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この田舎の病院に勤務して、今年4月でちょうど2年たった。
昨年10月にいっしょに赴任した先生が、退職してしまったので一人脳外科医の状態になって、約半年である。
脳外科の先生がもう一人いると身心ともにフリーな時間をつくることができた。しかし、一人体制になってからは、名目は休日であっても、携帯電話をつねにもって行動しなければいけなくなった。
昨年4月に開業した友人に久しぶりに会った時、「患者数が十分集まらないので、経営的には厳しい」ともらしていた。さらに少しでもこずかいかせぎのためにアルバイトをし、彼の奥さんは看護士なのでパートのアルバイトにでているということだった。
それでも、開業医になってよかったのは、「拘束されることがないので気が楽だ」という。つまり、フリーな時間がもてるというのである。
確かにそうかもしれない。
勤務医でいると、好きな趣味をもって生きることはほとんど難しくなる。というか、やろうとしても挫折することが多く、本人の意思にかかわらず中途半端に終わってしまうことが多い。そうでない方もいるかもしれないが、少なくとも私の場合はそうだった。
大学病院で勤務医でいる時代よりは、緩い生活ではあるが、拘束され具合は、ほとんど変わらない。ベットフリーにでもならなければ、まず難しいのである。
勤務医が過酷な労働時間から解放されることなどあるのだりろうかと思ってしまう。
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私の務める病院は、100床の規模とはいえこの地域の拠点病院として、重要な役割をはたしている。
周囲には、開業医の先生方が多く、有床診療所もあるが、最近は採算があわないためか、有床から無床診療所に経営転換すところが多くなっている。
そのためか、ベット稼働率がここ数ヶ月100%を超える日が続くようになってきた。
4月はやや緩み傾向であるが、去年は80%ー90%ほどの稼働率に比べる格段に違いである。
病院の経営は、やや上昇傾向ではあるが、そこで働いている勤務医の先生方は根をあげつつある。
ここは田舎で高齢者が多いため、内科の患者さんがどうしても増えてくる。しかも、高齢者は1人に1つの病気をもっていることなどほとんどないので、総合的にみる視点が大切である。
その点、開業医の先生がある程度カバーしてくれるとうれしいのだが、実際は、往診診療などで患者診察と限られたツールで多くのことを診断するのは難しいようである。
しかも、意識が悪いとなれば、内科よりは脳外科の医者に紹介すれば問題ないだろうとなりそうである。
先週、往診診療していた開業医の先生が患者を私のところに夕方頃に紹介してきた。「70歳女性、昨日まで歩いていた患者が、今日は歩けなくなったので脳卒中を疑うので診て欲しい」というのである。
以前、歩行障害で発症した脳梗塞患者をここで3人ほどみたので、ひょっとしたらと思い快く受けた。
患者さんは一人暮らしのため、救急車で来院。
ひとめみてびっくりしたのは、とにかく顔面もふくめた全身の浮腫。とくに、両下肢の浮腫がひどい。
血圧は正常だが、頻脈であり、熱が38度もある。
この時点で、すでに脳梗塞ということは消えて、内科疾患を考える。 少なくとも、腎臓かどこか悪いのではないかと考える、しかも、食事を本日の朝から食べていないという。
脱水もあるかもしれない。
レントゲンとCTと血液検査で、胸水貯留があること肝機能障害や貧血や脱水があることが判明。白血球も30000あり、CRP24にまで上昇している。
頭部は問題ないだろうと考えたら、水頭症がある。
歩行できなくなったのはこのためか?
造影CTをやってもあきらかな腫瘍影はない。特発性水頭症だったのか?話が、今ひとつかみあわないところがあり、軽い見当識障害もある。
なぞが残ったが、内科の先生にバトンタッチして腹部CTをとったら、S状結腸に大きな腫瘤があるという。さらに肝臓にも数箇所腫瘤をみとめる。
腹痛の訴えはないが、腹部には腫瘤が触れそこを押さえると痛いという。
内科から外科に相談がまわり、大腸がんではないかということになり、外科対応で手術になった。
現在、人工肛門がつくられ入院生活中である。外科の先生は、「あれだけのものがあれば痛かっただろうに」という。水頭症があったことで、本人の訴えも小さかったのかもしれない。おそらく、痛みは少なからずあり、食事もたいしたものは食べていなかったにちがいなかった。
病院にはほとんどかかったことがないというこの患者さん。
往診診療でみて判断するのは難しいのか?
開業医の先生も大変ではあるが、脳外科医に内科的初期診療をまかせるのはどうかと感じた。
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脳外科の外来をやっていると頭痛の患者さんが多いのはいうまでもないが、「頭痛が治らない、脳梗塞が心配できました」という患者さんが少なくない。
よくよく話をきくと、脳梗塞=くも膜下出血と思っている方や脳梗塞=脳出血と思っている方など様々である。
(職場の話をしない私の妻もわかっていない可能性がある)
頭痛を訴える人は、ほとんどといって頭部CTやらMRIを希望するので、必要ないとも言えず検査する。すると、当然ほとんど異常がないのである。
ごくまれに、脳腫瘍がみつかったり、脳出血がみつかるケースもある。しかし、脳梗塞がみつかることはほとんどない。
ところが、頭痛が主訴で実は脳梗塞だったのが過去3例ほど 経験がある。
4-5年前に調べたこともあるが、脳梗塞で頭痛を訴えることが30-40% あるという。以外に多いなと思った。
すべて脳梗塞が直接の原因とはいいきれないものの、後大脳動脈領域の梗塞で、後頭葉に浮腫が生じた場合にあるという。痛みの機転は、「小脳テントのあたりにあるのではないか」と推定されていたと思う。
私の経験した3例いずれも、 後大脳動脈領域の梗塞または血管炎のような症例である。いずれも、片頭痛または群発性頭痛と診断されており、トリプタン系薬剤を処方されて帰されていた症例が2例ほどあった。
まれな症例とは思うが、頭痛も奥が深いと思ったものである。
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地域の大病院(500床クラス)においては、あまりにも多くの患者が集中するため、紹介患者以外は受け付けない方針をとるようになってきた。または、満床を理由に患者も必要な患者以外はみない方針をとりはじめている。
私が大学の付属病院に勤務していたときのことを思いだしてみる。
大学病院で週2回の外来診療をやっていたときは、午前中だけでも 平均40名以上の患者さんをみなければいけなかった。午前9時からはじめて、ほとんど息つく暇もなく、11時30分終了の外来が、毎回13時すぎまでかかる。初診も再診もいっしょに一人でこなさなければいけないし、他科の依頼患者もみなければいけななかった。
初診の患者さんは予約なしで受け付けるが、予約患者さんを優先するので後回しになる。ときどきトラブルの原因にもなったが、予約患者さんを待たせるのはまずいということで、そのような方針をとった。単純計算で30分以内に10名の患者さんをこなすペースである。まさしく3分診療であるが、再診の患者さんならばこなせるのである。でも、実際は難しく、患者さん出入りの時間や話がちょっとでも長引くと11時30分は簡単に超えてゆく。
そして、予約なしの初診の患者さんになると、20分から30分くらい必要になるので、初診の患者さんが入ると午後に診療時間が食い込むことになる。
午後には、病棟の処置や検査や手術があるので、これだけは避けたいところだったが、かなり患者診療に無理があった。さほど大きなトラブルがなかったことが不思議なくらいである。
昼食は、午後1時すぎか2時ころ、検査があれば食事なしでそのまま検査へということもあった。しかも、時間がないので5分以内で食べることを要求されることが多く、それが美徳のようにすらなっていた。だから、早食いによる後遺症(逆流性食道炎)はいまだにのこっている。
そんなことを思えば、予約患者しかみないとすることは、当然の成り行きかもしれない。再診患者さんであっても、じっくりと患者さんの話に耳を傾ける時間があったほうがよい。
とにかく地域の大病院の先生方にはがんばって欲しいところである。
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「めまい」をみるのは耳鼻科の先生の役割と思うが、耳鼻科のない当院では、めまいといったら内科または脳外科が診る事になっている。とはいっても、内科医の先生は忙しいこともあり、ほとんどのめまいは私がみることになっている。
春の訪れとともに、ここ最近、めまいを訴える人が増えている。ほとんどは、良性発作性頭位変換性めまいであるが、よくよくみるといろんなめまいがあるものである。
現在、3人の方が入院しているが、一人はメニエール病、他の病院でも診断がついていて、聴覚症状も伴う。このかたは、発作時はほんとうに苦しそうであったが、入院して1日点滴をおこなったところスッーと軽快した。今日退院することになった。
もう一人は、おそらく 良性発作性頭位変換性めまいだろうとふんでいるかた。体を寝た状態から起こすとめまい、逆の状態で回転性のめまいが生じるという。安静にしていればまったく問題ないようである。
あまりによくならなくて、気持ちが高ぶって泣き出すこともあるので年齢も48歳だから更年期に近いこともあるのか?
もう一人は、薬物の副作用によるのではないかと考えている症例。年齢は49歳で、感冒症状があったため 近くの病院でPL顆粒とミノマイシンを処方されている。内服を飲んでから2日目くらいより、めまいや頭痛があるという。
最初は、このかたは更年期かなと思ったが、薬物によるものも否定はできない。聴覚症状もなく、前庭神経炎も考えたが否定的である。めまいは、体を動かすとフラッとする程度で、症状は軽い。
症状は、よくなってきているようである。
ほかにも、外来でめまいを訴える方が数人、いずれも点滴で軽快している。
しかし、患者さんにはつらいだろうけれども「めまい」の患者さんの診察と治療は難しく、とても専門家のようにふるまうことはできない。
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4月に入って、私の勤める病院も医師、看護士、事務の異動があり、新体制で出発した。
(私の所属する脳外科は、4月になっても変わらない。)
昨年末から当院では、入院患者のラッシュ状態が続いた。
その状態は、3月も維持され続けたため、医師や看護士は入院患者の多さと対応にヘトヘトになっていた。
4月に入って退院者も増えたので、やっともとの平穏をとりもどしつつある。
なぜ患者が増えてきたのかというと、当院近辺の有床診療所2件が有床から無床診療所へ形体をかえたことが影響したようだった。
田舎では、社会的入院も含めた小規模な有床診療所の役割は大きい。しかし、病院経営が厳しくなったので無床に変えざるをえなかったようである。そのつけは、結局中小規模の病院が背負うことになり、我々の仕事も増えた結果になった。
一時的なものかもしれないが、中規模の病院で働く勤務医の先生方(特に当院では内科の先生)はたいへんである。
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抗加齢医学会主催の講習会に参加してきた。
何度か参加してみたが、内容は興味深いものばかりではあるが、多くの課題が残っているのも事実である。
病気を予防するという観点は大切であるが、「アンチエイジング」となると 病気というレベルのものでなくなる。健康人も何らかのアンチエイジングのための対策が必要になる。
加齢現象をおこしてゆく体に対してどのようなことをやれば、健康寿命をまっとうできるのか?
その大きなテーマに対して、まず私として取り組めることは何かを考えてみる。その一つが 脳血管障害の予防ということになる。これは私が、脳血管障害の患者をみる機会が多いので、必然的に取り組むべき課題になっている。
脳梗塞ではtPAの使用成績が取り上げられ、脳梗塞の治療成績も変化しつつあるのかもしれない。(数字的には、期待したほどの効果があがっていないようだが?)
また、特に脳血管障害についての脳外科の手術もスタンダード化するとともに、脳血管内治療も発展してきている。
これらの様々な治療は魅力的ではあるが、できればこのような治療の世話にはなりたくないのが多くの人たちの考えるところであろう。
しかし、現状は悪くなってから治療するのであり、見つかってから何らかの処置をしてゆくのである。この流れに歯止めをかけたいところである。
そんなことを思い脳ドック学会にも所属しているが、はじまりのきっかけは未破裂脳動脈瘤をみつけて処置するところにその目的があった。
しかし、ドックといった場合の社会的なニーズは、動脈瘤のみに終止するものでもなくなってきている。
画像診断的なものも必要だが、脳梗塞や脳出血、認知症の予防も含めた脳の病気全般がその予防対象になってゆかなければいけない。そのためのパラメーターとなる検査がまだまだ足りないし、遺伝子診断も含めた何かを見出していかなければいけない。
未知のことがあまりにも多いということは、今後様々な形でその未知なるものに取り組まなければいけないことも意味する。
田舎で平々凡々と医療をやっているが、ここでどれだけ予防についてやってゆけるのか?難しさのほうが大きいが、大学 医局をやめてからの私の仕事としてとりくんでいる。
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