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< 子どものうつは増えているか? | メイン | 自分と向き合えない人たち >
2008.07.20 15:29 |  診療  |  なし  | 推薦数 : 3

共感を目指さない

昔ちょっと書いたけど、

医者というか、精神科医は非常に共感能力が乏しい。

患者さんの話を聞いて、「感情でわかる」医者なんてまずいない。

だって、多感な時代を勉強メインですごしてきて、

羽目をはずすのはたいてい大学に入ってから。

まじめなやつは大学に入っても、医者になってからも

はずすことが出来なかったりして、堅いまま今に至る。

「感情でわかる」には柔軟性が必要。

そういうやつに「これしちゃ駄目って知ってるけどやってしまうんだもの」

という患者さんの話を「そうだよね」って聞けというのが無茶な話。

 

だから僕らはいつもわかったふりをして患者さんの話を聞く。

情緒的な理解は出来ないぶん、理屈でカバーして

最低限はずさないように、患者さんに不快な気持ちを与えないように聞く。

例えるならば、サッカーで相手のフォワードがボールを持った瞬間、

全員最終ラインに下がって、相手のコースを塞ぐような対応。

                     

そういう守り方は相手を壊さないのでいい。

ときどき相手を壊すような「気持ちわかるよ!だからこうしてみよう!」

とか積極的にアプローチする人を見るけど、それは危険。

成功する可能性もあるけど、無理を重ねてきた相手を壊す可能性もある。

たしかに守ってるだけじゃ、引き分けねらいになっちゃうけど、

時間をかけて付き合い方を探るのが一番安全。

毎回の診察は引き分けでもかまわない。

薬という武器もあるんだから。

 

でも、僕だって守っているばかりじゃない。

精神科医はみんな得意技があるんだと思うけど、

得意技が効く!と思うときには、一気にカウンター攻撃を仕掛けるときがある。

僕は共感能力は低いけど、馬鹿じゃないから

自分の経験を抽象化して使える武器にしている。

たぶん、そういう精神科医って多いんじゃないかな。

それは本当に自分の経験だったり、

治療して上手くいった経験だったり、それはまちまちだけど、

患者さんがしゃべっていないところまで踏み込んで

「実はこうだったでしょう」「こんな風に考えてるんでしょ」とか当てちゃう。

その上で状況を俯瞰して教えて、きつい現実を受け止められる範囲で

受け止めてもらったり、対処法を指導したりする。

そうやって、患者さんに「そこまでわかるんですか」とか感心してもらって

こっちが立てたプランに乗っからせる。

 

僕がこの手を使うときは、

「うちに監視カメラでも仕掛けているんですか?」とか

患者さんいわれることがあるので怖いこともあるんだけど、

しゃべっていることは、単に自分の経験を患者さん風に

アレンジしてしゃべっているだけだったりする。

実は人間の悩みなんて、そんなに差はなくて、

たいていは、自分が疎外されているとか、正当に評価されてないとか、

「自分が受け入れられていない」とか、そういうことに収斂するから、

そこまで大まかに捉えるならば、僕と患者さんに何の違いもない。

 

共感応力が乏しい医者が、患者さんに共感しているように見えるときって、

実は自分のことを話しているとき。

もちろん一部、才能あふれる人は別だけど、

凡人精神科医は、自分の経験を一般化する作業をまじめにやるべきだと思う。 

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実は人間の悩みなんて、そんなに差はなくて、
たいていは、自分が疎外されているとか、正当に評価されてないとか、
「自分が受け入れられていない」とか、そういうことに収斂するから、
そこまで大まかに捉えるならば、僕と患者さんに何の違いもない。

 これってこどもの教育にもそのまま当てはまるなあ、と感心しました。最近やる気がなくて(うるさすぎる親のせいかも)試験の結果も芳しくなく、塾のクラスをワンランク下げられたりしたものですから。こどもを受け入れずに無理をしてもいい結果は決して得られないような気がします。血がつながっているだけに難しいのですが。
written by Paul Carpenter / 2008.07.22 09:19

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