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2007.04.05 21:12 |  診療  |  なな  | 推薦数 : 4

お産を振り返って、言葉を贈る

ひいよん先生のコメントからヒントを頂いて、「お産を振り返って」を始めてみました。
「あの時はこうだったね、ああだったね」と、産婦さんと一緒に振り返る作業です。
お産はお祝いごとですから、祝辞であり、医学的なアドバイスであり、
贈り物でもあるメッセージを伝えられたらいいな、と思いながら。


久美子さん(仮名)は、いわゆる高齢初産婦さんです。
お産に対する希望をしっかりと述べられる方で、
初診時から、会陰切開・陣痛促進剤・帝王切開はなるべくしないでほしい、とおっしゃっていました。
前医でこの希望を伝えたら、分娩予約を断わられてしまったとのこと。
確かに医者の目からみたら、敬遠されてしまうかも知れません。
しかし、よくお話ししてみると、
「どの希望も、赤ちゃんとママの安全があってのこと」という
最も大切な点は、きちんと理解して下さっています。
なので、うちの病院でお産をして頂くことにしました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
正直なところ、少し心配していましたが、
とても順調な、良いお産でしたね。
痛くて、いきみたくて、辛いのに、
冷静に助産師の誘導に従って、上手に陣痛を逃してくれましたので、
本当に会陰切開を入れずに済みました。
ちょっと切れてしまいましたけれど、切開よりはよほど小さい創です。
何よりも、久美子さんがきちんと希望を言って下さったことと、
それに応えることができたことを、とても嬉しく思っています。
久美子さんご自身が、妊娠中にしっかりと自己管理して下さった努力の、賜物です。
また、今後久美子さんくらいのご年齢で妊娠される女性は、増えて行くでしょう。
久美子さんのお産は、これからお産される、久美子さんと同い年くらいの産婦さんたちを、
励ますエピソードになるでしょう。
ご出産、おめでとうございました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


智恵子さん(仮名)は、双子ちゃんのママです。
智恵子さんもまた、遅い結婚の後、ARTでご妊娠された方です。
高齢初産、双胎、妊娠高血圧と、リスクがそろってしまいましたが、
いつも笑顔で、一切わがままを言わずに、
妊娠中の生活に関する指導を、きちっと守って下さいました。
もうすぐ臨月という頃に、破水してしまって、
緊急帝王切開になったのですが、
智恵子さんはその時も、笑顔でした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
降圧剤をのみながらの妊娠生活で、ご不安もあったでしょう。
後半はお腹が大きくて苦しくて、大変だったと思います。
帝王切開の予定日よりも前に突然破水しちゃって、驚きましたよね。
羊水がどんどん流れてご心配だったでしょうに、
落ち着いて、静かに我々の到着を待って下さって、ご立派でした。
個人的な話ですが、智恵子さんは私と同級生なんですね。
無事、2人のかわいい赤ちゃんをお産された同級生の姿は、
眩しいばかりです。
ご出産、おめでとうございました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


予想をはるかに上回る、産婦さんたちの感激ぶりに、
むしろ驚いています。

昨今の産科医療事情の下、私の言うことは、甘過ぎるのかも知れません。
でも、こんな時代だからこそ、産科医が甘いことを言うのもありかな、と思うのです。


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コメント

コメント一覧

いつも読ませていただいています。
心温かい視点にいつも癒されてます。

会陰切開・陣痛促進剤・帝王切開はなるべくしないでほしい・・・という妊婦さんの希望に対して、先生が説明してくださって、もしものときもありうるという場合、
「先生がそう判断されるならお願いします」
と言える信頼関係をなな先生は作ってくださってるんでしょうね。
今の世の中は、安全に対して合理化されすぎて、医者と患者のコミュニケーションが失われてしまったんではないかと思うことが多いです。なので、なな先生のような方がいらっしゃると救われる思いがします。
written by 1歳児の母 / 2007.04.06 08:39
私の言葉にヒントを得てというのは恐縮です。いやぁ、お恥ずかしい…。
そしてそれを実践してくださってとっても嬉しいです。ありがとうございます。

出産って本当にパニック状態だから、後からいくらでも記憶がいい記憶にも悪い記憶にもなるんですよね。信頼できる先生が、こうやってちゃんと見ていて下さっていることがわかれば、それだけでお産はいい記憶になって、「いいお産だった」と思えると思います。
私自身出産後、助産師さんと1時間くらいああだったね、こうだったねと話ができて、ようやく自分のちょと納得できなかったお産を「いいお産だった」と思える記憶に書き換えていくことができたのだと思います。
それも人と人とのコミュニケーションがなせる業ですよね。

メッセージをお一人ずつ伝えるのは大変でしょうが、このメッセージは産婦さんのこれからの育児にだって勇気を与えてくれるものだと思います。頑張ってくださいね。
written by ひいよん / 2007.04.06 23:16
1歳児の母さん、お久しぶりです。
他ならぬ、お産を経験された方にお褒め頂けることは
この上ない励ましになります。

>今の世の中は、安全に対して合理化されすぎて、医者と患者のコミュニケーションが失われてしまったんではないかと思うことが多いです。

その通りですね。
安全は、医療をやって行く上で最も大事なものと思っていましたが、
安全ばかりを追求していると、弊害が出てくるものなのかも知れません。
これを心に留めながら、でも安全を追求して行かないとなりませんね。
あ〜まだまだやることがいっぱい……(笑)



written by なな / 2007.04.07 03:40
ひいよん先生、こんにちは(笑)。

当該のコメントを頂戴した時、「これだ」と思いました。

>出産って本当にパニック状態だから、後からいくらでも記憶がいい記憶にも悪い記憶にもなるんですよね。

なるほど!
この視点も、私にはなかったものです。
なおさら、心してお産を振り返らないと(笑)。

この作業、始めて1ヶ月弱です。
もちろん、産婦さんたちに喜んでもらいたくて始めたことですが、
それにしても、こちらの期待以上に喜んだり、感激に涙してくれたりして、
毎日びっくりしています。
先生のおかげです。
うちの病院でお産した産婦さんと私に、幸せの素を下さったひいよん先生に、
深く感謝です。
ありがとうございます。
written by なな / 2007.04.07 03:52
なな先生

お久しぶりです。いつもいつもお疲れ様です。
眠る前にお水飲んでますか?

「お産のレビューを産科医師が産婦さんの気持ちを肯定的に受け止め、
褥婦のベッドサイドで優しく語らう。」
助産師として大変嬉しいお話でした。
私はお産の後、数時間で1回、時間が許せば
数日後に1回お話しするようにしています。

お産の現場でパニックに見えても
彼女たちの思考はかなり冷静で、
医療者の言葉を覚えています。
ですから心無い発言と捕らえられてしまう言葉などは
より強烈なのだと思います。
信頼関係も崩れるくらい彼女たちは聞いていますよね。

それだからこそ、振り返って、彼女たちの気持ちを
「そのままでよかったんです。」
「そのままだったからよかったんです。」
と肯定していくことが、私は大切だと思います。

そのお産がどんなに医療者側から見ても厳しいものであろうが、こちらの見解はどうだったろうが、
医療者の意見は隅において、出産が終わったことに対する彼女たちの気持ちを肯定する。
いい記憶にしてあげられるのはきっと「振り返り」
それと、「彼女たちを気にかけるという姿勢」だと思います。

今の産科事情だからこそ、一緒に振り返ることは
大事だと私は思います。

安全ばかりまたは安心ばかりを追求すると
危険を伴うと私も同感です。ですが、
お産の現場で、安心を与えられたとき、
安全に進行することが多いのも産科の醍醐味でしょうかねえ。

ではまた。
written by サンバ12号 / 2007.04.07 05:41
サンバ12号さん、こんにちは。
PCの向こうにいる同士の存在に、心が震えます。
また、産科医よりも長い時間を産婦さんと過ごす、助産師さんならではの視点に、
大切なことを教えてもらったという気持ちです。

>いい記憶にしてあげられるのはきっと「振り返り」

そうなんですね。
一度通り過ぎたことは、もう変え難いと思っていましたが、
そうではないのですね。
ああ、益々心してかからないと。

助産師と産科医は、本来こんなふうに話し合って、
同じ方向を見て医療をやっていくのが理想と思います。
でも、日本の国のトップの助産師と産婦人科医は
なんだかそうではないようで、残念な気持ちで見ています。
現場の我々は、しっかりしたパートナーシップを持って
やって行きたいですね。

是非またここに寄って下さい。


written by なな / 2007.04.07 23:01
なな先生、こんばんは。
先生が始めた事、とても素敵です!
いろんなリスクを抱えてお産を乗り越えた方への最高のプレゼントになります。

私がお世話になった院長先生は巷では「切るのが大好き」と噂の先生です。
一度目、41週になり子宮口がかなりの頑固さで開かなかったため切開することになり入院したのに陣痛が始まり、翌朝ようやく開き始めたのに「やはり帝王切開にしましょう」と言われ(・・;)
あーぁ、噂どおり切るのがお好きなのね…
ope台にのって終わるまで20分ちょっと。
さすがに手早いものでした。

何度も書いてますが、時間がかかった2回目、
退院の診察のとき、笑顔で「いやぁ、大変でした」という言葉からはじまった後日談。
ope時の様子を細かく説明してくださいました。
おかげで心に残るお産になりました。

個人病院ですが、診察の予約もお産の予約も混み合ってるようです。
先生のお人柄が口コミで広がっているのか。。
でも根強く「切るのがお好き」と言われています(笑)
written by mizuho / 2007.04.08 02:38
mizuhoさん、こんにちは。

mizuhoさんが大変なお産をされたところは、個人開業医の先生のところだったのですね。
そうすると、「切るのが好き」という院長先生の姿勢は、正しいものと思います。
人を集めやすい総合病院に比べて、
より安全な方針で固めないとならないのが、個人開業医です。

私の知っている「すぐ切る先生」も、開業される前は
NICUのある前線の病院で、ハイリスクのお産を何例も経験された上で、
ご自分の思うお産をなさっています。
安全第一、でも、アットホームなお産を目指したい、と考えると
mizuhoさんの先生のような姿勢がベストなのだと思います。
written by なな / 2007.04.09 20:14

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