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< 秋葉原の事件について2 | メイン | 秋葉原の事件について(補) >
2008.06.11 17:41 |  診療  |  なし  | 推薦数 : 2

秋葉原の事件について3

被害者の方々のご冥福を心からお祈りします。

続きです。

 

僕自身が一線を越えたことがないからわからないけれども、

犯人が犯行に踏み切る前提を考えて書いてみたい。

すごく書きにくい話になるけど。

 

僕らが初診の患者さんを診て、

その人らしさを理解する上で、一番わかりやすいのは、

その人の生活歴のストーリーが繋がらない部分を見ること。

この犯人の場合、中学までは成績優秀・スポーツマンだったのに

家庭内暴力が始まって、高校では落ちこぼれ、

進学校から専門学校に進んでいることだろう。

 

僕は犯人の流れをみて、ランボーの第一作を思い出した。

えらい指導教官に兵士として育て上げられたランボー。

教えられるままに戦争の技術を磨いて

教えられるままに戦っていたのに、

アメリカは戦争は負けてしまった。

負けて国に帰ってくると、

それまで付きっ切りで技術を磨いてくれた教官が

「戦争に勝てないんだから、もうこれ以上いいや」

「お前ももうあきらめろ」といって去っていく。

教官は、戦場を去っても軍隊のえらい人。

ランボーは戦場を去ったら、ただの失業者。

迎えてくれる街の人は腫れ物に触るように、

もしくは臭いものを見るように扱う。

ランボーにとって磨いた技術がプライドの元だけれども、

関係ない街の人にまでその技術を否定される。

 

だからランボーは山にこもって一人で戦い始める。

街の人たちと教官に、自分が磨いた技術を主張するために。

自分の正しさを主張するために。

そう見ていくと犯人の生育歴はぜんぜんおかしな流れじゃない。

 

たぶん犯人の頭が本当によければ、

高校に上がったからといって急に成績は落ちない。

例え進学校にすすんでも、そこそこのレベルにいくはず。

高校で極端に成績が落ちる子は、中学の時点で無理があるんだと思う。

むりやり勉強を積み重ねて余力がない状態。

たぶん親の影響下にあって、むりむり詰め込んでいる。

それが破綻したから家庭内暴力なのだろう。

勉強させすぎたからではない。

親があきらめたからだ

 

ランボーは街を相手に八つ当たりに近い形で戦闘を始めるけど、

それは戦争に勝つ技術を詰め込まれすぎたからじゃない。

戦争に勝てなかったから、みんながランボーに見切りをつけて

ランボーの頑張りを全て否定したからだと思う。

だから正当性を主張するために、街を相手に戦争を始めて

昔の教官を引っ張り出すまで引き下がらない。

 

でも、だからといって、家庭内暴力を認めていいわけない。

それは「人のせい」にすることを保障するから。

自分の責任の部分を棚上げにして他人に転嫁する。

人に暴力を振るうことで自分のプライドの崩壊を防ぐやり方

すごく危険な行為なんだと思う。

 

ランボーだって暴れた後に刑務所にいった。

家庭内暴力も、本来家庭内で処理してはいけないんだと思う。

家庭の中は、社会の一部なんだから、社会の法の範囲を逸脱しちゃいけない。

責任転嫁した暴力は警察で処理するべき。

刑務所に入らなかったランボーは、

自分のプライドと国の法律を等価値において

ものを考えるようになるかもしれない。

たぶん、そのあたりの事情がこの問題の原点なんだと思う。

         

最後にひとつ。あまり取り上げられていないことも。

一昔前に17歳の犯罪というのがマスコミにもてはやされた。

理由なき犯罪。「人が殺してみたかった」というやつ。

犯人は同世代で大きな影響を受けたんだと思う。

表現型は違っても踏み切る位置を見ると、同じ文脈で考えるべき犯罪で

その上に格差の問題が乗っかっているんだと感じる。

(終わり) 

 

(実はランボーは日曜洋画劇場を30分くらい見ただけでよく知らないので例えが間違っていたらすいません)

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[映画]だーーーーー。まいった。
ランボー好きなんだけどね。わたしが好きなランボーってとこをまとめたかったんだけどね。まあいろいろ難しい映画ではあるから多忙にかこつけてほったらかしてたんだけどね。ちょっとほったらかしたくなくなった。... [続きを読む]
posted from S嬢 はてな 2008.06.12 21:39
秋葉原事件について語ることは一向構わないが
私も少しだけ事件に触れて書いてるし、関東に居た頃は時々アキバまでPCパーツを物色しに行ってたし、事件の被害者が運び込まれた三井記念病院に通院していたこともある。ま、私の通院経験はあんまり関係ないが。... [続きを読む]
posted from takoponsの意味 2008.06.13 01:51

コメント

コメント一覧

初めまして。しばらく前から読ませていただいています。
私は、結果的にストレスの強い仕事でがんばりすぎ、去年秋からうつで休職中です。
秋葉原の事件で、衝撃を受けています。特に、加害者の背景を知るにつれ、偏った報道と加害者の「踏み切る位置までに至った過程」にずれを感じています。事件自体は本当に許せるものではないけれど、私自身エリート校で「中の下」の成績で、受験に失敗した経験があるし、両親共働きで「自分ががんばらなくてはいけない」という環境下で育ったことで、自分を責めがちな傾向がありました。うつ傾向が強くなってから、どうしようもない気持ちをどこにぶつけていいのかわからず、自傷に走ったりもしました。だからこそ、逃げ道がなくなって今回の犯行に至った犯人の気持ちが、わかるような気がするのです。この犯人のように追い詰められている人は、今の日本にはたくさんいると思うのです。ありふれた状況だということを、報道は知らせてくれない。身近なところで危機的になっている人に、今すぐ手を差し伸べなくてはいけないのに、「異常性」ばかりが報道されている。
主治医には話をして理解していただきましたが、なし先生のように外へわかりやすく表現されているのを見て、つい書き込ませていただきました。日本の世の中が、もう少し、自らを省みて、お互いを支えあうような社会になっていって欲しいと願っています。
written by ゆこゆこ / 2008.06.11 19:39
ゆこゆこさま
コメントありがとうございました。
なかなか返事が書けずすいません。
わかりやすくといっていただけるとありがたいです。
それだけを念じて書いているので。
またよろしくお願いします。
written by なし / 2008.06.19 23:06
秋葉原事件と検索して適当に見ていたらDoctors Blogに行き当り、内容を読み、マスコミの浅はかさに関して同感と思いました。それから、犯人が起こした犯罪に関して、社会状況うんぬんは確かに根本的な原因ではなく、彼自身のResponsibilityの欠如の故起こったことだと思います。何かが起こったときに、自分にも責任があるとの観点で見ないで、他人の誰かのせいという被害的立場で見る。確かにその場は、その考え方でしばらくは辛さと対応できるのですが、結局、また同じことが起こったり、何も変わらない自分がいるだけで、惨めに、鬱になっていくだけです。畜生と思っているだけでは、ダメで、自分でそのネガティブな気持ちを反芻して、消化して、強く生きていかなければいけない。生きていくのが辛くてどうしようもないのはよくわかるけれど、それは自分の気持ちであり、自分で自分を救っていってあげなければ、他に道はないと思う。精神鑑定を受けても、それはそのまま自分という人間に対して責任をもち、受け入れて救っていくという、自分が対処していかなければ、治らない、当たり前のプロセスだと思います。問題は、精神科医の問題ではなく、患者自身の問題だと気づくことから、Cureが始まり、つらいけれど、向き合って、自分が何を望んでいるか知り、少しずつ痛みのCoreに近づく。影にいくのではなく、光をどんどん心に入れていくことが、自分でできるようになったらBravo!と思います。秋葉の犯人のような、ものすごい鬱屈したネガティブな思いを抱えて生きている人はたくさんいると思います。残念ながら、ものすごい子供のままの精神で、まったく成長していないのです。大人子供がたくさんいる。。。。自分でしっかり地に足をつけて生きていくという大人がものすごく少ない。
written by 青い空 / 2008.06.22 13:34

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