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患者さんにアドバイスをする時は、なるべく具体的なお話をするよう心がけています。
例えば、妊娠中の体重増加がオーバーペースになる妊婦さんには、
「体重を増やさないように、気をつけて下さい」と言うのではなく、
「次の健診までに、1.5kg増までに抑えて下さい。次の健診は4週間後ですから、
1週間に500g増えたら増えすぎですよ。そう思いながら、毎日体重計にのって下さいね」
という具合に。
内容的に優れたアドバイスであることよりは、
患者さんの心に響くような言い方をすることの方が、よい医療につながると思うのです。
しかし、未だに妙案が浮かばないのが、妊婦さんと煙草。
決して新しいことでもなければ、稀な話でもないこの局面で、
どうしたらいいのか、考えあぐねているのです。
妊婦さんの煙草への暴露が問題になるケースは、3通りあります。
1 ご家族(たいていの場合はご主人)が喫煙者
2 煙草の害を知っていながら、禁煙しようとしない妊婦さん
3 禁煙しなくては、と思いながら、止められない妊婦さん
1 ご家族が喫煙者
この場合は、一切手加減しません(笑)。
得てして妊婦さんご自身は、「頼むから自分のそばで煙草を吸わないでほしい」と思っていらっしゃいます。
ですので、特に喫煙者本人が一緒に受診に来ている場合は、容赦ない言葉を浴びせます。
「煙草は、全ての能力が低下します」
「まあ、妊婦さんのそばで煙草を吸うということは、赤ちゃんの顔にフーッと煙草の煙を吹きかけるのと、
おんなじですからねぇ」
「赤ちゃんに何かあった場合に、一生責任を感じることになりませんか」
という具合です。
2 禁煙しようとしない妊婦さん
赤ちゃんに対する煙草の害を知らないわけではないけれど、それでも煙草を止めない人がいます。
彼女たちの思考回路は、こんなところです。
「ちょっとくらいならいいんじゃない」
「吸わないと却ってストレスになって、赤ちゃんに悪いし」
「いろいろ書いてあるけど、私は大丈夫よ」
こういう妊婦さんたちに対しては、危機感を促すような話をします。
「赤ちゃんのいるお腹の環境を、お母さんが守ってあげなくて、誰が守ってあげられるんですか」
「赤ちゃんの細胞が酸欠になりますから、細胞が育たなくなります。赤ちゃんの頭の細胞が育たなかったら、
大変でしょう?」
あるいは、低出生体重児の写真を見せて、視覚に訴えることもあります。
3 いけないと思いながら、禁煙できない妊婦さん
このグループの妊婦さんたちは、大抵の場合、思いつめた表情で、煙草を止められずにいることを告白します。
「先生、実は私、煙草がやめられなくて・・・。赤ちゃんに、影響しますよね」
この場合、産婦人科医は、何と言ってあげられるでしょう?
まずは、思い切って相談してくれたことをねぎらいます。
そして、1日何本吸うのかお聞きして、こちらも真剣に捉えているのだという姿勢を見せます。
危機感を促して、絶対に止めるようにと言ったところで、
妊婦さんを心理的に追いつめるだけです。
「まず目標は、絶対に今の本数を増やさないことです。
これだけは守って。
そして、今日よりは明日、明日より明後日、という調子で
1本1本減らして行くことを目指しましょう。」
と、こんなことしか言えずにいるのですが・・・
妊婦さんと煙草。
患者さんの心に響くアドバイス。
未だに模索中の課題です。