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2007.05.15 23:11 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  なな  | 推薦数 : 48

内診禁止の現場から

看護師による内診禁止が再通達されて、1ヶ月がたちます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その晩は、お産が続けて3件ありました。
分娩室には、分娩台が2台あります。
1台では、産後2時間たたない褥婦さんが休んでいらっしゃって、
もう1台では、他の産婦さんが無事お産され、会陰縫合をしている、その時。
陣痛室にいる、分娩進行中の産婦さんから、ナース・コールです。
「何か、出ているんですけれど……」
ナースが陣痛室に向かって約5秒後、悲鳴に近い声が響きました。
「先生!!  早く!」
縫合を中断して飛んで行くと、既に赤ちゃんの頭が出ていました。
一瞬息をのみましたが、落ち着き払ったふりをして
「あらあら。じゃ、ここでお産しましょうね」
と、すぐに手袋を換えて、床上で赤ちゃんを娩出しようとしました。
しかし、全然出ません。
肩甲難産です。
赤ちゃんは首が絞まって、顔がみるみる紫色になってきます。
産婦さんは仰向けになっていますが、背中側に赤ちゃんを引っぱらないと、出ません。
座位にすると、膝が下向きになるので不利だし、
横向きだと充分足が開きません。
そこで、産婦さんの背中の下に、丸めた毛布をねじこんで、
無理やり骨盤高位にしました。
ナースに産婦さんの両膝を押し上げてもらい、私はありったけの力で赤ちゃんを引きながら
恥骨の真上を押しました。
それでも全然肩が出ないので、一旦手を放して、大きく深呼吸しました。
院長先生はご不在ですので、院内にいる医者は私1人、ナースは2人です。
気を取り直して、もう一度、渾身の力を込めて引くと、
何とか赤ちゃんが出ました。
疎血のため、躯幹は蒼白、顔は暗紫色で、ぐったりとしています。
「お願い、泣いて!」
赤ちゃんの背中や足底を思いっきりこすりながら、
「挿管」の2文字が頭に浮かびましたが、
赤ちゃんは泣いてくれました。

第一啼泣まで、3分かかっていいます。
それでも幸いにして、赤ちゃんはすぐに元気になってくれました。
しかし産婦さんには、一生の記念になるはずのお産なのに、
怖い思いをさせてしまいました。
当然産婦さんも私も、羊水まみれ・血まみれ・胎便まみれ。
分娩台にいた褥婦さんは、会陰縫合を中断したまま、お待たせしてしまいました。
ベッドはマットレスごと廃棄です。

私は2件の分娩にかかりきりでした。
ナースは2人ともベテランで、本当は内診ができます。
ナースが内診していれば、
分娩の進行が予想外に早いことを察知していれば、
同じ肩甲難産でもせめて分娩台の上であれば、
あんな修羅場にはならなかったはずです。

この産院では、厚遇で助産師を募集していますが、
ほとんど助産師のいない産院に入れば、大変な負担がかかることは目に見えていますので、
なかなか応募がありません。
言うまでもなく、産婦人科医も足りません。
では、分娩取り扱い、中止しますか?
そうしたら、年間800件のお産が宙に浮くことになります。

為政者に聞きたい。
何故、何の代替措置もないまま、看護師による内診を禁止したのですか。
現場の私たちに、どうしろと言うのですか。
あの赤ちゃんに何かあったら、私たちを罰するのでしょうが、
それで本当に再発が予防できるのですか。

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