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< 後ろめたさも必要 | メイン | 道徳は「使い方」まで教えるべき >
2008.07.27 01:41 |  診療  |  なし  | 推薦数 : 2

傷つけないとわからない馬鹿

後ろめたさは必要って書いた。

もうちょっとここを書きたい。

僕は人の気持ちなんて全然わからない超体育会系の人だけど、

医学部卒業したころに比べたら、一応成長はしてる。

知識的に精神医療が出来るようになったというのは当然だけど、

感情レベルで、すこしだけ患者さんの思いに寄り添えるようになってる。

前回エントリを書きながら思い出したことだけど、

たぶん、僕の能力がすこしだけ上がったのは、

自分とって一番というレベルで大切な人を

さんざん傷つけてきたからだと思う

ひどい仕打ちをして、泣かせて、

でもそのときはざまあ見ろとか思ってて、

それがひどいことだったことにあとから気がついて

気がついたときには手遅れで耐えるしかない・・・・

そういう状況を何度か経験したからという気がする。

 

僕は一度結婚に失敗してるんだけど、

離婚するときは本当にほっとした。

やっとこの地獄から逃れられるとか、平気で思ってて、

自由を満喫してたくさん遊んだ。

離婚して半年たったころか、

尊敬する先輩にもめてる患者さんのことを相談に行ったら

(この患者はクレーマーだ!みたいな勢いで行ったら)

「お前はこの患者の言葉を聴いて気持ちを見てない。

お前が上手くいかなかった○○さんもそうだっただろ。

言葉を聴いて、言葉を真に受けるだけで、

それを言わせる気持ちを見れないから、彼女を傷つけたんだろ」

とか指導を受けてしまった。

 

これはがーーーーんときた。

不覚にも涙を流してしまった。めったに泣かないのに。

彼女と過ごした楽しかったことを思い出しつつ、

そういや後半の生活では気持ちがわからなくなっていたことを思い出して、

あの憎まれ口が僕に振り向いてほしいというアピールだったと考えたなら、

あの意味のわからない失踪も、僕のことを好きだからこじれたんだと思うなら

僕の行動はまったく的をはずし、僕が動くほどに関係は悪化していた。

僕は彼女が不安を抱いていることにまったく関心がなかった。

僕は僕なりに出来ることをろうとしていた。

彼女の思いに寄り添って、彼女が求めることをするわけじゃなかった。

そう思えば、患者さんに対する対応と同じことだ。

僕の出来ることを頑張ろうとして、「そうじゃない」という患者さん。

相手のニーズに寄り添えずにいて、患者さんとも離婚が近い。

僕なりに出来ることじゃなくて、

女のために出来ることをすべきだった。

そういうアタマじゃないから、患者の話がわからない。

僕は彼女をひどい身勝手なやつだと決め付けていたけど、

同じように患者さんをクレーマーだと決め付けてた。

その辺を先輩が教えてくれたんだろうと思う。

ひどい先輩だから、いきなり油断しているところを切りつけてきて

ざっくり出血したんだけど。

 

どこまでも自分勝手な僕のような凡人は、

本当に痛い目にあわないと、人の心に向き合えるようになれない。

もっとこうしてあげればよかった。

もっとやさしくしてやればよかった。

何故僕はあのとき何もわかってなかったのか。

昔もらった手紙を読み直したりしてしくしく泣いたり。

そうやって自分のせいでひどく傷ついた人の気持ちを悶々と考える。

でもそのおかげで言葉じゃなくて、言葉の奥にある

アタマやココロを見ようとする癖がついた。

みんな本当は無理してんじゃないのか?

その言葉は無理して話してんじゃないのか?

それが僕が人に踏み込んでいく原点。

時々言葉の使い方が精神科医の命だ!とかいう人がいるけど、

僕はそれは違うと思う。言葉は枝葉。

枝葉から本流に向かうことの大切さを否定する気はないけど、

やっぱり言葉の背後にある認識をどう捉えるかが大切だと思う。

 

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コメント

コメント一覧

いくつか疑問に思ったのが、
・相手のニーズに寄り添う必要はあるのか。
・奥様との関わり方と患者さんとの関わり方を同様に考えていいのか。
私自身がなしさんの文面に表れていないものを読み取れていないかも知れませんが気になりました。

私は患者の立場としても日常生活でも、自分のニーズに寄り添ってくれる事を要求してしまいがちなのですが、
それは良くない事だと思っているのでこのエントリは意外な感じがしました。
written by シノブ / 2008.07.27 05:03
シノブさま

コメントありがとうございます。今回は完全に自分のために書いたものなので、混乱させてしまってすいません。
治療という場面で考えれば、シノブさまがいうことが正しいです。相手のニーズ寄り沿いすぎては、患者さん自身が自分でいろいろ解決する力をつける機会をなくしてしまいますし。病気をもつ人と病気じゃない人を一緒に考えてはいけないと思います。

ここで書いてるのは、医療者側というか、僕が僕の患者さんを今より「わかる」ためにどうしたらいのか、昔どうやって伸びたのか、これからどうしたらもうちょと先までいけるのか、その辺を悶々と書いています。だから治療という観点で一切書いてない。どう相手をわかるか、それだけです。
僕の中では患者さんも僕の彼女も同じ人なので、僕の半径数メートルでおきていることが、患者さんにおきているはずで、「原因不明の症状が突然!」とか僕は信じないスタンスで働いています。そこには、患者さんや家族にとって当たり前だから当たり前に処理してるけど、本当はとても大事なことが見落とされていたりするんだと思っています。もちろん、病気というファクターは十分吟味して治療してますが、病気はその人の生活の中でおきてくるものだから、その人をどうわかるか、わからないまでもどう近づくか、そのあたりの力をつけるためには・・・とかいろいろ考えてすごしています。

ときどきそういうエントリがまじるので、混乱させてすいません。たしかに治療的に見たら×です。
written by なし / 2008.07.27 14:16
たぶん、僕の能力がすこしだけ上がったのは、
自分とって一番というレベルで大切な人を
さんざん傷つけてきたからだと思う。

耳が痛いです。小生自信がまさにそうです。
嫁と何度も喧嘩して離婚の危機もありました。
子は鎹(かすがい)という言葉を強く実感しました。
独身時代も大切な人を傷つけることがたくさんありました。

でも最近は少し考え方を変えるようにもしています。自分が傷つけたように、自分も同じように相手から傷つけられた結果そうなった、ということもたくさんあるのだと。

written by Paul Carpenter / 2008.07.28 12:25

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