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2008.04.17 18:28 |  診療  |  なし  | 推薦数 : 2

「無理をさせないでください」の功罪

ちゃんと治療をしているのにうつが遷延している人。

「正しい治療」が機能していないことがあると思う。

 

先日、長年うつ病が改善しないという主婦が外来に来た。

発病当時の意欲の低下や、抑うつ気分は大分改善しているんだけど、

身体化した症状が出てきて、「胃が痛い」とか「動悸がひどい」とか

「過呼吸発作が出る」とか延々と続いている。

薬はちゃんと使われているけど、なかなか改善しないらしい。

 

だとすると、休養が取れてないのかなと思うのが普通。

聞くと規範意識の強い生真面目な人で、

近所の人やPTAなどで過剰に合わせすぎて疲れてた。

発病当時は夫の配慮がなくて(会話がなく)苦しかったけど、

精神科に通いだしてから夫がやさしい言葉かけをしてくれるという。

「今は夫がよくしてくれて、家族は大好き」なのに、

家にいると涙が出るという。

 

こういうケースには、いろんなアプローチがあるだろうけど、

僕は家族療法もどきが好きだから、家族の生活に目が行ってしまう。

よく夫に話を聞いてみると・・・・

「うつ病ですから無理させないでください」

「本人の話をよく聞いてあげてください」

という医者の指導をよく聞いて頑張っていた。

でもわからないまま、言葉を鵜呑みにしていた。

 

わからないまま、患者のためにいわれたことを守るって大変。

夫も大変だけど、患者も大変。

だって、それまであまり患者を省みなかった夫に、

「支持的に接してください」といっても、

出来るのは支持的な指示。「無理するな」という言葉かけ。

もちろんそれは患者がきつい時にはありがたい言葉だけど、

わからずに続けると、「病気」という呪縛にかかってしまう。

極端から極端へ。落としどころが見つからないループにはまってしまう。

  

本当は治療の流れの中で、この患者さんと夫にできる

「無理のない生活」という落としどころを探るべきだと思う。

「患者の頑張り」に目が向けて、妥協点を探るべきだと思う。

無理をさせないというのは、本当はそういう意味も含んでいるけど、

わからないまま「わからせる」と、かえって大変になるんだと思う。

 

それまでのドクター(僕の同期)の働きかけで間違っているところなんて

一つもないと思うけど、正しいことが、正しく機能しないと

病気の遷延化を招くことがあると思った。

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