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< 私の実家周辺の医療事情 | メイン | がん家系 >
前回は、実家の父のことを少しアップしたが、その続きである。
父もいまや、喜寿を超えて80近い年齢になってきた。それでも、自分と同じくらいの年齢の方が入所する療養型施設やら老人病院などの定期的な回診や診察をおこなっている。
90歳で現役の日野原先生に比べれば、まだまだ若いかもしれないが、ゴルフも月に1-2回、旅行にも年に1-2回いけるので十分な若さがある。地域の医師会では、一番の高齢者になっているらしい。
そんな父と話をすることはごく稀なのだが、ある日様子をうかがうため電話をいれたところ(いつも母と話をするのだが)、父が「是非話しをしたい」と言ってきた。
話の概略は、年齢97歳男性、老人病院に入所している方で、昨年12月頃に転倒し頭部を打撲。そのときはたいしたことがなく、その後も意識はしっかりしていて、会話もできて普通だった。ところが、今年の1月になって、頭痛の訴えと嘔気の訴えが多くなり、そのうち吐いて食事をとるのも困難になったという。父は、最初脳血管障害を疑ったらしいが、打撲もしているので、施設から1時間30分はかかる脳外科の病院に診察と検査を依頼。そこでは、何も異常がみられないということで施設に帰されたという。鎮痛剤などを処方されたらしいが、それでも症状はまったく良くならない。もう一度、同じ病院に検査を依頼したが、「CTでも異常ないしただの頭痛であるから検査の必要はない」と断わられたという。
患者は、97歳とはいえ、どうみてもいままでとは様子がおかしいので施設から2時間かかる別の病院に検査を依頼することにした。するとその病院からすぐに連絡がきて「慢性硬膜下血腫が両側にみられており、すぐに手術が必要です」といわれ、そのまま手術になったという。結局患者さんは、2週間くらいの入院ののち、もとにもどって帰ってきたということである。
そこで脳外科医である私に、「同じCTをとっていながら、一方が正常で、一方が異常だと指摘されるとはどういうことか?」と質問があった。そして、 最初に送った病院の医者の対応態度に怒りを感じたようで、「他院からの依頼には、たとえおかしいと思ったとしてもそれなりの丁重な対応をするように」という私へのメッセージであった。
最初にみてもらった病院も、脳外科としては名のある病院であるし、マスコミにも取り上げられたことのあるところである。その次に紹介したところも有名な脳外科病院である。
慢性硬膜下血腫は、急性期の出血所見を示さないため、時として両側にある場合には、正常と見間違えることがある。
大脳皮質の吸収値と血腫の吸収値がほとんど同じくらいになるためである。すると、血腫には見えないかもしれない。そのようなケースは、造影CTにすると、血腫被膜が増強されるので区別がつく。でも、97歳ならば年齢的な脳萎縮所見があるだろうし、たとえ両側にあっても脳溝が消失すればこれはおかしいと判断できるはずである。まともな脳外科専門医がみていたのならば、正直なところこのような見落としは恥ずかしいかもしれない。または、CTの性能の問題か?
実際のCTがみれないのは残念であるが、注意が必要だ。また、紹介医経由の患者さんの対応にも、たとえ紹介医が高齢者の方であったとしても注意が必要である。
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