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2006.08.06 05:30 |  その他(一般)  |  なな  | 推薦数 : 4

ある不眠の患者さん

60歳の女性・加奈子さん(仮名)が、不眠を主訴に受診されました。

常にだるく、疲れやすさもあり、更年期障害ではないかとお思いになって、

婦人科の中の、心身外来の方にいらっしゃいました。

 

更年期障害は、閉経前後における女性ホルモンの急激な減少によって起こると言われてています。

ですので、この方のように閉経して10年位経過してから出現したものは、

女性ホルモンが原因ではないことが考えられます。

 

初回の診療は、まず症状をよく聴くことに終始しました。

患者さんとのよい診療関係の基礎をつくり、次回以降の、患者さんのパーソナリティにより踏み込んだ診療につなげることが、

初回診療の目的です。

 

3回目くらいの診療で出た話です。

加奈子さんは、2人のお子さんは既に独立され、

引退したご主人と2人暮らしです。

ところが、ご主人は顔の一部に癌ができてしまい、骨の一部を取らざるを得ず、

そのため、硬いものが食べられなくなってしまったのだそうです。

ご主人の手術後約1年、加奈子さんはご主人のために

ミキサー食(ミキサーで流動食状にしたもの)を作り続け、

加奈子さん自身も、ご主人と一緒にミキサー食を食べつづけている、というのです。

曰く、

「本当はとんかつでも食べたいのですが、主人の手前、申し訳なくて食べられないし・・・」

 

不眠の原因は、明らかです。

ご主人思いで、真面目な加奈子さんは

やさしいがために、一人で苦しい症状に耐えていらしたのでしょう。

 

カウンセリングは、人生相談ではなく、アドバイスをする場でもありません。

受容的、共感的に話を聴いて、患者さんご本人の「気づき」を促すことが目的です。

丁寧にカウンセリングしながら、薬の力も借りて、徐々に症状が消失し、

約8ヵ月後、加奈子さんは終診になりました。

 

やさしい人の方が、生きにくい世の中になっているように思えてなりません。

 

 

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