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< 等身大の医療 | メイン | 何故入院治療はゴールなのか >
2008.06.27 18:34 |  診療  |  なし  | 推薦数 : 4

大量服薬を繰り返す人で困ること

しょっちゅう大量服薬して近くの救急病院に運ばれる人がいる。

すぐにうちの病院に連絡がくるんだけど、

「自殺未遂」として正しい対処をすると、その患者さんはすごく怒る。

入院治療をしましょう、いったん家を離れましょうと勧めると、

「死ぬ気はなかったという自分の気持ちを何故わかってくれないのか」

「死にたいくらい辛いけど、死ぬ気はないんだ」

「もらった薬1週間分全部飲んだけど、たぶん死なないと思ってた」

「全部もう飲んじゃってないから薬ちょうだい」

そういって薬をもらって帰ろうとする。

 

そんな患者さんはたくさんいるわけじゃないけど、

精神科医ならみんな何人かは抱えていると思う。

 

誰でも10年以上精神科医をやっていれば、

「死ぬ気はなく」ても亡くなってしまうケースを知ってると思う。

明らかに夫を試すとか、周りに分かってもらいたいとか、

そんな気持ちで中等量服薬をしたケースでも

状況やタイミングが悪ければ、簡単に亡くなったりする。

だから、死ぬ気はないからもう大丈夫と言ったって、

数日でいいから落ち着くまで入院してほしい。

自傷って立て続けにおきるものだし。

 

先日ももめて、最後は「もういいです!」とかいわれて逃げられた。

いつもこういうケースについて、正しい医療を押し付けないで

出来ることってなんだろうとか考えたりするんだけど、

うまい方法は考え付かない。

結局患者さんとの関係がどう築けるかが大事で、

罵倒されるのも関係つくりに使えないかと考えるくらいか。

そういうときに一番恨めしいのは患者の家族だったりする。

 

こういうケースの家族の常套句

この子(人)の思うようにさせてあげてください」という言葉。

この一見患者さんの自主性を重んじるような言葉。

これをやられると、患者を守りたいはずの医者が一気に悪者になる。

罵倒されたりすることを関係つくりに使うというのは、

患者さんが「言い過ぎたかな」と思うところで、

それでも君に関心があるんだといい続けて、アクセスして、

一緒に繰り返さない為の治療に入っていくことなんだけど、

アクセスするためには、それが成立するまで患者さんを

場に留めておく場と時間が必要。言い方を変えると粘りが必要。

でも、この一言は簡単にその粘りをぶっとばす。

なんだか僕一人無理解な人みたいな立ち位置に置かれるし

言葉の中身は単なる家族による「見捨て」なのに、

僕の行動を著しく縛る。

 

「この子の思うようにさせてあげてください」という言葉の裏には

期待はするけど、介入しないというあり方があると思う。

家族として「本人に何とかしてほしい」ということ。

手を出して当たられたり、ひどい目にあった過去があるんだろうけど、

一緒に恨まれてくれないと、家族だけいい子になられると手が出せない。

 

期待はするけど介入しないってやり方は、

ある意味自主性を尊重するということだから、

ノリノリで発展している子どもやスポーツマンの指導にはいいけども、

大量服薬とか、追い詰められちゃって

どこにも行き場がなくなっている人にやったら絶対いい結果は出ない。

期待してないという人もいるかもしれないけど、

それはうそだ。親子や夫婦や交際関係で、

関わっているのに期待をかけないなんてことが出来るわけがない

患者さんのほうはそういうの、すごく敏感に感じ取る。

期待かけるほうが鈍感なだけで。

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コメント一覧

子を持つ親として痛いところをつかれるようなお話です。親ばかという言葉は昔はこどもが誉められるようなことをしたときなどに使ったものですが、今は逆の、こどもを矯正せねばならないときに馬鹿な親がこどもを盲目的にかばってすべてだいなしにするという状況に使いたくなることが多々あるように思います。
written by Paul Carpenter / 2008.07.02 08:13
Paul Carpenterさま
いつもコメントありがとうございます。
たぶん、自分を客観的に見る視点がある人は問題ないんです。たぶん、そういう人とは僕らはぶつかるので、ぶつかってちゃんと答えが出る。親御さんとぶつかるのはいやじゃないですから。ぶつかりたがらない人が一番困るという話を書いてみました。
written by なし / 2008.07.04 00:36
>こういうケースの家族の常套句は
>「この子(人)の思うようにさせてあげてください」という言葉。

精神科の病気がある家族を支えるのに疲れ、役所や周囲の人には
「もっと病人に優しくしてあげて下さい」などと言われ「これ以上、どう頑張ればいいんだ。
だったら、自分がやってみろ」と本音が出てくるときがある。

患者の治療に家族の協力が必要なことは分かる。
だけど、家族も助けて欲しい。
その言葉は、家族のsosだと思ったのですが。
written by まる / 2008.07.09 21:42

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