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2006.08.19 05:15 |  診療  |  仕事 / 職場  |  なな  | 推薦数 : 39

「お産の時、来て下さいますか?」

産婦人科医にとっては、殺し文句です。

 

健診のたびに顔を合わせて、おなじみになった妊婦さんに、

つぶらな瞳に、ちょっと不安の色を浮かべてこれを言われると、

ついうなづいてしまいます(笑)。

そうすると妊婦さんは、ほっとした表情になって

「よかった~!」と、喜んで下さいます。

 

カルテに、目立つように「入院時連絡下さい」と書いておくと、

その妊婦さんが陣痛や破水で入院すると、

助産師さんたちも心得ていて、休日でも夜中でも、連絡をくれます。

 

「お産は、担当医が立ち会う」。

理想的です。

出産は、一人の女性が生涯に1回か2回しか経験しない、わが子の誕生の瞬間です。

初めて顔を見る当直医に立ち会われるよりは、顔見知りの医師がいた方が、

いい記憶になるし、何より安心でしょう。

 

でも。

お産は、いつ始まるかわかりません。

妊娠37週から41週くらいまでの5週間、いつ病院に呼ばれてもいい状態で、日常生活を送っていないとなりません。

病院から1時間以上かかるところには行けないし、

携帯電話の電波が届かないといけないので、地下には行けないし、

お酒も飲めません。

誰かと食事をしていても「ひょっとしたら、病院に呼ばれるかも。呼ばれたらごめんね」と言いながら食事をし、

実際呼ばれて、相手を置いて行ってしまう、なんてことを繰り返していると、

誰も一緒に食事をしてくれなくなります(泣)。

つまり、1人の妊婦さんと、お産に立ち会う約束をするだけで5週間拘束されることになります。

これを、10人の妊婦さんと約束すると、どういうことになるか・・・

さらに、地方病院あたりで、年間数百件のお産を一人で抱えていらっしゃる一人医長の先生の生活は、一体・・・

 

それでも、お産の後

「先生が来て下さってよかった」となどと言われると、

懲りずに、次の妊婦さんのお産にも、駆けつけてしまう。

 

いつまでこういうの、続けられるかな・・・

 

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