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2008.04.05 17:52 |  診療  |  なし  | 推薦数 : 0

親がわかってくれないから、自傷した

以前、研修医に教えたい事で、

症状をありのままに聞くんじゃなくて、

常識と照らし合わせて、「何でそんなことすんの?」と

問いかける事が大切と書いた。

 

例えば、たとえば五月雨登校の女子高生。

「親がわかってくれなくて、自傷した」と訴えてくるとき、

ああ、そうなんだ、親がわかってくれなくて苦しいんだね

とかわかっちゃ駄目だと思う。

ふつう親がわかってくれなくても自傷しない。

僕の常識だと「親がわかってくれない」→「自傷」はつながらない。

でも、研修医時代に、目の前でかわいい女子高生が泣きながら

切った手首を見せてくれると、つい雰囲気でわかっちゃうかもしれない。

 

中には天才的な研修医がいて、それで本当にわかっちゃうことが

あるかもしれないけど、たいていの研修医にそれは無理。

いきなり「その女の子」の苦しさは、他人には分からない。

まず、その子をとりまく「常識」を思い浮かべて、そこから女の子の言葉を検討していく事が大切! 

ふつう、親がわかってくれなければ、友達に愚痴を言ったり

友達がいなくても自分なりに気持ちを整えて学校にいく。

学校でうまくいけば、「親のことなんて小さなこと」と

切り替えることだって出来るはず。

「親がわかってくれなくて自傷した」から最低限いえることは、

学校(子どもの主戦場)でうまくいっていないということ。

高校という世界で、あまり人から認められたり必要とされたり

していなくて、「親に分かってもらわないと気持ちが整えきれない」

ような傷つきがあったんだろうと思う。

 

子どもだって自分の世界で頑張って生きている。

この子を取り巻く高校という世界は、大人からすれば

とってもくだらない事に血道を上げている世界。

もともと食う為に働く事を免除されているから、高校生の悩みに

生活臭はなかったけれど、それに加えて今は学業とか、

いろんな意味の縛りがゆるくなっているので、悩みが凄く多様化している。

でも、昔も今も共通しているのは自分の価値を証明しようと必死なこと。

尊重されたり必要とされるために、必死に勉強してみたり、

スポーツしてみたり、友達と付き合ってみたり。

自分で自分を認めるために、人の評価を求めてる。

ただ、人の評価を求める為に必死に取り組む方向が

多様化しているから大人(親)にはわかりにくくなっている。

 

そういう子どもを取り巻く常識の視点を持っていれば、

あとから「友達にしかとされた」とか、

「大阪にすむメル友に会いに行きたい」と

女の子が言っていたという話を聞くと

なるほどねと理解できる。その子がメイドの格好をするのが

大好きと言うのも「馬鹿なこと」ではなく、それもまた必死なのだと思える。

そういうディテールからもその子の頑張り、必死さが描けないと

わかっているつもりで、親と一緒にすれ違ってしまうと思う。

 

もっというと、子どもの常識を頭に入れて、

あいての常識を踏まえて話を聞いていかないと、治療が

「患者が自傷するから親が折れる」か「親が折れずに患者に自傷させない」

かのパワーゲームの治療になってしまう。

まあ、親が折れれば場は収まるけど、本当に戦う相手は親じゃない。

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