして、B子さんの場合は、何よりも検査や治療によるストレスに苦しんでいました。

独特の雰囲気の待合室で長時間待つ間のいたたまれなさや、

診察に伴う痛みや羞恥心、

「でも、行かなくては」というご主人への思いからくる、葛藤。

 

しかし、そんな苦しい状態が長続きするはずがなく、

徐々にクリニックに行くこと自体が苦痛になってきました。

受診日が近づくと、イライラや不眠、怒りやすさが出現し、

クリニックの最寄の駅に来るだけで、過換気を起こすようになり、

日常生活にも、支障をきたすようになってしまいました。

そんな苦痛を圧して、やっとの思いで採卵をし、

グレードの高い受精卵(つまり妊娠しやすいもの)を得ることができたのですが、

いざ子宮に戻そうという日に、「どうしても無理!」と、行けなかったのだそうです。

 

受精卵は凍結保存してありますので、ひとまずの猶予はあります。

 

こんな時にはご主人のサポートが不可欠なのですが、

ご主人は、B子さんを責めてしまいました。

そして、あろうことか

子供をつくろうとしないのであれば、離婚する、と言い放ったのだそうです。

 

B子さんが、涙ながらに以上の経過をお話になって、ひとしきりしたところで

「子宮に戻すのを、よく思い留まりましたね」と言うと

B子さんは子供のように泣きじゃくっていました。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

不妊治療にまつわる心身の悩みを抱えて、カウンセリング外来にいらっしゃる方が、増えています。

患者さんによって、悩みの原因は様々ですが

ひとつの大きな原因は「他人からの言葉」のようです。

・ 子供はまだ?

・ ○○さんは○人目ですって

・ 孫の顔が見たい

・ ご主人はほしがらないの

・ 子供がいないと自由でいいわね

・ 仲が良すぎてもできないわよ

・ 大丈夫、すぐできるわよ

・ 治療しているの?

・ 子供はいいわよ

・ お参りに行ったら?、○○を食べたら?

不妊に悩む女性たちを傷つける言葉の、一例です。

 

また、日本では「女性は産み、育てる性である」という古典的価値観があり、

デリケートな女性たちが、子供がいないことによって

自責の念に苛まされやすい精神的土壌があります。

 

そして、不妊治療そのものによる、身体的、精神的、経済的、社会的負担と、

先が見えない閉塞感。

 

諸外国では、1980年代から不妊カウンセリングが法制化されていますが、

日本ではかなり立ち遅れています。

近年、学会組織の先導の下で、不妊カウンセラーが誕生しつつありまずが、

ニーズに対して、全く不足しているのが現状です。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

B子さんには今後、妊娠のことも含めて、丁寧なケアが必要です。

日本中のあちこにち、B子さんと同じような悩みを抱え、

他人に言えずに苦しんでいる女性が、いらっしゃるのではないでしょうか。

 

続きを読む

固定リンク | コメント (35)