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1 妊婦さんが救急車で来た
朝、病院の近くまで来たところで、携帯が鳴りました。
ディスプレイには出たのは、病棟の直通電話の番号です。
出ると、師長さんからですが、電波が悪くてよく聞こえません。
「ななせ・・・・、にんぷ・・・・が、救急車で・・・・・・先生今どこ・・・」
どうやら 「妊婦さんが救急車で来ている、先生は今どこにいますか、早く来て下さい」
と言っているようでした。
どんな状態で救急車で来たのかわかりませんが、
とにかく急がなくちゃ!と思い、病院まで全力疾走しました。
病棟まで駆け上がると、スタッフたちはいつものように穏やかに笑っています。
「あれっ、妊婦さんが救急車で来たんじゃ・・・?」
聞いたら、臨月の妊婦さんの破水でした。
破水は、本人は驚きますが、危険なものではないので
あわてず入院の支度をして、来てもらえばいいものなのです。
でも、びっくりして救急車で来てしまったとのこと。
医者のサインがないと、救急隊の人が帰れないので、早く来てほしい、という電話だったようです。
拍子抜けしながらもほっとしてサインを済ませ、気を取り直して
「じゃ、破水の人を診察しましょう」 と言うと
「今、朝ごはん食べているから待って下さいって言ってます」 。
救急車で来て、朝ごはん・・・?
2 妊娠初期の破水?
当直中の真夜中、電話が鳴りました。
救急隊からです。 瞬時に目が覚めます。
「妊娠初期の妊婦さんの、破水です。受けて頂けますか」
妊娠初期の破水は非常に危険で、かなりの確率で流産につながります。
緊張しながら、いくつか質問をしました。
何週ですか、と聞いたら、わからないというので、
最終月経は、と聞くと、ついひと月半くらい前です。
この辺で不審に思い、本人に代わってもらいました。
「妊娠してから、どこか病院にかかりましたか」
「・・・いえ、まだです」
「妊娠検査薬で、自分で調べましたか」
「・・・いえ」
「今、お水のようなおりものが下りてますか?」
「はい」
「今、もう一度おりものの色を見てみて下さい」
(しばらく間があって)
「・・・すみません、お水じゃありません、血です・・・」
・・・遅れてきた、月経です、はい。
3 腹痛
これも救急隊からの連絡でした。
妊婦さんで、強い腹痛を訴えている、というのです。
無条件で受けました。
数分後、救急車が到着。
お腹を痛がる妊婦さんに、ご主人がつきそっていますが、どうも様子が変です。
非常に心配して、いてもたってもいられない、という感じはなく、
何だか悪いことでもしたように、下を向いています。
まずは診察すると、出血もなく、赤ちゃんは無事でした。
ほっとして、
「よかった。赤ちゃんは無事ですよ」 と言うと、
妊婦さん、「え~~、どうして~・・・?」 と、半べそ。
いったい何事? と思って話を聞くと、
お金がないので赤ちゃんを堕ろしたいのだけれど、
中絶手術を受けるお金もないので、ご主人が奥様のお腹を
バットで何回もたたいたとか。
お腹が痛くなってきて、あわてて救急車を呼んだのだそうです・・・