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< 脳神経外科総会にゆく | メイン | 子育て奮闘中 >
2007.10.16 09:28 |  その他(一般)  |  kocchan  | 推薦数 : 0

未破裂動脈瘤

先週手術の手伝いをするために、ある病院へ出張した。

 私は、メスを握らない脳外科医なので、助手としてのお手伝いである。

このまえの脳外科総会の映像が仮想手術体験にはなったが、実際に目にするのは数年ぶりである。

手術は、前交通動脈動脈瘤である。

40代女性の未破裂症例である。

動脈瘤の向きが後ろなので、大脳半球間裂からアプローチするという。

未破裂とはいえ、Acomは破裂しやすいというし(大きさは5mmくらいか)、患者さんも術者もよく開頭手術を承諾したものだと思った。

手術は、順調にすすんではいったが、静脈が術野を邪魔する。はがしたり処理することで、約4時間を費やす。

やっと動脈瘤がみえたところで、クリッピング!。

未破裂だから、動脈瘤もしっかりしたもので、ブレブらしきものはみられず、すぐに破裂しそうな印象はない。 

しかし、中枢側のネックが、確保されておらずクリップが入りそうにない。奥のほうで癒着しておりはがす操作にはいる。ネックは、Acom側に癒着していたのだ。

すると突然「アッ」と術者の先生の声。

私がちょうど、目をはなしていた瞬間であった。

顕微鏡をみると、きれいだった術野は血の海と化す。

「サクションをもたせて」

そうか、こうなったら術者が2本のサクションをもってポイントで吸わなければいけないのだ。

数年ぶりの手術で、さらに数年ぶり術中破裂体験である。

昔のいやな記憶がよみがえりそうになる。

でも考えれてみれば、術中の破裂は破裂動脈瘤がほとんど。未破裂例のこのような体験は、わたしもはじめてかもしれない。

そんなことを考えつつ、久しぶりの緊張と手の振るえをおさえながら手がでない私。必死にポイントでサクションする術者。

破裂のポイントは動脈瘤ではなく、Acomそのものである。

動脈瘤のネックがさけたわけではなく、まったく関係のないAcomの動脈壁の薄くなったところが破裂したようであった。 

「サージセル」という指示で、それを術野にいれ、小さな綿片をさらにいれて圧迫。

さすがに術者はなれている。

数分の圧迫で、出血は止まった。

術野は血に染まったが、生食で洗いながし、もとの術野にもどってゆく。

出血部位は動脈瘤とは関係がないものの、クリップをかければ薄いAcomの壁にストレスがかかって裂けるかもしれないという危険性がでてきた。

どうしたらよいか

結局、コーティングを施すことになり、手術を終えた。

後味の悪い結果にはなったが、患者さんの術後の覚醒はよく後遺症もなく経過しているようである。

 

動脈瘤の手術は、何がおこるかわからない。

何が結局悪かったのか?

その後の検討会にも私は参加していないのでわからなかった。

「脳動脈瘤に一つとして同じかたちのものはない」とおっしゃる先生がいた。

「これはあの時のと同じだから・・・」と安易に軽くみてはいけないという。

「ここで破裂したらどうするか」という考えを常にもって手術するようにとかつて私を指導してくれた先生の言葉も思い出す。

 助手として、それなりの働きはほとんど何もできず術者の先生に心でわびながら、病院をあとにした。

 

未破裂の動脈瘤は、血管内塞栓術で対応することが多くなってきていると思っていたが、

静岡県内は、手術をする先生が多いようである。

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2年前、転んで頭を打った時、中大動脈瘤(1センチ以上)を発見され、DSA検査もしました。が、お医者様は詳しいことはなかなかおっしゃいません。セカンドオピニオンのかたも主治医にファックスしましたとしか言われませんでした。
以来、ネットをさまよい、うつ的になりました。
予防手術に成功された方の話にわたしは勇気がないなあとおもうことも多いですが、今回のような手術の実況を知ると、
本当にリスクのある手術なのだと知りました。
わかっていても、天命を待つしかないと改めて感じました。

written by エルモア / 2008.02.16 23:57
はじめまして、未破裂脳動脈瘤をもつものです。
2年前に転んで発見され、大きいので驚かれ、すぐ、DSA検査もされたのですが、手術は難しいらしく、今、まだ経過観察です。あまり、主治医にはきけないので、ネットで未破裂・・検索し続けています。

素人でよくわからいのですが、今回の場合、動脈瘤は破裂しないようになったのですか?

written by エルモア / 2008.02.17 00:13
コメントありがとうございます。
記事にあげた患者さんの予後は良好です。破裂の心配もないものと思います。ただ、脳外科医としては、クリッピングのほうがデータ的にも確実に破裂予防につながることはわかっているので、そちらにこだわるわけです。

私が、脳外科研修時代には、未破裂脳動脈瘤の手術は、多くの先生が手がけておられました。
今は、時代の変化とともに手がける先生は減少傾向です。
しかし、未破裂脳動脈瘤があるとわかりながら様子観察している患者さんは、多くのストレスをかかえていらっしゃるという報告がありますので、積極派の先生方はそれをもとに手術をすすめます。
また、積極派の先生方はそれなりに経験や腕をもっていらっしゃる方がほとんどです。

かつて私が未破裂の手術をしていたときは
大きな後遺症を残した方はおりませんが、ほとんどの方は手術創部の痛みや違和感を訴える方が多いので(患者さんはそれほど気にしていないようでもありますが・・・)「後遺症はまったくありません」と軽々しく口にはできないと思いました。
逆に、脳血管内手術ですとまったく症状がなしで手技を終えることが可能です。
すると期待は、そちらに向くわけですが・・・。

エルモアさんのような中大脳動脈瘤は残念ながら脳血管内手術の適応はないかもしれません。こちらの専門医の先生に質問したほうが良いかもしれませんが、この場所は、手技により手足の麻痺などの後遺症をのこす可能性があるとされているようです(4-5年前にそう聞いていました。)。

未破裂については、脳外科医も頭を悩ませるところです。
でも1cm以上の大きさだと・・・考えてしまいます・・・

written by kocchan / 2008.02.17 23:53
中途半端なコメントを2度送ってしましたが、わかりやすく説明していただき、少し、すっきりしました。手術後、後遺症がなくてよかったですね。
でも、本当に脳外科医の集中力は大変なものですね。
しかし、患者としてはさらに、医療技術が発達し、確実で安全な手術ができること切望してしまいます。

50台なかばの私にとって、死よりおそれるのは、重い後遺症ですね。神様からあたえられる試練を恐れています。

written by エルモア / 2008.02.20 00:24

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