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私の務める病院は、100床の規模とはいえこの地域の拠点病院として、重要な役割をはたしている。
周囲には、開業医の先生方が多く、有床診療所もあるが、最近は採算があわないためか、有床から無床診療所に経営転換すところが多くなっている。
そのためか、ベット稼働率がここ数ヶ月100%を超える日が続くようになってきた。
4月はやや緩み傾向であるが、去年は80%ー90%ほどの稼働率に比べる格段に違いである。
病院の経営は、やや上昇傾向ではあるが、そこで働いている勤務医の先生方は根をあげつつある。
ここは田舎で高齢者が多いため、内科の患者さんがどうしても増えてくる。しかも、高齢者は1人に1つの病気をもっていることなどほとんどないので、総合的にみる視点が大切である。
その点、開業医の先生がある程度カバーしてくれるとうれしいのだが、実際は、往診診療などで患者診察と限られたツールで多くのことを診断するのは難しいようである。
しかも、意識が悪いとなれば、内科よりは脳外科の医者に紹介すれば問題ないだろうとなりそうである。
先週、往診診療していた開業医の先生が患者を私のところに夕方頃に紹介してきた。「70歳女性、昨日まで歩いていた患者が、今日は歩けなくなったので脳卒中を疑うので診て欲しい」というのである。
以前、歩行障害で発症した脳梗塞患者をここで3人ほどみたので、ひょっとしたらと思い快く受けた。
患者さんは一人暮らしのため、救急車で来院。
ひとめみてびっくりしたのは、とにかく顔面もふくめた全身の浮腫。とくに、両下肢の浮腫がひどい。
血圧は正常だが、頻脈であり、熱が38度もある。
この時点で、すでに脳梗塞ということは消えて、内科疾患を考える。 少なくとも、腎臓かどこか悪いのではないかと考える、しかも、食事を本日の朝から食べていないという。
脱水もあるかもしれない。
レントゲンとCTと血液検査で、胸水貯留があること肝機能障害や貧血や脱水があることが判明。白血球も30000あり、CRP24にまで上昇している。
頭部は問題ないだろうと考えたら、水頭症がある。
歩行できなくなったのはこのためか?
造影CTをやってもあきらかな腫瘍影はない。特発性水頭症だったのか?話が、今ひとつかみあわないところがあり、軽い見当識障害もある。
なぞが残ったが、内科の先生にバトンタッチして腹部CTをとったら、S状結腸に大きな腫瘤があるという。さらに肝臓にも数箇所腫瘤をみとめる。
腹痛の訴えはないが、腹部には腫瘤が触れそこを押さえると痛いという。
内科から外科に相談がまわり、大腸がんではないかということになり、外科対応で手術になった。
現在、人工肛門がつくられ入院生活中である。外科の先生は、「あれだけのものがあれば痛かっただろうに」という。水頭症があったことで、本人の訴えも小さかったのかもしれない。おそらく、痛みは少なからずあり、食事もたいしたものは食べていなかったにちがいなかった。
病院にはほとんどかかったことがないというこの患者さん。
往診診療でみて判断するのは難しいのか?
開業医の先生も大変ではあるが、脳外科医に内科的初期診療をまかせるのはどうかと感じた。
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