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2008.05.27 23:16 |  診療  |  なし  | 推薦数 : 2

正しい人の叱り方

人にものを習うとき、一番苦しいのは

自分を否定されることだと思う。

そこを乗り越えないと学べないというのは良くわかるんだけど、

「出来ない自分」を「駄目だ」と否定されると、

自分の気持ちを立て直すのに時間がかかる。

 

逆にいうと、人にものを教えるとき、

一番難しいのは叱ることだと思う。

精神科でも患者さんを叱るのが一番難しい。

治療の決まりごとを守らなかったり、

社会的にまずい行動がエスカレートしたり、

そんな行動が続いて、叱らないと駄目だ!となる時、

注意というか指導をするんだけど、それがすごく難しい。

患者さんにとって、行動を注意されることと、

自分を否定されることは、極めて近い関係にあるから。 

          

ずっと僕は、それを乗り越える鍵は信頼関係だと思っていて、

信頼関係が築けている患者さんにはガッチリと叱って、

築けていない人にはやんわり駄目出しをするくらいに止めていた。

けど、信頼関係のあるなしというのはちょっと違うのかもしれない。

 

それは叱る側の理屈であって、

叱られる側はわかるように叱ってもらわないと困るから。

否定されると事実を受け取るという作業が難しい

否定されたら、自分を保つので精一杯になってしまうから。

叱るという行為は、今まさにここで事実に直面してほしいからするもの。

叱られたほうは、自分を保つので精一杯で、

事実どころじゃなくなれば本末転倒というもの。

 

だから、叱る側はファクトをちゃんと叱って、

相手にはリスペクトを感じさせないといけないんだと思う。

あるビジネス書で、アメリカでは社員に指導をするときに、

ユーではないくユア●●について叱咤すると書いてあった。

なるほど、君ではなく君のしたことは!と指導がはいるんだ。

ちゃんと自分と自分の行動は分けるべきなんだと思う。

               

ただ、それを日本でやろうとしたとき、

アメリカ式がどこまで通用するかは疑問。

アメリカのやり方はクリアでわかりやすいんだけど、

現場で使えないことだらけなのは、精神科医ならみんな知ってる。

 

ふと思い出したのは、むかし僕に指導してくれた先生。

「お前は愛情がないから指導(叱り方)が下手だ」とか言われた。

愛情とか漠然としたことを言われてもさっぱりわからなくて、

ただ否定された気分が残ったんだけど、

患者さんを人としてリスペクト出来ていない僕がいて、

そのことを言われていたんだと思う。

 

昔の人の教えは、すごく不器用だけど、正しい。

まず愛情、リスペクトがあって、それで初めて相手の問題も見える。

そういうのが正しいやり方、叱る素材の見つけ方なんだと思う。

リスペクトしてみつけた問題を叱る。

たぶん、僕はその先生にはかわいがられていて、

いわゆる愛情を注がれていたから、今は言われていたことがわかる。

リスペクトから入って問題を規定するプロセスがないと、

叱られる側は自分と叱られている内容を分けられない。

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