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ゴム手袋のアレルギーなので、手がぼろぼろなんです。
外科系の医者としては致命的かと思いましたが、
外科の教授が同じアレルギーだったこともあり、あまり深刻にならずに今日まで続けてきました。
opeだけではなく、お産の時も手袋ですので、アレルゲンへの暴露は結構な頻度です。
まず、細かい水疱が手の甲を中心に、指にも手首にもいっぱいできます。
痒みで目が覚めることもあるくらい、痒くなります。
手全体が浮腫んで、握りにくくなります。
水疱が破れる頃には落屑となって皮膚が剥け、今のように寒いとピシピシ切れて、血がにじみます。
そして治る前に、また手袋をするので、新たな水疱ができます。
見るも無残な手で、指輪が全然似合いません。
ちょっと、悲しい。
以前紹介したように、地方病院の産婦人科撤退を経験しました。
年単位の過去となりましたが、ぼろ雑巾のようになって働いていましたので、
当然体重が減りました。
いずれ元に戻るだろうと思って、当時の服もそのままとっておいたのですが、
未だに元に戻りません。
先日、福祉施設のバザー出品依頼があり、
緩くて着られなくなった服のうち、比較的新しいものを出しました。
中には、一度も着ていないものもありました。
お気に入りの洋服たちは、係りの人にひとつひとつ丁寧に吟味されて、
全部引き取られていきました。
私の代わりに誰かが着てくれるのは嬉しいことですが、
「本当は自分で着るはずだったのに・・・」。
ちょっと切ない気持ちでした。
医者になってから、幸せなクリスマスを過ごしたことがありません。
1年目は当直でした。
2年目は確か、子宮外妊娠の緊急opeでした。
3年目以降も当直だったり、大きなopeとその術後管理のため泊まり込んだり、
クリスマスもお正月もないような研究機関に在籍していたりと、
とにかく何かしていました。
いつだったか、恋人と過ごした年もありましたが、
彼も同じ産婦人科医で、2人ともその日をあけるためにへろへろになって働いていたため、
会って、シャンパンを数口飲んだところで、
2人ともダウンしてしまった覚えが(笑)。
そして十余年目になる今年も、12月23,25と当直です。
・・・あーあ。
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横浜市の堀病院で、「看護師が内診したのは、保健師・助産師・看護師法違反である」 として、
院長先生と看護師さんたちが、週明けに書類送検される見通しなのだそうです。
看護師による内診の可否に関しては、
日本産婦人科医会は 「助産行為にはあたらないので、保助看法違反ではない」 としている一方で、
厚生労働省の看護課長は 「助産行為にあたるので、保助看法違反である」 と、真反対の見解を示しています。
豊橋市でも同様の問題が起きており、既に検察の判断が下され、起訴猶予となりました。
この検察庁の判断に対して、日本産婦人科医会(http://www.jaog.or.jp/)から、
つい先日、以下のような声明が出されました。一部抜粋します。
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愛知県豊橋市竹内医師の起訴猶予裁定に対する
日本産婦人科医会の声明
平成18年11月10日、名古屋地方検察庁において、竹内稔弘医師に対する保健師助産師看護師法(保助看法)違反被疑事件について、起訴猶予とする裁定が行われた。今回の 起訴猶予の裁定は、科刑権を行使しないという点、並びに内診行為(子宮口開大や児頭の下降の計測)そのものについて健康被害の危険性が認められないと指摘している点につい ては、評価に値するものではある。しかし、当会は、本件を起訴猶予とした裁定は誤りであり、不起訴の裁定をすべきであったと考える。
当会は、医師が行う分娩介助に関して、看護師及び准看護師が、医師の指示のもとで診療の補助(保助看法5条、6条)として子宮口開大の計測や児頭下降度の計測を行うことは 、保助看法に違反しないことを主張してきた。
厚生労働省医政局看護課長は、平成14年11月14日付医政看発第1114001号、及び平成16年9月13日付医政看発第0913002号の各回答において、内診(子宮 口の開大、児頭の下降、頚管の熟化の判定)は、保助看法3条に規定する助産であるとの判断を示した。
そもそも、厚生労働省医政局看護課長の回答は、法規の性質を持つものでなく、看護課長の回答は、下級行政機関を拘束するが、一般国民に対して拘束力を持つものではない。ま た、裁判基準として用いられるものではない。
看護課長の回答は、審議会や検討会を経ることなく、あるいは日本医師会、日本産婦人科医会の見解を聴取することなく、発せられたものである。また、分娩医療機関が激減し、 助産師の絶対数が極端に不足、偏在している現況を十分に調査することなく、発せられたものである。
(以下略)
平成18年11月14日
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今回、堀先生と看護師さんたちが書類送検されるとなると、
警察は、この日本産婦人科医会からの声明を、ある意味無視することになります。
現場では、以下のような影響が出ています。
それまでは、経過が順調なお産であれば、医師は分娩時のみ立ち会えば済んでいました。
ですので、年間800件近いお産のある施設でも、当直しても多少の仮眠時間を取ることができました。
ところが、この問題が浮上し始めて以来、医師が数時間おきに内診して、カルテに記載するようになりました。
多分、産婦さんにも負担がかかっていると思います。
また、何人ものお産が同時に進行していることなど、日常茶飯事ですので、
当直はすなわちほぼ完全徹夜に変わりました。
当初はそれでも同じペースで当直していましたが、当然のことながら明らかに体調が悪化してきましたので、
当直を依頼されても、断らざるを得なくなりました。
そうしないと、日常業務に支障を来たしてしまいます。
私の他にも何人か非常勤がいる産院ですが、どの先生も状況は同じです。
その穴は、父親のような年齢の院長先生がうめています。
各職種の人を募集しているそうですが、院長先生は
「人が集まらなければ、(産院を)閉めるしかないね」 と言っています。
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患者さんに、死なれてしまったことがあります。
誓子さん(仮名)は、妊娠糖尿病の妊婦さんです。
近所のクリニックに健診に通っていたのですが、尿糖が続くため検査をしたところ、妊娠糖尿病と診断され、
総合病院受診を勧められて、紹介されていらっしゃいました。
食事療法と精査のため入院され、病棟では私が受け持つことになりました。
入院していらした時は、医療者に対して明らかに警戒していました。
前医で、かなり厳しいことを言われたためのようです。
妊娠前から太めの体型だったところに、妊娠してからの体重増加が標準ペースを上回っていました。
女性にとってはただでも気になるこの点を、厳しく指摘され、傷ついていました。
また、妊娠糖尿病ではあり得ることですが、赤ちゃんが標準より大きく、羊水も多めでした。
それだけならいいのですが、胎児奇形を伴うこともありますので、注意深く赤ちゃんを診る必要があります。
誓子さんの病識を促すためか、「赤ちゃんに異常があるかも知れない」と、シビアな説明がなされていたようです。
つまり、妊婦さんにとって、一番目と二番目に気になる点を厳しく言われたも同然ですので、
医療者に心を許せなくなってしまったのでしょう。
何を話しかけても、硬い表情で最小限のことしか答えてくれません。
どうしたら誓子さんの心をほぐせるだろう?
まずは、本当に赤ちゃんに異常があるかどうかを、確かめることにしました。
胎児エコーの専門家に、1時間くらいかけてじっくり診てもらったところ、
「確かに大きいし、羊水も多めだけれど、これといった異常は見つかりませんよ」
という返事が返って来ました。
少し誓子さんの表情が和らぎましたが、硬い態度は相変わらずでした。
そこで、毎日毎日しつこく胎児エコーをすることにしました。
誓子さんと一緒に、赤ちゃんのうつっているエコーの画面を見ながら説明しました。
これが頭で、これが手のひら。あ、今、子宮の壁を蹴りましたね。
毎日こんな会話をしていると、そのうち誓子さんもエコーがわかるようになってきて、
「あ~、今、口あけた!」などと、笑ってくれるようになりました。
誓子さんの態度がすっかり和らいでも、さらに毎日毎日エコーをしました。
この誓子さんとの穏やかな時間に、逆に私の方が癒されるようになってきた頃、
誓子さんは、大きな赤ちゃんを見事ご出産されました。
産褥1ヶ月健診で、誓子さんが言ってくれた言葉です。
「なな先生がいなかったら、きっと私、自殺していたと思います」。
目をうるませながらも笑顔で、一段と大きくなった赤ちゃんを抱いて、帰って行きました。
祥子さん(仮名)は、経過が順調な妊婦さんです。
それなのにいつも表情が暗く、妊婦さん特有のやわらかいオーラが感じられません。
当時勤務していた病院の外来は、非常に混んでいましたので、ゆっくりお話を聴く時間がないのですが、
あまりにも気になるので、すこしゆったりした雰囲気で、祥子さんが話しやすくなるように心がけていたら
少しずつ、身の上の話をしてくれるようになりました。
結婚を機に、一度も来たことのなかったこの土地に引っ越してきたこと、
ご主人はお仕事が忙しく、1日中ほとんど顔を合わせる時間もないばかりか、ひと言も話をしない日が続いていること、
小さいアパートの一部屋を借りて住んでいること、
この土地には当然友達もいなければ、街を歩いてもどこに何があるかもわからないこと、
実家や友達に電話をしても、胸の内を言えずにいること。
「毎日、朝起きてから夜寝るまで、どんなことをしていますか」とお聞きしたら、
朝、ご主人を送り出した後、一日のほとんどを狭いアパートの一室で、一人で過ごしているのだそうです。
誰とも口をきかない日も珍しくないようで、それでは気持ちが沈んでも当然です。
当時は私も未熟で、祥子さんの置かれた環境の厳しさを、正確に読み取ることができませんでした。
私のしたことは、ただ妊婦健診の回数をちょっと頻回にして、祥子さんが外に出かける機会を増やしたこと、だけ。
健診のたびに、祥子さんが話してくれる時間が長くなってきたので、むしろそれを嬉しく思っていました。
祥子さんが無事にお産された後は、経過が順調だったこともあり、祥子さんのことも忘れかけていました。
産褥1ヶ月健診で、祥子さんが言ってくれた言葉です。
「私の話を聞いてくれたのは、なな先生だけでした。先生がいなかったら、きっと自殺していたと思います」。
目をうるませていました。
そして、笑顔ではありませんでした。
その3ヶ月くらい後だったと思います。
祥子さんが赤ちゃんを置いて、電車に飛び込んだのは。
患者さんのペースに合わせる。
一生向き合うべき、重い課題です。
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朝、バスタブにお湯をたっぷり張って、つかります。
フルボトルのシャンパンをクーラーごとバスルームに持ちこんで、ラッパ飲み(笑)。
お風呂から出たら、普段はつけられない香水を、ひと噴き。
シャンパンはお気に入りのグラスに注いで、金色の泡をぼんやりと眺めつつ、
冷蔵庫からカットフルーツを出して、ひと口。
David Benoitのアルバムをかけながら、
切り花を適当にアレンジ。
眠くなったら途中でやめて、ひと眠りして、
目が覚めたらまた、フラワーアレンジメントを続行。
なんにもしない、休日です。
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たまには、こんな話でも(笑)。
産婦人科ですから、「赤ちゃんがほしい」と受診される方は、いっぱいいらっしゃいます。
そういう患者さん向けに、一式の標準的な検査が確立されています。
エコー、ホルモン検査、クラミジア検査、等等。
赤ちゃんができにくいカップルの場合、男性側に原因があることも半分くらいの割合でありますので、
男性の検査である「精液検査」も一式の中に含まれています。
精液検査は、精液の濃度などを診るものですので、一定の禁欲期間が必要です。
また、男性に来院してもらう必要はないため、大抵は患者さん本人(つまり奥様)が検体を持参して受診されます。
その検査のための患者さんがいらっしゃいました。
型通りの問診をした時。
「4日間以上の禁欲期間を持ちましたか」
「はい、私とは」
……え?
不妊カップルの事情は様々です。
初診なのに、最初から「人工授精希望」と問診票に書いている患者さんがいらっしゃいました。
人工授精とは、体外受精とはちがって、子宮の中にスポイトのようなもので精子を注入する方法です。
とにかく患者さんをお呼びして、事情を聞くことにしました。
すると、ご主人はED(勃起障害)とのことです。
それはさぞかしお悩みだろう、と、慎重に話を聞いていたら、
なんと
「でもそれは、私に対してだけなんです。相手がちがうと、性交を持てるんです」。
「……」
「生理がこない」と受診される方も、いっぱいいます。
10代の患者さんが、無月経を主訴に受診されました。
問診票を見ると、モデルさん並の身長・体重です。
これじゃ生理止まっちゃうよね、と思いながら診察室にお呼びすると、
入って来たのは、超美人!
街を歩いたら、きっと何人も振り返るにちがいない、というような。
しかし、体重が少ないこと以外に生理が止まる理由が潜んでいることもよくありますので、
時間をかけてお話を聞きました。
聞くと、お姉さんと2人暮らしで、
お姉さんと同じ男の人を好きになってしまったのだそうです。
お姉さんも同じくらい痩せていて、生理がなく、
その男の人に
「2人とも、生理がないだろう。病院に行きなさい」と言われて受診したのだそうです。
もちろんお姉さんも超美人でした。
……もおだめ。ついて行けない……
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うちの病院の看護師さん・助産師さんたちは、いけています。
看護師さんたち。
あんまりナース・ステーションにいません。
一体どこに行っちゃったんだろう、と不慣れな頃は探し回ったのですが、
患者さんたちのベッドサイドに行くと、まず見つかります。
丁寧に清拭していたり、時間をかけて足腰のマッサージをしていたり、
話し込んでいたりするのです。
さらに、勤務交代の時間になって引継ぎが終わると、
その丁寧な看護の内容をつぶさにカルテに記載するので、
みんななかなか帰りません。
一生懸命働けば働くほど大変になるのに、一生懸命働いています。
誰か一人、私のお嫁さんになってくれ(笑)。
助産師さんたち。
ずっと切迫早産で入院していた妊婦さんが、臨月に入って無事お産されました。
切迫早産は、ただ「お腹がはる」 というだけで基本的には健康な若い女性が
長期の入院安静をせざるを得ないものですので、
ご本人にとっては、大変なストレスだったと思います。
元気な赤ちゃんを抱いて退院するその日、私のところにあいさつに来てくれました。
笑顔でお礼を言ってくれていたところへ担当助産師がくると、
産婦さんは途端に目をうるませました。
感極まって、涙したのでしょう。
助産師が、如何に産婦さんをしっかりと支えていたかが伝わってくる、
心温まるエピソードでした。
このような職場は、往々にしてトップが優れているものです。
うちの師長。
不妊治療に通っている、とても手のかかる患者さんがいます。
元々デリケートな上、数回の流産を含む非常に辛い体験をされている方で、
メンタル・ケアに充分な時間を割く必要のある方です。
外来に来ると、毎回30分、1時間と話し込んで行かれます。
大学病院でこの患者さんを診ていた時のこと。
師長に渋い顔で
「なな先生、あの人、うちでお産するの?」 と聞かれました。
「多分うちでは産まないと思いますけれど」 と返事をすると、
大学病院の師長は、「そう、よかった」と、晴れ晴れとした笑顔を浮かべました。
手がかかるから看れないということでしょう。
一方、うちの師長は
「なな先生、あの人、うちで産んでくれるかな?」
「多分そうすると思いますけれど、どうしてですか?」
「だって、うちでなら看れるでしょう」
です。
ちなみに、ope室の師長もいけてます。
結果として赤ちゃんを救えなかった超緊急帝王切開の後、
ope室の床にへたり込んだ私の頭を、そっとなでてくれるような人です。
この好環境を思うと、まだまだ頑張れそうです。