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長時間労働とストレスから鬱病を発症し、自殺した外科医が労災認定されたという報道があった。38歳という働き盛りでの死に対し、心からお悔やみ申し上げたい。
ただ、そのストレスの原因が2年間に2回、大腸内視鏡による穿孔を起こし、上司に叱責されたこと、という部分がひっかかった。
厳しい言い方になるが、2年間で2度も穿孔を起こすということはきわめて異例の高い確率であり、この医師は大腸内視鏡について正規のトレーニングを受けていなかったものと推察される。
青戸病院事件以来、内視鏡手術については医師の育成システムが取り沙汰されるようになった。しかし胃や大腸のルーチン検査については、医師免許さえあればきちんとトレーニングを受けていない者がやっても何ら罰則規定は無く、毎日日本のどこかで穿孔が起きているといった燦々たる状況である。
現在総合病院では、内視鏡を含めた術前検査は内科医が、手術は外科医が担当するといった役割分担がなされていることがほとんどと思われる。そのように勤務医時代にほとんど内視鏡経験の無い外科医が、開業した途端に自院で内視鏡を始めるケースが、自分の周囲でも後を絶たない。
やったことのない糖尿病等の治療を外科系開業医が見よう見まねで行っているのも問題と言えば問題ではあるが、いろんな文献に目を通して勉強していただければできないことはない。しかし内視鏡技術は本を読んだだけでは習得できないのだ。
亡くなられたドクターにはお気の毒だが、正規のトレーニングを受けていない医師の内視鏡検査で腸に穴をあけられた患者さんの方がもっとお気の毒であるということを決して忘れてはならない。
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