なな
More プロフィール

Search

Calendar

<< 2006/12 >>
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

トップページ

Doctors Blog

ブログの購読

新着コメント

  • 無罪判決です!
    • 犬と猿 (08.28 14:59)
    • わんこ (08.28 10:05)
    • 鶴亀松五郎 (08.28 00:03)
    • K&R (08.27 21:12)
    • なな (08.27 17:36)
    • なな (08.27 17:26)
    • K&R (08.25 23:24)
    • K&R (08.25 23:11)
    • K&R (08.25 22:58)
    • みけ (08.25 17:45)

新着トラックバック

2006.12.21 21:47 |  診療  |  なな  | 推薦数 : 4

電話の向こうの、自宅分娩か。

深夜、当直室の電話が鳴りました。
深夜勤務の助産師さんからです。
どうやら陣痛が起きている妊婦さんからのようだけれど、名前や診察券の番号を聞いても片言の日本語で要領を得ない、ただ、かなり痛がっていて様子がおかしいので、ひとまず代わって下さい、とのことでした。

「お電話代わりました。産婦人科当直です」
「・・・看護師?」
「いえ、医師です。産婦人科医」
ここで、陣痛に耐えているらしい、絶叫が聞こえてきます。
しばし間を置いて
「痛みはおさまりましたか。お名前は?」
「デュ・・」
しばらく沈黙。
「お名前は?」
「・・・お腹、痛い」
また、陣痛らしい絶叫。
「うちの病院に来たことはありますか」
「はい」
「診察券、ありますか」
「・・・お腹、痛い」
また、絶叫。
「お腹に赤ちゃんがいるんですね」
「・・・はい」
「今、どこですか」
「・・・わからない」
「おうちの中ですか」
「はい」
「窓から、何が見えますか」
「・・・コンビニ。痛い痛い痛い痛い~~~!!」
まるで、間欠なく陣痛が来ているような痛がり方です。
「おさまりましたか」
「痛い!血が出てる!」
「いっぱい出ていますか」
ここで、電話が切れました。

すぐにナースステーションに行き、分娩予定の妊婦さんの名簿を開きました。
外国の方の名前がいくつかありますが、該当者は全くわかりません。
ここで、2度目の電話が来ました。
さっきの方のお友達と言っています。
「今、どんな状況ですか」
「赤ちゃん、出た」
「えっ?! お産になったんですか」
「んー。でも、泣かない」
「赤ちゃんはどのくらいの大きさですか」
「・・・」
「手のひらに乗るくらいですか」
「もっと大きい」
「背中か足の裏を、思い切りこすって下さい! 泣かないと、赤ちゃん死にますよ!
 それと、すぐに救急車を呼んで!」
ここで、心配そうに見ている助産師に、「警察に連絡して!」とメモ書きを渡しました。
「・・・お金、ない・・・」
「お金のことは、後で相談しましょう。赤ちゃんは? まだ泣かないですか?」
「うん・・・動かないね」
「お母さんは?」
「血がいっぱい」
「すぐに救急車に電話して!119番! じゃないと、お母さんも赤ちゃんも死にますよ。
赤ちゃんはタオルか毛布でくるんで。お母さんは意識ありますか?」
「ん~、ない」
「住所、わかりますか」
「OO・・・(病院と同じ地域です)」
「周りに家がありますね」
「ありますね」
「じゃ、大きな声で、助けを求めて下さい」
「・・・電池切れる。後で電話します」

その後、電話はかかってきませんでした。
あの陣痛のような叫びは、まちがいなく本物です。
こちらの推測が正しいのだとしたら、外国人の女性が妊娠し、恐らくどこにも健診に通わず、自宅で分娩したものではないかと思われます。
もし本当にそうだったとしたら、あの妊婦さんと、赤ちゃんは、どうなったでしょう。
日本が豊かだなんて、誰が言ったのでしょうね・・・


固定リンク | コメント (4) | トラックバック (0)