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研修医が大学で多重人格の治療に困っているらしい。
入院中のその患者さんがいろんな人格を出してきて、
その都度それに振り回され、(どうも頼まれるまま
各科に紹介状を書いたり、行動制限を解除したりしたらしい)
看護婦さんからブーイングがきて大変とか。
直接の主治医は、「患者さんのやりたいようにやらせればいい」
という方針らしく、放置しているようだ。
看護師さんは、「やりたいようにやらせては看護にならない」とかいって
患者さんに介入しようとして、方針が違うドクターが邪魔らしい。
間に挟まれた研修医が治療に難渋してSOSを出してきた。
大学病院精神科の臨床レベルは、地に落ちていると思う。
まともな指導医クラスはみんな市中病院や民間病院に出ていって、
医局にいるのは教授と准教授と5年目以下と病気のひと。
看護の面子は昔とかわらないから医者をなめているのだろう。
直接の主治医でさえ、使えないと切り捨てて、患者の治療は自分達でやる!とかいってるらしい。
それはそれでいいけども、みんなすっかり素人集団。
ケースの詳しい事情はわからんけども、
専門家として必要な病気のイメージがないから迷走する。
「やりたいようにやらせる」でも「看護する」でも
どっちでもいいから、相手の求めるものを描くべき。
多重人格の患者さんって、まともに自己主張できない人でしょ?
本物に多重人格の患者さんは、たいてい悲惨な生育歴があって、
寄って立つことの出来るルーツがない。
自分を支えるたしかな関係を持てずにここまで生きてきて、
そのときの感情、テンションで場を乗り切ることしか出来ない。
そして支えを求めるほどに人間関係の悪循環を引き起こす。プロならそういう基本的なイメージを自分の中に創らないと。
そう考えれば、研修医が紹介状をたくさん書かされたり、
行動制限を解除させられたりする状況がわかるはず。
入院までしているのだから、「住んでいたところにいられず」
入院したものの「入院環境でも落ち着けない」ということ。
「うぶな研修医相手にたくさんの方法(人格)で訴え」、
「看護師は思うように介入指導できないでいる」ということ。
そして現場の治療が迷走している。
こんなの、入院前の状況と同じだという人間がいないのがおかしい。
支えを求めて悪循環にはまっているじゃない。
患者さんは支えが欲しいんであって、
別にたくさんある人格を統合したいわけじゃない。
相手が自分の話に真剣に耳を傾けてくれるか、自信がなくて、
自信のなさが心底刷り込まれているから、簡単に相手を信じられないだけ。
主治医は主治医で「人格障害は人格を認めたら余計酷くなる」とか、
「人格の統合が目的」とか、馬鹿なこと言ってるらしい。
いや、それはたしかに教科書的な答えだけど、
人格の統合は目的じゃなく結果だと思う。
もしくは長期の目的であって、今対処すべきは
入院しないといけなくなった状況への対処。患者さんが求めているのは「わかってもらうこと」のはず。
看護も看護で、すぐ指導しようとするから患者さんが研修医に行く。
研修医にひたすら訴えるということは、
一番経験年数の少ない研修医が一番耳を傾けてくれるという状況だということ。
「治療は主治医に任せておけない」とか言う以前に恥ずかしいと思うべき。
大学から逃げ出した僕がいうのもなんだけど、
昔はそういうイロハを教えてくれる先輩がいた。
大学は厚生省にすっかりぶっ壊されたんだなと思った。
まあ、後輩への後ろめたさもあって、
いまだに大学に関わっているわけだが。
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