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< 行為障害と自傷と | メイン | マスコミの友人 >
2008.05.16 18:15 |  診療  |  なし  | 推薦数 : 3

診断は感情で行う

精神科で診る問題行動。

自傷とか、過食とか、ゴロゴロして部屋に引きこもるとか。

なんでもそうだけど、周囲がその理由をわからないから

「問題行動」なんだと思う。困った行動。

だからみんな、わかるために「診断」してもらおうとするけど、

診断をつけることに何の意味があるのか?

 

 

2年位前に新患で子どもを診たときのこと。

別に児童が専門じゃないけど、6歳の子がまわってきた。

2学期になって小学校に行くのを狂ったように泣いて嫌がって、

それがあまりにすごいので「病気じゃないか?」と

家族が心配してつれてきた。

 

それまで学校に行けてたのに、急におかしくなった。

お母さんがちょっと前にうつ病と診断されて、

寝込みがちだったんだけど、それが治ってよかったねと

動けるようになった矢先の出来事。

 

「この子はおかしくなったんじゃないのか」。

そんなことをお父さんもお母さんも言う。

このおかしさは「病気」かもしれない!

この子に手がかかって大変なんです!

この子の病気を治してください!だって。

 

とても利発な顔立ちの女の子。

でも、表情があまりない。子どもっぽさが皆無。

おいおい。学校云々以前に、この顔が変でしょ。

 

どうも話を聞くうちに、お母さんがうつで動けなくなって

甘えたい盛りの子どもが我慢させられていたらしい。

妹がいて、その子は3歳だからお構いなしに

お母さんに抱きついていくんだけど、

6歳のお姉ちゃんは、お利口に我慢。

なるほど、我慢に我慢を重ねたのに、

お母さんが良くなっても報われることなかったんだね。

我慢が「当たり前」になってた。

 

実はこのファミリー。

僕が見る前に子どもクリニックで見てもらって、まったく同じ

「分離不安」と診断をもらっていた。

でも納得いかなくて、僕がいる病院まで来た。

たぶん、本人も家族も、分離不安という診断だけでは

狂ったような泣き叫びがよくわからなかったんだろう。

 

僕もつけた診断は同じ「分離不安」だけど、

親の前でこの女の子を褒めちぎった。

本当は甘えたいのに、お母さんのために妹のようなずるをしないで

耐え続けるなんて、本当によくがんばったな!

だって、がんばったからこうなったんだもの。

何で狂ったように泣くの?

もうこれ以上お母さんなしでがんばれなくなって、

お母さんと離れたくないからじゃない。

まだ支えがいる年なんだぜ。支えなしで一生懸命立って、

お父さんのいうとおり、静かに静かに、お母さんを休ませた。

妹の世話もしながらえらいじゃない。

 

だから分離不安。頭のいいえらい子じゃない。大事にしてやれよ。

そういって納得してもらった(ちょっと僕のキャラとちがうけど)。

診断というか、問題行動を定義するというか、

名前をつけてみんなで対処する方向に誘導するには、

感情レベルでものをわからせなきゃ駄目だと思う。

 

ラベル(診断)は貼れば機能するものじゃない。

体の病気と違って心の問題は目に見えないから、みんな違うことを考えてる。

こじれるほどに「手がかかる」患者さんが悪いことになってしまう。

それが患者さんなりのがんばりの結果なんだと

みんなが納得したときに、ラベルはしっかり機能するんだと思う。

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コメント

コメント一覧

泣けてしまいました(´;ω;`)ウッッッ...
おねーちゃん頑張ってたんですねぇ。
お母さんも鬱で大変だったんでしょうけど
これじゃどっちが親か分からない。。。
written by ゆずみつ / 2008.05.16 21:40
思わず私も泣けてきました。。というのも「昔の自分」を
思い出してですが^^;
リアルタイムで、その当時お世話になった精神科の先生に今更ながら、お礼の手紙を出そうかどうか、逡巡しておりましたので。
もう20年以上前ですが、私の場合は「情緒障害」という診断名でしたが、その診断名に重きを置くのではなく、「そういう状況にまで追い込まれたこの子を本気でどうするか考えろ」「どうしてこの子がおかしいと言えるのか?なぜこうなったのか、自分達がどう接してきたか考えたか」「この子はおかしくない。おかしいの周囲の環境だ」など・・と親達に言ってくれたことが、当時まだ10歳位でしたが、私にとって初めて大人の「味方」もしくは「理解者」が出来たと思った瞬間です。身内に一人も理解者がいなかったのに、昔から家族ぐるみでお付合いのあった先生でしたが、「他人」であったのにも係わらず、「うちの子になるか?」と本気でおっしゃってくださいました。
それは結局なりませんでしたが、おかげで無表情で無言で返事すらまともに出来ず、まさに凍りついた状況であった私が、助けてくれる人もいる・理解してくれる人っているんだ・信じられる人もいるんだということを教えてくれたことで心を開けたと思っています。
今更ながら、その先生にちゃんと御礼もせず、また、親の顔色を伺ってしまい、診察も途中になってしまったのですが、まだ30代ですが振り返ってみると、とても重大な出来事で、あの先生がいなければもっと酷い状況にまで追い込まれていたと思うと感謝しています。
この記事を読んで、やはり手紙を出してみようかな・・と思いました。
長文・乱文で失礼しました。
written by 門外漢 / 2008.05.17 06:34
小生の知人の30代女性がうつ病で思春期の娘さんが1人います。数年前に離婚した母子家庭で、女性のうつも離婚後悪化したとのことです。ただその女性がすごいなと思うのは、比較的調子がいい時で同じ常連のお店でいっしょに飲むときに、娘さんのことをとても愛していて娘さんも彼女のことをとても大切にしてくれることを聞かされます。それだけに病勢が悪化したときには娘さんに心配をかけさせて自分は何もしてやれないと痛いほど感じているのだろうと思います。それでも生きていけるのはやはり娘さんのおかげなのだろうかとも思います。
written by Paul Carpenter / 2008.05.27 17:14

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