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私の勤めている病院では、当直時間帯になると緊急検査ができない。
やるとしたら、オンコールで放射線技師やら検査技師の方に連絡をとらなくてはいけない。
しかも、彼らは病院の近くに住んでいるわけではないので、こちらにくるまで1時間もかかってくる職員もいる。
だから、三次救急患者や緊急処置の必要な患者は必要な検査をするまで時間がかかってしまう。
また、小児科がないことや内科では、「16歳未満の子供は診ない」とうたっているため、外科適応でも小児科的バックアップがない。
そんな問題点をかかえながらも、当直帯での問い合わせは、そんなことはおかまいなしである。
事情を理解してもらいながら、それでも近くの病院にかかりたいという患者さんやかかりつけの患者さんは診る。
かかりつけといっても、あちらこちらにかかってだれが「かかりつけ医」になっているのかわからない患者さんや、1年以上かかっていなくても、こちらを「かかりつけ医」に指定してしまう方もいるが・・・。
そんな対応をしながらの当直であるので、当直帯のストレスは大きい。
対応件数は、地域の救急当番制のおかげで少ないほうであるが、病棟もあるので寝当直とはなかなかゆかない。
でも、そんな当直であっても、朝晴れ渡った空に雪化粧の富士山があらわれたときは、疲れも一気に癒されるのである。
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妻が再びボランティアの仕事で不在となった。
10月9日より父子家庭である。
次男の幼稚園の送り迎えという仕事が入ってしまった。
10月は比較的忙しい月なのに・・・。
家庭のことで仕事に支障をきたしたくないと思うのだが、とりあえず問題なく日々クリアする。
この期間次男の幼稚園は、意外とイベントが多い。
遠足だとか参観日だとか・・・。
長男のゆく小学校もイベントがちょくちょくある。
次男には、母親不在のため淋しい思いをさせざるを得ない。
私も非常勤で手術の手伝いにも出かけるため、帰りがおそいこともある。
そうなると、カップめんやらインスタント食品で子供たちには生活してもらっている。
「でも、毎日ではないし、せいぜい週1回か2回くらいであるからまっいいか。」と勝手に自分を納得させている。
子供たちには飴と鞭でがんばってもらっている。
すでに2週間たとうとしているが、仕事のことより家のことで疲れ気味である。
今は、職場がやすらぎの場である。
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先週手術の手伝いをするために、ある病院へ出張した。
私は、メスを握らない脳外科医なので、助手としてのお手伝いである。
このまえの脳外科総会の映像が仮想手術体験にはなったが、実際に目にするのは数年ぶりである。
手術は、前交通動脈動脈瘤である。
40代女性の未破裂症例である。
動脈瘤の向きが後ろなので、大脳半球間裂からアプローチするという。
未破裂とはいえ、Acomは破裂しやすいというし(大きさは5mmくらいか)、患者さんも術者もよく開頭手術を承諾したものだと思った。
手術は、順調にすすんではいったが、静脈が術野を邪魔する。はがしたり処理することで、約4時間を費やす。
やっと動脈瘤がみえたところで、クリッピング!。
未破裂だから、動脈瘤もしっかりしたもので、ブレブらしきものはみられず、すぐに破裂しそうな印象はない。
しかし、中枢側のネックが、確保されておらずクリップが入りそうにない。奥のほうで癒着しておりはがす操作にはいる。ネックは、Acom側に癒着していたのだ。
すると突然「アッ」と術者の先生の声。
私がちょうど、目をはなしていた瞬間であった。
顕微鏡をみると、きれいだった術野は血の海と化す。
「サクションをもたせて」
そうか、こうなったら術者が2本のサクションをもってポイントで吸わなければいけないのだ。
数年ぶりの手術で、さらに数年ぶり術中破裂体験である。
昔のいやな記憶がよみがえりそうになる。
でも考えれてみれば、術中の破裂は破裂動脈瘤がほとんど。未破裂例のこのような体験は、わたしもはじめてかもしれない。
そんなことを考えつつ、久しぶりの緊張と手の振るえをおさえながら手がでない私。必死にポイントでサクションする術者。
破裂のポイントは動脈瘤ではなく、Acomそのものである。
動脈瘤のネックがさけたわけではなく、まったく関係のないAcomの動脈壁の薄くなったところが破裂したようであった。
「サージセル」という指示で、それを術野にいれ、小さな綿片をさらにいれて圧迫。
さすがに術者はなれている。
数分の圧迫で、出血は止まった。
術野は血に染まったが、生食で洗いながし、もとの術野にもどってゆく。
出血部位は動脈瘤とは関係がないものの、クリップをかければ薄いAcomの壁にストレスがかかって裂けるかもしれないという危険性がでてきた。
どうしたらよいか
結局、コーティングを施すことになり、手術を終えた。
後味の悪い結果にはなったが、患者さんの術後の覚醒はよく後遺症もなく経過しているようである。
動脈瘤の手術は、何がおこるかわからない。
何が結局悪かったのか?
その後の検討会にも私は参加していないのでわからなかった。
「脳動脈瘤に一つとして同じかたちのものはない」とおっしゃる先生がいた。
「これはあの時のと同じだから・・・」と安易に軽くみてはいけないという。
「ここで破裂したらどうするか」という考えを常にもって手術するようにとかつて私を指導してくれた先生の言葉も思い出す。
助手として、それなりの働きはほとんど何もできず術者の先生に心でわびながら、病院をあとにした。
未破裂の動脈瘤は、血管内塞栓術で対応することが多くなってきていると思っていたが、
静岡県内は、手術をする先生が多いようである。
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今では手術とほとんど縁がなくなった私だが、総会に参加した。
エキスパートの先生方や神の手をもつ言われる先生方の手術ビデオを午前午後にわたって見続けた。
「メスをにぎることはない」と思うのだが、手術の感覚くらいは頭に焼き付けておきたかったから。
そして、エキスパートの先生方が主張する手術のスタンダードを見たかったからである。
ひさしぶりにみる術野、手術もきれいである。
先生方の事細かな説明。
初心者にも本当にわかりやすく説明してくれる。
今の脳外科の先生方は恵まれていると思った。
でも脳外科をめざす若い先生は減っているという。
一昔前は、こんなところまで教えてくれるような学会の雰囲気はなかった。
というか、スタンダードな手技というものがなく、皆が試行錯誤の状態だったのかもしれない。
自分のやり方が一番良いと思っていた。
でも、今はだれもが認めるスタンダードな手技がある。
その存在事大がすばらしくもあり、恵まれているとも思った。
神の手をもつF先生がおしゃっていた。
「世界からみて日本には、手術をきれいにおこなう先生方が多い」 と。
それは日本の先生方が、良いものを柔軟にどんどん取り入れて、自分の手技に改良を加えていったからだという。
確かにいつまでも、古いオーソドックスな方法だけに固執してはいけないのだと思う。
自分のやり方が一番だといって誇る時代も終わった。
そんなことを感じながら、学会会場をあとにした。
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私が非常勤で月3-4回ゆく病院の脳外科の先生の話である。
以前にも紹介したように、相変わらずお一人で外来、入院診療および手術にいそしむ毎日をすごされている。
一人ではどうしても手が回らないことがいくつか発生してきており、こちらとしてもできるかぎりの手伝いをして帰る。
手術は好きな先生だから手術件数の多さはそれほどストレスにはならない様子。むしろ、手術している時間がもっとも安らぐという。
そんな気持ちも確かにわからないでもない。
問題は外来診療や各種書類作成やらレセプトチェックなど細々とした雑用である。
外来と入院診療指示だけで1日の仕事のほとんどが終わり、そのあとに雑用をやると、はやくても夜の10時以降にならなければ帰宅できない毎日だという。
これで、救急で呼ばれたり入院患者のことでさらに呼ばれたりして、手術にでもなれば眠れない1日になるという。
さすがに限界にきている様子。
ところがある日私の携帯電話にそこの先生から問い合わせがきた。
「Aという先生を知っていますか」と、
かつて私が所属していた医局の後輩の名前。
数年前に医局をでていったのだが?なぜ、この病院のことを知ったのか?
「そのA先生が来たいといっているのですが、どう思いますか?」
「いっしょに仕事したことはないのですが、うわさはよく聞いています」ということでお伝えした。
猫の手も借りたいというのが正直な気持ちで、とにかく来てもらおうと考えていた様子であったが、私の話を聞いてもう少し情報を集めて考えてみるということであった。
脳外科はチーム医療であるから、2人でやるにしても仲良くできなければ難しいところもある。
二人の部長がいるようになればパラメディカルの方々も苦労することになる。
仲たがいしていれば現場は混乱する。
単に人を集めれば良いというものでもない。
「冷静に考えてみる」といった先生の決断でよかったと思う。
よい先生がみつかれば良いのだが・・・。
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