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報道番組は演出の仕方が下手だと思う。
下手だから、見ていても犯人のことがよくわからない。
とにかくベースとなる犯行前の生活の表現が拙くて、
犯罪に至る必然性がいつも描かれていない。
その結果、猟奇殺人という結果をダイレクトにその人の心に結びつけたりして、
事件をすごく異常なことに感じさせてしまう(あ、わざとか?)
異常な人の異常な犯罪みたいに。
演劇やら映画の登場人物の行動を見ればわかるけど、
彼らはたいてい異常な行動に走る。
上司の命令を振り切って簡単に首になる覚悟したり、
一人で多数に勝ち目のない戦闘を仕掛けていったり。
お茶の間から常識的な視点で眺めれば、狂ってる。
でも観客は、その人の行動の背景にある状況を見せられているから
大きな違和感はもたない。
24とか、冷静に考えたらジャックは異常者だけど、
(公務員が大統領を拉致したりするし)
テロの脅威や自分の家庭を犠牲にしながら犯人を追う姿を見せられて
「ちょっといかれてるけど、頑張れ!」とか理解の範囲の中に入る。
ちょっと変わった人の異常なテンション。ちゃんとわかるには、その
「ちょっと変わった人」の部分を丹念に描かないといけない。行動の背景となるベースラインを伝えないといけない。
例えば、秋田の連続殺人事件。
ちょっと前に秋田のほうで、お母さんが自分の子どもや
近所の子どもを殺した事件があったけど、
あれも、ダラダラとお母さんの生い立ちや
人生の変遷だけを報道するからわからない。
あれも本当は、あのお母さんを取り巻く村の「空気」から始まって、
村の中でのお母さんの立ち位置を描いて、
そこで自分を惨めに思ってきたお母さんの特殊性を際立たせないといけない。
その演出をしてはじめて、「異常者じゃない」ことがわかる。
許されないことをした、ただの犯罪者。
自分より弱いものに当たった村のはずれもの。
人間のジャンプ力は限られている。
垂直とびで5メートル飛ぶ人間はいない。
おなじことで、どんなに異常に見える犯罪行為も、
その人のベースとなる生活が見えたら、
実は1メートルも飛んでいなかったことがわかるはず。
僕が簡易鑑定とかで見た殺人事件や未遂の人たちは
やっぱり1メートルしか飛んでなくて、刑務所に入っていった。
だから、ちょっと変わったその人のベースラインを
きちんと描かないと犯人のことは絶対にわからない。
僕らは「普通」という言葉をよく使っていて、
僕と他人の生活は「ちがう」とか思いながら、
実はなんとなく一緒と感じている。
僕もあなたも「ふつうの家庭」。そういうナアナアな理解がベースにある。
でも普通なんて正規分布の両端を切った残りの範囲のことで、
日本において1億以上のパターンがあるしろもの。
それぞれがそれぞれの事情を抱えて、
それぞれの必然性をもって生活しているだけ。
だから、事件や犯人を理解しようと思ったら、
その人の生活が持つ必然性を描かないと駄目だと思う。
そこを「ふつうの家庭」とか「ふつうの街で」とか、
さらっと流して、急に猟奇殺人が!とか始めるから駄目。
犯人がジャンプするまでの、踏み切り位置までの誘導がない。
報道番組は下手だなあと思う
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