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今宵は性器ヘルペスの3回目です。

 

さて、誘発型の性器ヘルペスであったUさんは、あのあと、どうなったのでしょう?

 

彼は、ほぼ月に一度の割合でやって来る。

初めて、ヘルペスの発作を体験してから、毎月のようにぺニスに水疱が出来てくるのだ。

もちろん、性器ヘルペスの確定診断をつけるため、血液の抗体はすでに測定してある。

それによると、Ⅱ型のヘルペスの抗体価(血液中の防御因子の多さと考えてください。)が、

8倍と陽性に出た。Ⅰ型は陰性だった。じゃあ、この8倍っていうのは、どういう評価を

したらいいかっていうと、ヘルペス感染で言えば、まだ、未熟っていう数字なのです。

抗体価っていうのは、4倍未満っていうのが陰性で、そこから、4倍、8倍、16倍、32倍、

64倍、128倍・・・・・・・というように上昇していく。

さらに、皆さんがイメージしている抗体という言葉と、たぶん違っているのは、

「抗体が出ていても、ヘルペスは体の中で生きていられる。」っていうこと。

抗体出現とともに、病原体が体内からいなくなってしまう疾患も確かにあります。

こういう場合の抗体は、中和抗体って言われていて、基本的には、中和抗体のでる疾患では、

抗体出現とともに、その病気は終了、って感じです。

でも、ヘルペスウィルスに対する抗体はこの中和抗体ではありません。

むしろ、さっき出てきた8倍という抗体価だと、ウィルスに対する押さえが弱い分、ヘルペスは、

再発しやすいといえる。(初めて症状がでてから、もう、10年にもなるなー、なんて人の抗体価は

ずいぶん高くなってる場合が多い。例:128倍)

 

じゃあ、再発に関わる誘因にはどんなものがあるのか?

その誘因には実にさまざまなものがある。

次にあげてみます。

 

仕事で疲れている時。

あまり眠れていない時。

重いものを運んで腰が痛くなった時。

日焼けをした時。

風邪気味の時。

マスターベーションを連日でした時。

セックスで一晩に2度以上、射精してしまった時。

 

こんなところでしょうか。

つまり、陰部の感覚神経に過度な刺激を与え続くけた時に起こると考えてください。

女性では、これに、月経、妊娠が加わるのも、納得いただけると思います。

 

はじめてボクが、このUさんに、

『これは単純ヘルペスウィルスのⅡ型の感染で、抑えることはできても、治すことはできません。』

と、告げた時、彼は、少し怒った顔で、吐き捨てるように言ったものだ。

「今の医学って、たいしたこと、ないですね。」

 

たしかにその通りだよ。でもね、病気のメカニズムがわかってる以上、これからの

展開を話してあげることくらいはできるし、実際にヘルペスを抑え込むことは、

抗ヘルペスウィルス薬である、バルトレックスという薬を用いれば、充分可能なんだよ。

(外国で行われている、連続抑制投与は、まだ、日本では無理ですが。) 

 

だから、今、彼は、ヘルペス発作の予兆を感じたら来院、服薬、という指示により動いている。

最初のうちは、その予兆を見極めるのが、困難だったみたいだ。

なので、気が付いたときには、ペニスにすでに潰瘍ができてるなんてことになっていたが、

最近では、どうにか、水疱形成の一歩手前で来院できるようになった。

 

彼の場合の発作の予兆とは、足とお尻の痛みだ。坐骨神経痛といってよいだろう。

これが、彼の来院のサインなのだ。

このとき、この症状を放置しておくと、3日後くらいに、ペニスに水疱が形成されてくる。

よって、この坐骨神経痛が見られたときに、速やかに来院し

バルトレックスを服用し始めると、

神経痛は消え、続発するはずだった、水疱も出てこない。もちろん、潰瘍も形成されない。

 

あとは、発作と発作の間隔が開いてくることが目標なのだが、こればっかりは、

神のみぞ知る領域の出来事なのである。

彼の場合には、現時点で約、月に一回のヘルペス発作なのだが、これが3ヶ月に一回になり、

半年に一回になり、やがては、1年に一回、3年に一回というようになってくれればOKなのだ。

 

こうなってくれば、単純へルペスウィルスとの戦いも、ほぼ終焉を迎えるのであるが、 

忘れてはならないことが一つある。以前は、単純ヘルペスは、水疱が出現した時に限って、感染する。

と、いわれていたが、現在では、一度キャリアとなった人物は、よほど抗体価が高くならない限り、

たとえ水疱や潰瘍がなくても、常に皮膚からウィルスが排泄しているとされ、感染源となり得るのだ。

 

この問題は非常にデリケートである。

実際に、パートナーに性器ヘルペスを感染させられ、別れていったカップルを、

ボクは、何組も見てきた。これは、当事者たちも悲しいが、その病状説明を、

2人の前で行ったボクも、相当凹む。

 

10年以上前に、やはり、性器ヘルペスで来院された、当時、10代の女の子を、ボクはいまだに、

診続けているが、その子に彼氏が出来るたび、彼女はボクのところに彼を連れてきた。

そしてボクは、決まって、新しい彼に、彼女の病気の話をすることになる。

その時、男の子は、理解を示してくれたように思うのだが、いつの間にか、別れてしまう。

これの繰り返しだった。病気に対する偏見もあったのだろう。

 

彼女のヘルペス発作は、ここ3年は、もう一度も出ていない。

それなのに、彼女は、新しい彼を作ろうとはしない。

彼女は、今、30代になった。

 

そういえば、Uさんも、何度目かの外来の時、ボクとしゃべり終わった後、

涙をぬぐっているときがあったっけ。

 

治らない疾患というものが、どれだけの重みを持つか、おわかりいただけましたか?

そして、それを、場合によっては、最愛の人間にうつしてしまうという、悲劇が起こるということも。

 

みなさん、なってから病気と向き合うんじゃなくて、罹らないようにするんだよ。

わかった?コンドームだよ。いい?

 

 

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はじめまして。まえから気になっていたのですが、強度のラテックスアレルギーの場合、コンドームどうすればいいんですか。ラテックスアレルギー用のコンドームってあるうんでしょうか。
written by GR / 2006.07.03 05:19
たしか、サガミゴムが、薄くて熱を伝えるっていうキャッチフレーズのポリウレタン製のものを出してたかな?
written by STDと戦うDr. / 2006.07.03 08:17
この記事を読み終わって、ある意味HIVよりヘルペスの方がタチが悪いなぁと思いました。
written by かえる / 2006.07.04 23:50
>かえるさん
でもね、ヘルペスは死なないし、ヘルパーTcellも下がらないからね。
ボクは、両者ともワクチンが出来ればいいと思っています。
written by STDと戦うDr. / 2006.07.05 00:05
素朴な疑問なんですけど。
病気というか、ウイルスを持っている人の頻度って、どの位なんでしょうか。
written by Dr. I / 2006.07.06 20:58
>Dr.Iさん
興味深いデータがありまして、東京近郊の20歳前後の女子学生323名のHSV-1・HSV-2抗体
保有率っていうのなんですけど。
結果は、HSV-2が陽性だったのは、全体の5.9%で、これは、HSV-1が陰部に入っている女子を
除いてしまっているので、実際に性行為を行った時、6%以上の確率で、HSVと出会ってしまいそうだ、
ということです。
written by STDと戦うDr. / 2006.07.06 22:49
質問いいですか?私はHSV-2の保持者です。Ⅰ型は持っていません。以前ゴム無しで数回、ヘルペスの症状が出ていない時にSEXした事があります。相手の男性にはヘルペスの症状は出なかったし、今その人とは連絡が取れない関係ですが、
ヘルペスの症状が出ない=感染していない、という事では無いとある病院の先生から言われました。やはり相手の男性を
探してでもヘルペスの検査を受けてもらうべきでしょうか?
written by ニャンコ / 2007.09.22 11:38
私はつい先日、性器ヘルペスだと診断されました。
アメリカで大学生をしているため、もちろんアメリカの病院で診断を受けたのですが、その先生は親切ではなく、疑問を沢山抱えたまま、病院から帰り。迎えに来た彼は、私にも分からない質問を繰り返し、仲が明らかに今までとは変わってしまいました。彼が離れてしまってもそれは仕方ないことだと思っています。これを読んで私は誘発型だと思ったので、いったい誰に移されたかさえ分かりませんし、もし私が感染原因だったら、確実に彼に移してしまったと思います。そんなことを毎日考えていると、これからきっとあきらめなきゃいけないことは沢山あるんだろうな、とか、とても悲しくなります。
質問なのですが、これからセックスをしていく中で、自分が相手にフェラチオをすることで相手に移してしまいますか?
自分が症状のないときに、クンニリングスをされたら、そのした方相手に移してしまいますか?
これから、どうやって生きていこうか、ものすごく不安です。
written by ジャスミン / 2007.12.11 15:11

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