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2007.03.09 21:39 |  診療  |  なな  | 推薦数 : 14

怒り

医者になってから、怒り心頭に達したことが、3回あります。

1回目は、医者ではなく医学生時代、解剖学実習の時です。
解剖学実習では、ご本人とご家族のご厚意で献体して下さったご遺体を解剖します。
学生4人1組のクループで、1人のご遺体での実習でした。
同じグループの中に、秀才を気取った男子学生がいました。
よく勉強していましたが、解剖がスムーズに進まないと、不満を口にするタイプです。
確かに、皮下脂肪の多いご遺体だと、メスがすぐに切れなくなるので、
やりにくい面はありました。
ずーっとブツブツ言っているので、うるさいな~と思うものの
自分の手先に夢中で、あまり気にしていませんでした。

が。
「全く、何考えてんだ、このご遺体は」
と、尖った接子の先で、ご遺体をぶつっと刺したのです。
見た瞬間、一気に涙があふれました。
怒るとか、許せないとか、そういうことではなく、
ただ、太めの静脈を切った時のように、ぶわっと涙があふれ返ったのです。
帽子にマスクですので、誰にも気づかれることはありませんでしたが、
女子更衣室に駆け込んで、しばらく涙を流していました。
怒り心頭に達した瞬間でした。


2回目は、大学病院に勤務していた時のことです。
大学病院は、診療機関であると同時に、教育機関でもあり、研究機関でもあります。
私のいた大学病院は、その中でも特に研究に力を入れている病院でした。
ところが私は臨床ばかりに力を入れ、研究には貢献できていなかったため、
たまにちらりちらりと小言を言われていました(気にしていませんでしたが)。

産婦人科外来に来た患者さんは、それぞれの研究テーマ別の専門外来にかかってもらって、
専門的な治療を受けると同時に、研究に協力して頂くこともあります。
その一方で、どの専門外来に行ってもらえばいいのか、
判断に迷う患者さんもいらっしゃいます。
多くの場合、「何となく調子が悪い」「更年期なのか、気分の変調がある」など、
治療のポイントがつかみにくい患者さんです。

元々女性のメンタル・ケアに興味のあった私は、
そういう患者さんを集めて、時間をかけてお話することを始めました。
これが思ったより好評で、患者さんは喜んで下さるし、
他の先生方も、専門外の上、つかみにくい患者さんを任せられると、
人気は上々でした。

ある日、医局の指導的立場にある先生とお話している時のことです。
「そういえば、なな先生のところに、不定愁訴の患者が集まっているらしいね。
 ま、研究にならない患者を診ることないよ」

頭が真っ白になりました。

研究に、ならない、患者は、診ることない、だと??

・・・もう二度と大学病院なんか戻りません。


3回目は、福島県立大野病院、加藤克彦先生の不当逮捕事件です。
逮捕から1年以上たちましたが、全く怒りはおさまりません。
何がそんなに腹ただしいのか。
ひと言では言えませんが、多くの普通の医者たちの良心を、
踏みにじる行為だからでしょう。

来週、第3回公判があります。
第1回、第2回公判と、検察官の言動に、怒りは増幅する一方です。

加藤先生とは全く面識もなく、福島県にはまるで無縁の、一人の産婦人科医の中に、
たぎるような怒りがあることを、
福島県警も、検察も、知る由はありませんが。


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