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< 自殺を止めるということ | メイン | 行為障害と自傷と >
2008.05.12 18:24 |  診療  |  なし  | 推薦数 : 3

医者って上から目線

ブログをはじめてみて、
あらためて自分の「上から目線」に気がつく。
特にコメントの返事を書くとき。
ぜんぜん別分野の人から、
抽象的な質問を受けるときには、さらっと
自分の気持ちが文章になるんだけど、
精神医療のことで質問されたり、
自分が精神科医の仮面をちゃんとかぶらないと
返答できないとき、すごく上からの物言いになって、
うまく返事がかけない。

なんでだろ?と考えると、
精神科医として、患者さんやその周囲の人に何か伝えるとき、
自分のなかで責任が生じるからかも。
目の前にいない人に向けて1文書くと、
それがいろんなシュミレーションを生んで、
「こう取られたらまずいな」「これはこう読めるな」とか。
書いては消し、書いては消し、最後は自分で何を
書いているかわからなくなる。

で、さらに思ったことは、
この上からの物言いって、職業病じゃないかなということ。
医者って、「患者さんに寄り添う医療を!」とか
素敵な言葉を吐きながら、本当に寄り添いすぎたら
ちゃんとした治療ができなくなるから。

医者だって人間だし、自分の人生を生きてきた人間だから、
患者さんを前に、「自分の気持ち」というのがある。
この人はかわいそうだから絶対何とかしなけりゃとか、
こういう人は許せないなあとか。
で、一番やっかいなのが、嫌いな感情じゃなくて
「何とかしてあげたい」という善意。

相手に感情移入して、何とか楽にしてあげたい!という思いは、
相手の現実を客観的に見れなくなって、すごく視野を狭める。
患者さんにとって、共感されるのはいいことなんだろうけど、
で、そういうのが得意なタイプのドクターはいいんだろうけど、
(いるのかな?)医者はたいてい共感が苦手で、
まじめに感情移入しすぎると、厳しい対応が取れなくなる。
結果、患者さんの対処を間違える。

だから、医者は少し上から目線くらいでちょうどいいんんだと思う。
いつも俯瞰して、客観性を保つ。相手に引っ張られない。
感情移入する自分も上から見ていて、自分に駄目だしができる。
カウンセラーなんかはその点、横から目線。
だってカウンセラーの仕事は、寄り添うことで、
共感が全ての出発点になっているから。仕事の立ち位置が
医者とはぜんぜん違う。

もっというと、横から目線のドクターはちょっと危険。
フレッシュな新人で、患者さんの目線で仕事をするんだ!と
燃えているやつが新聞に載っていたりするけど、
大丈夫か?と思う。こういうやつほど好不調が激しくて、
患者さんの状態じゃなくて、自分の気持ち、機嫌で動く。
そして治療の失敗を自分のせいだと思わない。

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コメント

コメント一覧

鬱やBPDの人と付き合って行くと、よかれと思っていたことが逆に取られてしまったりして自分の価値観が不安定になってしまいます。
先生の文章を読んで、適度に距離を置いてあげるのも
突き放しているわけではなく、優しさでもあるのかなと思いました。
written by とらじ / 2008.05.13 12:31
最近、科は関係なく「横から目線」の医師が多い気がします。
私的には、「斜めからの目線(伯父さん)」というのが、丁度いいような気がしています。
パターナリズムのように「父親の目線」というのも時には必要だと個人的には思うのですが、いろいろと問題もあると聞きますので、親戚の伯父さんのような気持ちで・・というのがいいような気がします。
抽象的な表現ですみません。
written by 門外漢ですが。。 / 2008.05.14 20:01
とらじさま
コメントありがとうございます。
自分の価値観が不安定になる感じというのはよくわかります。何かの本で読んだのですが、建築物が高くなるほど、それを支える「背骨」にあたるものを、さらに支える構造を作る必要があるんだそうです。なんか、誰かを支えようと思ったら、支える人に支えが必要という話にかぶるなあと思って覚えていました。ちょうど距離って人によって違うのかもしれませんんが、自分の「やさしさ」が常時機能する機能するには、距離が必要なのかなと思います。常時というのがポイントですが。
written by なし / 2008.05.15 08:56
門外漢さま
コメントありがとうございます。
斜め上というのは最近良く聞く言葉ですが、
斜めというのはいい表現ですね。いいです。その線でいきます。
written by なし / 2008.05.15 08:57
医師に相対するのにとてもエネルギーが必要な患者の場合、父権的な医師だと辛いのではと思います。そもそも話ができない、本当の事を話せないという状態では治療的な関係ではないのではないかと。
そういう患者はひょっとして稀なのかも知れませんが、診察以外ででも受容的な場が用意されていた方がいいのではないかと思います。門外漢なのに勝手な事を申して済みません。
written by シノブ / 2008.05.21 11:29

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