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何度かテレビや新聞に出たりしたことがあって、
マスコミの友人以外にも交流のある人がいる。
そこでわかったことは、地方紙の記者やテレビ局の人と、
全国紙や全国ネットのテレビの人はずいぶん違うということ。
地方紙の人は、記事の中に自分がいる。
全国紙の人は記事の外にいて、傲慢なジャッジを下す。
一昨年の年末にある全国ネットのプロデューサーの人から
「自傷行為をする子どもにインタビューしたい」とか病院に電話があった。
その頃はそういう啓蒙行為にも意味はあるかと思って受けようとした。
これが酷かった。
最初は「現場の姿を世の中に伝えないといけない!」とか
正義感たっぷりの話をしてくるんだけど、
なんか、前日になって「(患者の)顔出しさせてください」とか言い出す。
顔出しと顔なしではインパクトがぜんぜん違うんだそうな。
僕が患者さんの不利益になるからとか話していると、
「じゃあ、顔出しなしで撮影に来てもらって、私が説得しますから」だって。
ぜんぜん話を聞いてないし。
自傷の子は、強引に迫られてのせられると
その場の勢いで顔出ししてしまいそう。
たしかに、注目されることに飢えている患者さんは
顔出しして嬉しい一面があるのかもしれないけど、
数ヶ月先を考えたら、マイナス要素が大きすぎる。
このマスコミは信用できないと思って、直前で撮影を蹴った。
蹴ったら「信じられない」だって。
年末特番で病院の名前や先生の名前が全国ネットに出るのに!とかいわれた。
やっぱり全国ネットのテレビ局の人がいう正義は一味違う。
まだ地方のマスコミの人は違う。
自傷の子を撮影するにでも、「近所に住む子」として見てくれる。
もしかしたら、知り合いにそういう子がいたのかもしれない。
たぶん、地方局の人には、同じ土地に住んでいせいか、
「まずいことしたら自分に返ってくる」という意識がある。
だから大上段にかまえず、取材の仕方が慎重。
新聞記者も同じ傾向がある。地方紙の人はまだまし。
全国ネットの連中は、報道することに意味があるとかいう。
みんなに知らせることから始めないと、何も始まらない!とかいう。
そういう言い方は、人の輪の外にいないとなかなか出来ない。
そして輪の外から輪の中を見ていると、
自分に結果(被害)が跳ね返ってこないから無責任になる。
どうもあほなマスコミは、「純粋な情報」とか、
みんなに知らせるべき情報が「ある」と思っているふしがある。
そんなものはどこにもないのに。
あるのは、そこに生きている人と、
そうやって頑張るしかない状況だけだ。
どんな異常な殺人事件だって、そこにあるのは
哀れな人間とそこに至る必然性をもった状況だけで、
センセーショナルなキャッチフレーズのついた情報じゃない。
情報なんて「ない」。あるのはマスコミが勝手に切り取った断片。
だからこそ情報を切り取る作業は、
頭のいい鈍感バカがやってはいけないと思う。
自分が当事者ということを忘れてこねくり出すから。
精神科医だって同じ。自分が患者さんの「状況」を
つくっているキーパーソンの一人ということを忘れると、
情報の切り取り方を間違えてしまう。
鈍感な精神科医は人に危害を与えるし、
鈍感なマスコミも人に危害を加える。
まともな報道、まともな議論、まともな治療というのは、
当事者意識を持った輪の中でやらないと無理なんだと思う。
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コメント
コメント一覧
個人的に地方紙と交渉をしたいと思っていたところに地方紙に好感を持てる内容を読めて嬉しかったです。
それ以外にも、結構好きな視点が織り交ぜられていて書き込みをしてみました。
『知らせるべき情報が「ある」』と思っている全国紙の悪い例でしたが、この件を他の視点から書いた文章を以前に読んで思い出しました。URLに投稿したので、少し長いですがお時間あるときにどうぞ。イギリスと日本の対比です。
臨床の話も、興味があるのでいろいろ読んでみたいと思います。今後とも更新楽しみにしております。
読みました。マーケットの馬車馬。これ面白いですねー。というか、さっきから興奮して読むの止まりません。すごいの紹介していただいてありがとうござました。
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