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医学生時代の話です。
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ほとんどの人が、一人暮らしでした。
当時はまだ女子学生が少なかったこともあり、結束が固く、みんな仲良しでした。
お互いのアパートに行き来するのも日常茶飯事で、
同学年の女子学生はほぼ全員、お互いのアパートを知っていたと思います。
ある日の夜。
そろそろ寝ようかという時間に、玄関のチャイムが鳴りました。
誰かが突然遊びにくることも珍しくありませんでしたが、
それにしてもちょっと遅い時間です。
ドアの覗き穴から訪問者を見るのですが、顔を伏せていてわかりません。
「だれ?」 と聞くと、しばらく間があって
「・・・ななちゃん、ごめん、こんな時間に」
同級生のみっちゃん(仮名)でした。
泣いている目の上は、紫色に腫れあがり、
抜けた髪の毛が何本か、服についています。
よく見ると、寒いのに素足で、
上掛けの裾から、パジャマのズボンがのぞいています。
「どうしたの・・・?」
聞くと同時に、はっとしました。
同級生の彼氏Aと一緒に住んでいるみっちゃんは、
普段からAの暴力に悩んでいました。
明るいみっちゃんは、笑いながら
「昨日は壁に頭を打つけられちゃって〜 」 なんて言っていましたが、
かなりみんなで心配していました。
今日は相当派手にやられて、とうとう逃げてきたというわけです。
とにかく、みっちゃんをアパートに入れました。
お風呂を湧かして、
あったかいご飯を食べさせて、
2人で一緒に寝ました。
翌朝、みっちゃんをアパートまで送る時、
「みっちゃん、警察に行く?」
聞いてみましたが、
「ううん、いいの。」
暴力は、一度始まるとエスカレートします。
繰り返し暴力を振るわれていると、被害者の認知機能が歪んでしまい、
「自分は暴力を振るわれても仕方がない人間なのではないか」
という、間違った認識をするようになってしまいます。
加害者は、ひとしきり暴力を振るうと我に返り。
一転して平謝りします。
その後しばらく蜜月期が続き、
そのうちまた緊張が高まって、暴力を振るいます。
そして再び平謝りされると、
被害者は加害者を捨てることができないのです。
いわゆる「暴力のサイクル」というものですが、
今思うとみっちゃんの場合も、まさにこのようなDVの典型でした。
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あれから10余年。
先日、大学の同窓会名簿が送られて来ました。
みっちゃんの苗字が暴力男Aの苗字になっているのを見て、
名簿を床に落としそうになりました。