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今日は、毒を吐きます。
<序の口>
その日も、外来は混んでいました。
恩師I先生の
「患者さんを待たせること即悪、ではない、
待った甲斐があった、と思わせる医療をやればいいのです」
という言葉を胸に、粛々と診療に当たっていました。
そこへ、出血とお腹の張りのある妊婦さんがきました。
急患ですので、すぐに診察室に呼びました。
妊婦さんに症状を聞いていると、診察室のドアをノックする音が。
こちらの返事を待たず、ドアが開けられ、
初老の女性が入って来ました。
何事かと思っていると、
「私の方が先です。先に診て下さい」。
状況を説明して、お待ち頂きましたが、
問診表を見ると、「65歳、癌検診希望」とありました。
急ぐ事情があったのかも知れませんが、
65歳の方のやることでしょうか?
<ミドル・レベル>
社会的地位のある某氏の、ご家族がいらっしゃいました。
順番通りにお呼びして、標準的な診療をし、
通常通りの説明をして、診療を終わりました。
約1時間後、まだ外来中でしたが、
受け付けのあたりから、穏やかではない男性の声が聞こえてきます。
聞くと、件の某氏ご本人が、先ほどの患者さんと一緒にお見えになっているとのこと。
他の患者さんをお待たせしていますので、お話は後にしたいところですが、
騒がしいのもなんなので、某氏とご家族をお呼びしました。
憤懣やる方なし、という形相で入って来た某氏は
開口一番、
「あんたは、当たり前の診療しかしなかったそうだな」。
(・・・は?)
「何故、それなりの扱いをしないんだっっ!」
(それなりって、それなりって、どういうこと??)
「普通の患者と同じ扱いじゃ、困るんだよ」
(患者さんは普通ですけど、あなたは異常ですな)
こんな調子でまくしたてるので、呆気にとられていると
「あんたじゃ話にならん。院長を呼べ、院長を」
こうなると、社会的地位のある人でもなければ知識人でもない、
ただのチンピラです。
早々にお引取り頂くのが一番。
心のこもらない謝罪をすると、満足して、帰って行きました。
<とどめ>
手術の予定を決めた患者さんから、電話がかかってきました。
手術の予定をずらして欲しい、と言います。
日にちも迫っており、その患者さんの病状に変化があるわけでもありませんので、
予約がいっぱいで変えられない旨お話ししたのですが、
なかなか納得してくれません。
理由は、どうしてもぬけられない仕事が入ってしまったとのこと。
仕事でぬけられない大変さは、よくわかるのですが。
では土日はどうか、その日の予定の手術が終わってからやってもらえないか、などと、無理な主張をしてきますが、
当然そんなわけにはいきません。
そこで、決めの脅し文句のつもりで、
「ご希望の日に手術を入れるとなると、他の患者さんやご家族、
うちの科と麻酔科の医者、ope室の看護師たちの予定も、
全てずらすことになりますよ」
と言ってみたのですが、なんと
「では、それでお願いします」。
ちなみにこの方、どうしてもだめとわかると、
大声で泣いて怒って、電話をたたき切りました。
医療崩壊、と言いますが、
崩壊しているのは医療でしょうか?