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2006.06.09 19:55 |  診療  |  scatterbrain  | 推薦数 : 1

重患尻目に定時の御帰還

象牙の塔、大学病院も昨今尻に火がついて、ようやく見直す動きが出てきた。病院は患者の病気を治すことを最大の目標に掲げて全職員が一致団結するところだと思っていたが、20数年前、卒後の研修先に選んだ大学病院にそんな様子は微塵もなかった。

20代の妊婦さんが最初腹痛を訴え、その後意識が無くなって、大学に搬送されてきた。CTで脳室に大量の出血が確認され、DICから脳死状態になっているものと考えられた。

夜9時は過ぎていたと思うが、いつものことながら病棟に残っていた研修医にオーベン、全部で十数名の医師たちは手分けして何とか救命を試みた。私は赤沈を立ててくれるよう準夜勤の看護師に頼み、濃赤10パックのクロスマッチをするため、1階の検査室に降りて行った。

普段やり付けない仕事なので手間取り、病棟のオーベンから電話で叱責されながら、どうにか完了して血液を持って病棟に上がると、頼んでおいた赤沈のスピッツがテーブルに放置されていた。その重患の入院手続きが 正式に完了していないのをいいことに、準夜勤の看護師はのんびり看護記録を書いて、深夜の看護師に引き継ぎをして、慌てふためく医者どもに一瞥もくれず平然と帰って行った。

瀕死の重病人がカボチャに見えるようでなければ、大学病院の看護師は勤まらないという訳さ。 

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