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Doctors Blog

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大学医局同期の沖田先生(仮名)から、以下のようなメールが来ました。

沖田先生は、基幹病院の産婦人科勤務医です。

私がブログを書いていることすら話していなかったのに、

ある日突然、「あれ、ななちゃんのブログ?」と言って来た、驚愕のお方です。

(注:「なな」には私の本名が入ります)

本人の許可をもらったので、公開します。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

当直中、開業医さんから夜中に電話がありました。

「順調に進行していたお産だけれど、赤ちゃんの心音が時々下がるので帝王切開にしたい。

しかし院長が不在なので、帝王切開ができない。

ついては貴院で帝王切開してくれないか」 という内容でした。

うちの病棟はその日すでに早剥(常位胎盤早期剥離)の緊急帝王切開も受けていて、

その患者さんの術後経過がもうひとつでした。

NICUも満床で、誰か調子の比較的よい赤ちゃんをGCUに移さないと入院は受けられません。

すなわち、「絶対に受けられないというわけではないが・・・」という状況でした。

救急車で来ても小一時間はかかる距離です。うちよりも近くに総合病院もあります。

うちに送ってもらって、それから帝王切開にしていたら、かなり遅くなってしまいます。

NICUの先生が常々

「胎児適応の帝王切開は時間が勝負なので、母体に問題がなければ、搬送元でオペしてもらう方が助かる。

児に問題があれば新生児搬送で構わない」

とおっしゃっていたのを思い出し、on callだった当科の副部長にも電話で相談した上で、

その旨と、「母児の状態が不良であればもう一度ご連絡下さい」と返事しました。

 

断られた病院側(多分バイトの医師でしょう)は、助産師相手にオペすればいいのに、

あちこち電話しまくった挙句、他県の病院でやっと搬送を受けてもらい帝王切開になりましたが、

結構時間がかかったせいなのか、新生児はNICU管理となりました。

入院後の経過は良好のようですが、

帝王切開が決定してからの対応に対して、家族が開業医の院長先生に抗議したらしく、

院長先生は当院が断ったのが悪いと言って、産婦人科部長に抗議してきました。

院長が不在でバックアップがいないような病院で当直するなら

一人で助産師相手に帝王切開する(開業医ではよくやるよね)か、

それが無理なら近隣のほかの開業医を確保して、緊急帝王切開に対応できるようにしておくのが

お産を取り扱う開業医の最低限の責任だと思います。

それができないなら、分娩を取り止めるべきだと思います。

なのに帝王切開に対応できなかった自分たちの責任は棚に挙げて、

搬送を断った病院に責任をなすりつけようというのはいかがなものか、と思いませんか。

他のスタッフも、同じような意見でした。

 

ところが、当科の部長だけは違いました。

「この件で当院スタッフは正しいことをしたと言い切れるのか?!

責任を取ろうとせずにたらい回しにしただけじゃないか!

これからはどういう理由であっても母体搬送は受けるようにしなさい!」とのたまいました。

そうは言っても、NICUが空いていない場合は現実的には搬送受け入れできないですし、

母体ベッドだって確保できないこともあります。

麻酔科やオペ室の問題でオペがすぐにできないこともありうる。

しかし、しかしです。 部長に言わせれば

「そんな問題は誰かが何とかしようと工夫したら何とかなるものだ。 すぐに諦めないで、全力を尽くすのだ!

そもそも、搬送依頼を断って何かあった場合は、断った病院にも賠償責任が生じる可能性があるのだから

よほど正当な理由がない限りは受けないといけないのだ。」

とのことでした。

副部長が

「そんなことを言っても、現場のスタッフにそこまで強制したら疲弊しきってしまって却って危険です。

そもそも周辺開業医が辞めているせいで、当院の分娩数は今年は1000件を超えそうな勢いで、

かつ帝王切開率が30%近い現状なのに、

これ以上母体搬送例を全例受け入れてしまったら、皆がもちません。

小児科だって、何とかギリギリのところで頑張ってもらっているのに、何でも受けるなんて言えません」

と諌めましたが、部長からは

「全例受け入れ。NICUに確認するまでもない」

というお達しが出たままです。

副部長からは

「現実的には全例受け入れは無理だから今まで通りの方針でいい。

断るべきは断って構いません。何があってもこちらで対応します」

という指示が別に出ているので、現場の混乱は最小限に収まっていますが、

今後はどうなるか、きな臭い状況です。

当院が「うちが断ったら他に行き場がない」という病院だったら意地でも受けざるを得ないかと思いますが、

近隣には他にも通常の搬送くらいは受けられる病院が2つあります。

それにスタッフが揃わないという理由で帝王切開にできない産婦人科開業医なんて

非常識としか言いようがないと思う。

そんなところの尻拭いまでしないといけないんじゃ、やってられません。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

部長先生と、その他の先生方との温度差は、明らかです。

部長先生の理想も、理解できないではありません。

しかしこのままでは、「産婦人科医、全員辞職」なんていうことになり兼ねません。

かと言って、どうやったらこの温度差を縮めることができるでしょう。

「ななちゃん、どう思う?」と結んでありましたが・・・

 

どう思う、って、どう思う、って、う~ん

沖田くん、やられる前に、逃げて~~!

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