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2008.04.19 15:44 |  診療  |  なし  | 推薦数 : 2

パワーゲームにならないために

治療をしていると、患者と家族のやりとりが

パワーゲームになってしまうことがある。

 

30歳の軽症うつの女性が夫に

「あなたが私の話を聞いてくれないから具合が悪くなるのよ」とか

20歳のボーダーっぽい軽症うつの子が

「親から小さいころにほっておかれたから病気になった」とか。

夫や親に噛み付く場面がちらほら。

精神科病院で守られながら、家族に噛み付いて

自分は悪くないんだと正当性を主張する。

 

多くの場合、落としどころがみつからなくて

その場しのぎに家族が折れたり、折れずに疲れきるまで議論したり。

こういうとき、「相手の気持ちになって考えてみよう」は、

確実に最短距離の正解なんだけど、

このアプローチでは誰も納得しない。

 

昔何かの本で読んだ話。

組織をまとめる最良の方法は、組織の外に敵を作ること。

高校の野球チームとかが強烈なまでの結束を見せるのは、

「他のチームに勝つ」という目的がはっきりしているから。

敵が外にいれば、中はまとまる。

外の敵に組織が勝つ事が、自分の価値を高める事につながるし。

でも、外の敵に勝つ意識が薄くなったとき、中の結束はゆるくなり、

個人個人で自分の価値を証明しなければいけなくなる。

そして、外の敵と向き合う事が出来なくなったとき(負けがこんだとき)、

中に敵が生まれて、自分の価値は中を責めることでしか確認出来なくなる。

 

だから、夫婦や家族も集団として捉えれば、

その塊の外の敵をしっかりと見据えないといけないんだと思う。

みんなの目に敵がはっきりと映れば、

外でのパワーゲームに勝つ為に、中はまとまる以外にはない。

言い方を変えると中でまとまる為には、

戦いに勝つ為のプランを提示する必要があると思う。

敵を規定して、それに勝つプランを。 

    

先のケースの場合、

僕もつい、「だんなさんの気持ちを考えて見ましょうよ」

とか言いたくなってしまうけど、

それだけでは、「私の気持ちはどうなるのよ!」としかならない。

たぶん、そうじゃなくて、患者さん対近所にすむ義父母との戦いとか、

夫対職場の上司・同僚の戦いとか、そういった外との間の戦いを

勝ち抜くプランを提示して、それと向き合いながら

家庭内のパワーゲームを解決していくやり方が

最短距離ではないけど、現実的な路線かなと思っている。

    

パワーゲームになるのは患者と家族だけじゃなくて、

治療方針をめぐって、患者と医者がぶつかる事もあるけど、

(治療方針を云々する時期は、現実の問題に直面できないから

パワーゲームになってしまうというのもあるんだけど)

お互いが敵なわけじゃなくて、敵は病院の外にいるというふうに

もっていければ治療はやりやすいんだけど・・・

まあ、現実にはうまくいったりいかなかったりか。

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