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皆さん、しばらくUPしないで申し訳ありませんでした。

7月10日のレセプト提出後、ボク自身、体調を崩してしまいました。

でも、だんだん戻ってまいりましたので、また、書いていこうと思います。

 

ということで、本日は、ある性風俗で働くある女の子が、うちのクリニックに来院し、

どのように病気と戦っているかをレポートします。

 

彼女は22歳、ピンサロで働いている。

最初彼女が、初診でやってきたとき、「不正出血があります。」ということだったので、

排卵障害などの婦人科的な疾患に伴っての、機能性子宮出血の患者さんだとばかり思っていた。

ところが話をよく聞いてみると、初めは、はっきりとは言わなかったのだが、

「指を入れられると出血する。」とか、「だんだんおりものが変になってきた。」とか、

「いまでは痛くてたまらないのに、仕事に行かなくてはいけない。」というように、 

話をしていくうちに、彼女がコマーシャルセックスワーカーであり、そのなかでも、

「ピンクサロン」いわゆる「ヒンサロ」で働いているということがわかった。

 

現在、性行為感染症に関する研究や論文で、たびたびこのコマーシャルセックスワーカー(CSW)が、

取り上げられるが、たいてい、どの職種の人が、どれぐらいの率で、どんな病気を持っているか、

というような統計ばかりが目につく。実際にボクもそういう数字を使って、患者さんに、

いかに病気が恐いとか、そのへんにごろごろしているとか、うつりやすいとか、そんな話をしているのだが、

実際に、そのCSWの子を患者さんとして迎えてみると、たいていの子は、ものすごく真剣に、

自分の仕事のことや、お金のこと、家族のこと、彼氏のこと、

子供のこと(これはいる場合に限ってだが。)

を考えていることがわかる。

そして、こういう仕事をしている自分を、どうやって病気から守るか、ということを、

本気になって考えている。ただ、自分が考えていることと、お店や、お客さんが要求することは、

必ずしも一致してはいない。

自分がいくら、「お客さんに最初からコンドームをつけてフェラチオがしたい。」といってみても、

お店側としては、「ゴムをつけずに生でフェラチオをした方が、指名が取りやすい。」などといって、

女の子の意見は、無視される場合が多い。

つまり、女の子は、コンドームをしないフェラチオを提供し、自分の口の中に、ほとんど見ず知らずの男が、

毎回毎回、精を吐き出していくのだ。

考えてもみてください。確かにお金を払って、そういったサービスを、楽しもうとする男性が

いることも事実だし、そういったお店が繁華街に乱立しているというのも紛れもない事実です。

そして、そういうお店で働いて、短時間で、同年代の女の子が、普通に稼ぐ何倍ものお金を

得たい、または得なければならない女の子がいるのも、また、事実なのです。

資本主義社会の法則でいえば、まさに需要と供給のバランスがつり合っている状態と

言えるのですが、もう一つそこに、何か、お互いの体を尊重しあう、エッセンスが加われば、

今とは違った性風俗文化として、人々に認識されるに違いないのですが。。。

 

ただ、実際はとても激しいです。

先ほどの、22歳の女の子の診察をしてみると、子宮の入口部分に子宮頸管ポリープという病変が

認められた。この病変は、通常、慢性の子宮頸管炎に続発して起こることが多い。

ただ彼女の場合、普通のものとはちょっと違っていた。

それは何かというと、比較的太い頸管ポリープの茎の部分が、半分ちぎれたようになっていて、

そこから、じんわりと出血が認められるのだ。

もちろん、普通は、自然の経過で、そのようになることはない。

おそらく、彼女が店で接客したであろう内の一人の客が、彼女に口でサービスを受けながら、

彼女の膣の中に指を入れ、その指先か、ないしは爪かで、頸管ポリープを「こさいで」しまったのだ。

 

ボクは自分で見たまま、感じたままのことを、そのまま彼女に告げた。

 

すると彼女は、自分の顔を両手で覆い、静かに泣き出したのだ。

きっと、今自分がやっているこの仕事への後悔もあったのだろうが、それと同時に、

女性の性器の一部にある、病変部でさえも、自分の快楽の標的にしてしまうという、

男という生き物のおぞましさに、怒りと恐怖を感じたのだろう。

 

『しばらくお休みした方がいいな。仕事は。』ボクは彼女に言った。

すると、涙で目を真っ赤にはらした彼女は、手で涙をぬぐいながら、こう言った。

「何日位ですか?あんまり休めないんで。」

 

逞しすぎる。。。

そうあっさりといって退けた彼女の潔さに、ボクはある意味、男らしさを感じてしまった。

と同時に、『何しろこの子を、1日も早く、完璧な状態に戻してやろう。』と、堅く心に誓うのだった。

 

<いつものように続くです。>

 

 

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FIFAサッカーワールドカップの決勝戦は、

イタリアVSフランス に決定しましたね。

歴史的にも、かつてヨーロッパ全土を支配した二つの国が、その威信をかけて

闘うのですね。さしずめ、シーザーVSナポレオン といったところでしょうか。

楽しみです。

 

ところで今日は、七夕ですね。織姫と彦星が、天の川をはさんで、1年にこの日だけ出会うという、

何とも夢のあるおとぎ話です。ただ、 理科のお勉強をすると、何故かもう一つの星、白鳥座のでデネブ

が出てきて、「夏の大三角」なんていう、まったく色気のない話になってしまいます。

 

さて、今回は、細菌性亀頭包皮炎の第3回目となります。

 

前回でも説明したように、人体での場所取り合戦に勝利した細菌は、粘膜に居座り続けます。

その結果、ペニスがぐちゃぐちゃになってしまった人は、怖くなって、すぐに医療機関を受診します。

(但し、すぐ来ない人もいますけどね。そういう人も結局は後から、もっとデロデロになって来ます。)

 

ただ、その状態が、マイナートラブルと言えるぐらいのものだったら、その本人は、

いったいどういう行動をとるのでしょう?

意外と、日々悩み、苦しみ、自分を責め続ける、かわいそうで見てられない状態でいることが多いようです。

 

こういった場合、結局は、ちょっとしか悪くないので、お風呂に入った時など、

「ちょっと赤いなぁ~。少しカスが出るなぁ~。おれって皮膚、弱いなぁ。」くらいに思っています。

ところが、マスターベーションをしたあと、「なんだか、ヒリついてきたぞ。」とか、

「赤みが増したぞ。」なんていうことを意識しだすようになります。

 

このままいけば、どうにか悪くならずに済むのですが、ちょっとしたチャンスがあって、

「今夜は、彼女を寝かせないぞ。」とか、「先輩といっしょに、ソープだー。やったー。」とか、

こんなことになってしまうと、さっきみたいな可愛い症状では済まなくなって、

行為のあった1~2日後には、「おれってどうしちゃったわけ?」みたいな状態になってしまう。

で、あげくのはてに、「何か悪い病気をもらってしまったかもしれない。」と思いながらも、

「自分のせいだ。」という、いじらしいまでの責任感で、毎日、じゅくじゅくになった局部を、

トイレに入るたび、ティッシュでこっそり拭くという、日陰の身の生活にどっぷりと浸ってしまうのだ。

 

今回のシリーズの第1回目に出てきた彼は、発症後3日目に、来院している。

実は、これは非常に優秀な方で、じつは、こんな人のほうが珍しい。

よくある例として、初診時に、「半年前から。」とか、「1年前から。」などと言ってくる人がいる。

そういった方は、その間に、よくなったり悪くなったりする局部のきげんを毎日毎日うかがいながら、

男としての楽しみから、ほぼ背を向けて生きていくようになる。

彼女といい雰囲気になったのに、何もしないとか(これは時として、いい人と思われる場合もあるが、

ホモ・セクシャルと思われてしまう場合もある。)、

または、されそうになったのに、かたくなに拒むとか(こっっちは、嫌われるよなー。ふつう。)。

 

さあ、賢明な皆さんなら、もうお分かりいただけただろう。

細菌性亀頭包皮炎は、見つけたら、っていうか、感じたら、即、治さなきゃいけないのです。

特に、包茎や仮性包茎の方はただでさえこの疾患になりやすく、いざなってしまうと、

ほっといても、だいたい、だめって事が多いからね。

で、実際にどういった治療が一番いいかってことだけど、皮膚にダメージを与えている

細菌の種類をきちんと調べて、それに見合った、外用薬や内服薬をを選択すれば、

特に大きな間違いなく完治へと持ち込むことができる。

ということは、民間療法は、ほとんどダメっていうことになります。

すぐに医療機関を受診して、しかるべき治療を受けてください。ただし、治らない場合もあります。

先生によっては、この辺の分野に得意不得意があるからです。

万が一そんなことになった場合は、大変運が悪いと言わざるを得ないのですが、

もし、上手に治してもらったとすると、これほど心強いことはありません。

なぜならば、細菌性亀頭包皮炎は、男性である限り、いつだって、どんなことをしていたって

なってしまう可能性があるのです。一度きちんと治ったというパターンがあれば、

次回もし、また、同じ状態になってしっまった時、それを応用してみればいいのです。

 

何かまだ、みなさんにお伝えしてなかったようなことが、ある気がしてなりません。

世界を救うといってる割には、頭がシャープに働きません。

なぜなら、もうすぐレセプトがあるからです。(7月10日しめきりなんだよ~。)

よって、細菌性亀頭包皮炎は、折を見てまた取り上げます。

 

七夕の夜、みなさんはどう過ごすのでしょうか?

少なくとも、今夜のお話の疾患には、ならぬよう、作らぬよう、くれぐれもご注意を。

それでは、また。

 

 

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今回は、細菌性亀頭包皮炎の第2回目になります。

 

この前は、洗いすぎちゃったってところまで、お話しましたね。

結局その行為が、粘膜という、人体においては、かなり柔らかい組織の表面を破壊してしまった、

ということは、お分かりいただけたと思います。

 

では、傷ついた粘膜が、なぜ、あのような状態になってしまうのか、ということを

順を追って、ご説明いたしましょう。

 

傷ついた粘膜には、目に見えない細かな傷が、無数についていて、その傷一つ一つに、

まるでシイタケ栽培の植え付けのように、皮膚の表面にいる、ありふれた細菌が入り込んで、

その場所で、増殖を繰り返します。

 

この場合の、ありふれた細菌とは、B群連鎖球菌、エンテロコッカス、黄色ブドウ球菌、

などの頻度が高いのだが、時として、A群溶連菌などの皮膚毒性の高い細菌が、

感染してくる場合もある。(そういった場合は、ハンパじゃない状態になるのだが。。)

 

細菌に入り込まれ、勝手に繁殖されている状態に陥っている、人間の皮膚は、

何とかしてこの状態を打破しようと、いつもより、皮膚のターンオーバーのスピードを上げて、

粘膜上皮の不完全角化層を、どんどん剥がしながら、同時に細菌を、体外に押し出そうとしている。

(この状態が、カスが出るっていう状態です。)

ところが、細菌のほうも、やるもので、外に出されてはなるものかと、皮膚の奥へ奥へと、

浸潤しながら、その場所で棲息し続けようとする。

 

その結果として、ほぼ全例において、細菌対皮膚のスピードの戦いは、細菌に軍配が上がることになる。

つまり、一度、この細菌性亀頭包皮炎の病態に陥ってしまえば、自然治癒は望めない、

ということになる。だって、出そうとする勢いが、そこに居座ろうとする勢いに負けてるんだから。

 

もちろん、最初に入ってきた細菌の種類や、量などにも影響されるので、一概には言えないが、

来院される患者さんの数から考えても、だいたいみんな、こんな感じになっているんだと思う。

 

<今回は、病態生理の説明みたいになってしまいましたが、次回もどんな展開になるか、

まったく決まっていません。ので、よろしくお願いいたします。まだつづくぞ~~。>

 

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皆さん、今回から、男子における細菌性亀頭包皮炎のお話をしましょう。

この疾患は、まさに、女子のBV(細菌性膣症)に匹敵するともいえるくらい、日常の臨床で、

ちょくちょくお目にかかるものです。

 

ところで、話はそれますが、ヨーロッパのサッカーは、実にすばらしい!!彼らのサッカーを見ていると、

世界がまだ混沌としていた時代、ヨーロッパの地に、世界征服を夢見た英雄が、幾度となく

現れ、その野望を成し遂げたのがわかるような気がしますよね。英雄を支えたのは、きっと、

いつだってあんな風に組織化されて、たたみかけるような攻撃力と、必ず勝つための

モチベーションを持ち続けられる、疲れを知らない兵士達だったのでしょう。

 

横道にそれすぎたかな?

 

では、ある日の診察室から。

 

『今日はどうしましたか?』

「3日位前から、ペニスの皮が赤くなってきて、だんだんと、垢のような、カスのようなものが、

でるようになってきたので来院しました。何か、変な病気でしょうか?」

30歳になったばかりの彼は、不安げにボクに尋ねた。

『なにか原因になるようなことはあったの?』

「韓国エステに行きました。」

『それはどういうことをするところなんですか?』

「最初に一緒にシャワーに入ってくれて、洗ってくれて、出てから、口でしてくれるところです。」

『それって、ヘルスじゃないんですか?』

「そうとも言うかもしれません。」

『では、そこ(韓国エステ)ならではという、すごい技みたいのはないんですね。』

「そういうことになります。」

なんとも不思議な会話になってしまった。

 

ただ実際に、彼のペニス見てみると、まあかわいそうに、亀頭と包皮の部分が、

赤くはれあがり、わずかに浸出液が滲み出しているという、とても悪そうな状態であった。

 

『だいたい1日が終わって、夜、お風呂に入ろうとすると、その時は、ムチャクチャ、カスが出ているでしょ?』

「そうです。だから、それが気になって、体を洗う時に、思いっきり、アソコを洗ってしまうんです。」

『例のエステでもかなりゴシゴシやられたんじゃないの?』

「はあ。かなりきれいにされました。あと、洗い終わった後に、消毒液みたいなものをつけられました。」

 

この流れは、この細菌性亀頭包皮炎にとって、一番多いパターンかな。

エステの女の子は、自分を守るために、死にもの狂いでお客のペニスを洗うし、

された男性側も、なんか変な菌がついているといやなものだから、家に帰ってきてから、

何度も何度も、これまた狂ったように、自分のペニスを洗ってしまうのだ。

一見、清潔というものを、追求するかのような行為が、間違った方向にいってしまうという、

悲しいストーリーであるといえるのだ。

 

<この先、いったいどういう展開になるのか、まったくわからぬまま、続く。です。>

次回もよろしくネ。

 

 

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今宵は性器ヘルペスの3回目です。

 

さて、誘発型の性器ヘルペスであったUさんは、あのあと、どうなったのでしょう?

 

彼は、ほぼ月に一度の割合でやって来る。

初めて、ヘルペスの発作を体験してから、毎月のようにぺニスに水疱が出来てくるのだ。

もちろん、性器ヘルペスの確定診断をつけるため、血液の抗体はすでに測定してある。

それによると、Ⅱ型のヘルペスの抗体価(血液中の防御因子の多さと考えてください。)が、

8倍と陽性に出た。Ⅰ型は陰性だった。じゃあ、この8倍っていうのは、どういう評価を

したらいいかっていうと、ヘルペス感染で言えば、まだ、未熟っていう数字なのです。

抗体価っていうのは、4倍未満っていうのが陰性で、そこから、4倍、8倍、16倍、32倍、

64倍、128倍・・・・・・・というように上昇していく。

さらに、皆さんがイメージしている抗体という言葉と、たぶん違っているのは、

「抗体が出ていても、ヘルペスは体の中で生きていられる。」っていうこと。

抗体出現とともに、病原体が体内からいなくなってしまう疾患も確かにあります。

こういう場合の抗体は、中和抗体って言われていて、基本的には、中和抗体のでる疾患では、

抗体出現とともに、その病気は終了、って感じです。

でも、ヘルペスウィルスに対する抗体はこの中和抗体ではありません。

むしろ、さっき出てきた8倍という抗体価だと、ウィルスに対する押さえが弱い分、ヘルペスは、

再発しやすいといえる。(初めて症状がでてから、もう、10年にもなるなー、なんて人の抗体価は

ずいぶん高くなってる場合が多い。例:128倍)

 

じゃあ、再発に関わる誘因にはどんなものがあるのか?

その誘因には実にさまざまなものがある。

次にあげてみます。

 

仕事で疲れている時。

あまり眠れていない時。

重いものを運んで腰が痛くなった時。

日焼けをした時。

風邪気味の時。

マスターベーションを連日でした時。

セックスで一晩に2度以上、射精してしまった時。

 

こんなところでしょうか。

つまり、陰部の感覚神経に過度な刺激を与え続くけた時に起こると考えてください。

女性では、これに、月経、妊娠が加わるのも、納得いただけると思います。

 

はじめてボクが、このUさんに、

『これは単純ヘルペスウィルスのⅡ型の感染で、抑えることはできても、治すことはできません。』

と、告げた時、彼は、少し怒った顔で、吐き捨てるように言ったものだ。

「今の医学って、たいしたこと、ないですね。」

 

たしかにその通りだよ。でもね、病気のメカニズムがわかってる以上、これからの

展開を話してあげることくらいはできるし、実際にヘルペスを抑え込むことは、

抗ヘルペスウィルス薬である、バルトレックスという薬を用いれば、充分可能なんだよ。

(外国で行われている、連続抑制投与は、まだ、日本では無理ですが。) 

 

だから、今、彼は、ヘルペス発作の予兆を感じたら来院、服薬、という指示により動いている。

最初のうちは、その予兆を見極めるのが、困難だったみたいだ。

なので、気が付いたときには、ペニスにすでに潰瘍ができてるなんてことになっていたが、

最近では、どうにか、水疱形成の一歩手前で来院できるようになった。

 

彼の場合の発作の予兆とは、足とお尻の痛みだ。坐骨神経痛といってよいだろう。

これが、彼の来院のサインなのだ。

このとき、この症状を放置しておくと、3日後くらいに、ペニスに水疱が形成されてくる。

よって、この坐骨神経痛が見られたときに、速やかに来院し

バルトレックスを服用し始めると、

神経痛は消え、続発するはずだった、水疱も出てこない。もちろん、潰瘍も形成されない。

 

あとは、発作と発作の間隔が開いてくることが目標なのだが、こればっかりは、

神のみぞ知る領域の出来事なのである。

彼の場合には、現時点で約、月に一回のヘルペス発作なのだが、これが3ヶ月に一回になり、

半年に一回になり、やがては、1年に一回、3年に一回というようになってくれればOKなのだ。

 

こうなってくれば、単純へルペスウィルスとの戦いも、ほぼ終焉を迎えるのであるが、 

忘れてはならないことが一つある。以前は、単純ヘルペスは、水疱が出現した時に限って、感染する。

と、いわれていたが、現在では、一度キャリアとなった人物は、よほど抗体価が高くならない限り、

たとえ水疱や潰瘍がなくても、常に皮膚からウィルスが排泄しているとされ、感染源となり得るのだ。

 

この問題は非常にデリケートである。

実際に、パートナーに性器ヘルペスを感染させられ、別れていったカップルを、

ボクは、何組も見てきた。これは、当事者たちも悲しいが、その病状説明を、

2人の前で行ったボクも、相当凹む。

 

10年以上前に、やはり、性器ヘルペスで来院された、当時、10代の女の子を、ボクはいまだに、

診続けているが、その子に彼氏が出来るたび、彼女はボクのところに彼を連れてきた。

そしてボクは、決まって、新しい彼に、彼女の病気の話をすることになる。

その時、男の子は、理解を示してくれたように思うのだが、いつの間にか、別れてしまう。

これの繰り返しだった。病気に対する偏見もあったのだろう。

 

彼女のヘルペス発作は、ここ3年は、もう一度も出ていない。

それなのに、彼女は、新しい彼を作ろうとはしない。

彼女は、今、30代になった。

 

そういえば、Uさんも、何度目かの外来の時、ボクとしゃべり終わった後、

涙をぬぐっているときがあったっけ。

 

治らない疾患というものが、どれだけの重みを持つか、おわかりいただけましたか?

そして、それを、場合によっては、最愛の人間にうつしてしまうという、悲劇が起こるということも。

 

みなさん、なってから病気と向き合うんじゃなくて、罹らないようにするんだよ。

わかった?コンドームだよ。いい?

 

 

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みなさん、前回のクイズは、わかったかな?

 

答えは、誘発型でした。

なぜ、その答えに行き着くかというと、

まず、彼の症状なんだけど、重いか、軽いか、っていうことでみてみると、軽いよね。

実は、3つのタイプで、いわゆる重症と呼べるのは、急性型が圧倒的に多いのです。

じゃ、どんなのが重症かというと、陰部に水疱が多発し、それが、つぶれた後に、

2次感染を起こすなどして、ぐちゃぐちゃな状態になるって感じかな。

このとき、これが女性に起きたとすると、おしっこは痛くてできない、歩けない、座れない、

というようなすごい障害に見舞われることになる。

まあ、男性だって、「どうしちゃったのよ。オレ。」って感じで、ひどく悩んでから来る場合が多い。

そりゃそうだよね。ぐちゃぐちゃで治りがめちゃくちゃ遅いんだもん。

 

そんじゃー、Uさんの症状が軽いものとして、次に考えられるのが、誘発型と再発型なんだけど、

再発型は、2度目以降の症状に対して使う言葉なので、誘発型しか、選択肢は残らない。

 

よって、答えは、誘発型になります。

 

つまり、彼の場合、3週間前に感染したのではなく、もっと、ずっと以前に、

単純ヘルペスウィルスに感染していて、彼は自分の陰部神経にウィルスを持ち続けていた、

と考えられる。そして、体調が悪いとか、陰部神経に過度な刺激を加えたりとかで、

かつて、一度も、症状を出したことのないヤツの眠りを、覚ましてしまったんだな。

 

となると、彼と3週前に性的な関係(適切か不適切かは関係ないけどね。この場合には。w)

を持った女性は、一転して、加害者から、被害者になってしまうことになる。

つまり、彼に単純ヘルペスウィルスをうつされてる可能性があるということ。

 

少し前まで、このウィルスは、水疱や潰瘍が出現しているときのみ、感染力を持つ、

なんていうことが言われていたのだが、近年、どんどん、性的にアクティブな人達にとっては、

うれしくない情報が出てきている。なんと、今では、性器ヘルペスに、感染してはいるが、

一度も、発症していない人、つまり、今回のUさんの水疱ができる前の状態だが、

そういう人でも、ウィルスを排出し続けている、ってことが、あたりまえだよ、ってな感じで言われてるんだ。

 

これはこわいよー。だって、うつしている本人にとって、自分が、ウィルスを保持しているっていう

自覚が、まったくないんだからね。ほんとにまったく。

そうして、ウィルスに感染してしまったパートナーが、発症でもしてくれたら、

どうにか、2人の間に、「ヘルペスあり」、なんて自覚が、めばえるんだろうけど、

もしも、発症しなければ、そのパートナーも、いわゆるキャリアとなり、誘発型の予備軍となる。

さらに、発症しないまま、2人が別れて、それぞれ別のパートナーを持ったとしたら。。。。

 

ウィルス感染がこわい理由が、お分かりいただけただろうか?

 

もしも、これがHIVだったらって考えることは、できないだろうか?

 

と、ビビらせておいたところで、またまた次回へと続いていってしまうので御座います。

今宵はここまでにいたしとう御座いまする。

 

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2006.06.27 16:56 |  診療  |  研究  |  仕事 / 職場  |  生活 / くらし  |  趣味  |  恋愛 / 結婚  |  その他(一般)  |  野望  |  STDと戦うDr.  | 推薦数 : 0

性器ヘルペスと戦う1

みなさんは、性器ヘルペスって知ってるかな?

なんとなく名前だけは、っていう方も多いと思うけど、遺伝子学的に調べてみると、

単純ヘルペスウィルスは、ヒトという生物に、かなり大昔から普通に感染していた病原体でした。

その超長い歴史ゆえ、ヒトの免疫系(自分の体に侵入してくる病原体をやっつける働き)との親和性が高く、

(つまり、やっつけられないってことね。)

一度、人体に感染すると、病原体であるこの単純ヘルペスウィルスは、その人体が

生存し続ける限り、体の中に居座り続けるのです。

まあ、簡単に言えば、感染すると、一生、完全には治らないってことです。知ってましたか?

 

ということを踏まえたうえで、今日は、Uさん32歳♂のお話を。

 

一日の診療が、終わりにさしかかる頃(うちのクリニックでは、18:30までなので、それくらい。)、

彼は、やってきた。

しかも、問診票の「今日はどうされましたか?」という質問に、

「自分で話す。」とだけ、ちょっと乱暴に書いてあった。

 

『今日はどうしたんですか?』

「実は、2~3日前から、ペニスが痛いのです。」

『どう、痛いんですか?』

「シャワーがしみる部分があって、そこがジンジンと痛いんです。」

 

さっそく、その部分をみてみると、彼が痛いと言っていた場所に、直径2mm程度の浅い潰瘍が

2つ認められた。これはいわゆる性器ヘルペス潰瘍の活動期(Active Fhase)のもので、

皮膚の表面の、「上皮」といわれる薄皮よりも下の層の「真皮」まで達している、

ちっちゃいけどちょっと深い「けが」のようなものだ。

まさに、けがに置き換えてみればよくわかるのだが、上っ面の傷はすぐ治る。でも、

かなり深くすりむいた時は、化膿する確率も高くなるし、何といっても、

欠損してしまった真皮と上皮を再生させるか、肉芽で置き換えるか、しなきゃいけないので、

治るのに時間がかかる。それゆえ、一般に、性器ヘルペスの潰瘍は2~4週間で治癒するとされている。

 

『性器ヘルペスですね。』

「えっ、ほんとですか。」

『うん。きちんとした診断をつけるべきだけど、いつ感染したと思う?』

「たぶん3週間前だと思います。」

『そんで、2、3日前から、なんとなく赤くなって、水疱ができて、やかて、それが破けて、

傷みたいな痛みになってきたんでしょ?』

「まったくその通りです。」

 

性器ヘルペスとは、単純ヘルペスウィルスによる性器への感染症であり、ボクが所属する

日本性感染症学会でも、川名先生というヘルペスの大御所の先生がいらっしゃるのだが、

(産婦人科学会でも世界的に有名な先生です。)

もしこの先生が、いらっしゃらなかったら、我々日本人はみんな、性器ヘルペスにかかった時に、

どうしていいかわからず、自殺者続出、なんてことになっていたかもしれない。

かつて本当にそういうことがあったということも、聞いたことがある。

(確かに、30年位前は、現在の抗ヘルペスウィルス薬なんていうのはなくて、

性器ヘルペスの治療→ガンマグロブリン投与なんていう時代だったらしい。)

川名先生、ほんとうに、ありがとうございます。

 

さて、この性器ヘルペスの基礎知識ね。

まず、病原体である単純ヘルペスはその核型により、Ⅰ型とⅡ型に分けられる。

よく、Ⅰ型が口型Ⅱ型が性器型なんていわれているが、これだけ世の中オーラルセックスが

普通に行われていれば、ⅠとⅡの垣根はあまり重要でないかな。

でも、それぞれに特徴があるんだけどね。

 

次に、発症のパターンなんだけど、

 

初めて症状の出た人は、初発型

症状が出たのが2度目以降の人は、再発型

って言うんだ。

 

さらに、初発型は、2つに分けられて、

 

ウィルスが初めて体に入ってきた時は、急性型

以前にもうウィルスは体に入ってたんだけど、今回はじめて症状が出たぞっていうのが、誘発型

というのです。

 

ここでクイズです。

きょうの主人公のUさんのものは、

1、急性型

2、誘発型

3、再発型

どれだと思いますか?

 

と、クイズを出しつつ、次回へ続くのだ。

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ひとつのお話で、3話目になっちゃったよー。

ボクの話って、ちょっとくどいのかなー?

作風を変えた方がいいのかな?

次回以降、ちょっと考えてみますね。

 

それでは、続きを。

 

ボクは彼女におもむろに言った。

『Tさん。もしかして、おりものが、気になっていません?』

すると彼女は、少し頬を赤らめながら、

「なんで、わかるんですか?」という反応。

やっぱりそうだったんだ。ボクの目に狂いはなかった。

『じゃあ、これから婦人科の検査をしますよ。』

「え~。」

 

気持ちはわかるよ。

最初、泌尿器科的なことで来院して、治ったと思ったら、いきなり、内診台に上がれなんて

言われて。

やっぱり、女性としては恥ずかしいよね。内診台は。

 

でも、実際に診察してみると、外陰部には特に大きな問題はなかったものの、

膣内の状態は、予想通り、はかばかしくはなかった。

具体的には、膣分泌物は、黄色で中等量、膣壁は発赤し、

子宮膣部には、びらん(薄皮が一枚むけたようになっていることです。)を認め、

更に、頸管部分にも炎症を認めた。

この状態を正確に知るために、前回の尿の時と同じく、分泌物の培養と鏡検を行った。

(それ以外にも、クラミジアPCRと細胞診も。結果は膣分泌物からは、E.Coli「大腸菌」多数、

クラミジア陰性、細胞診ではクラスⅡ「炎症像あり」ってことであった。) 

 

検体をとり終えてすぐに見た分泌物の鏡検では、尿の時と同じように、桿菌が、背景にあたる

白血球の間に間に、おびただしい数で存在しているのがわかった。

 

『おそらく、一連の繰り返す膀胱炎の原因は、性器にあります。』

「ほんとですか~?」

『うん。やはりこれほどまでに繰り返す、膀胱炎は、どこかに病原体をキープする場所がないと、

原因の説明ができないでしょ?』

「それが、わたしのアソコってことですか~?」

『そうだよ。いま、診察しても、膣炎のような状態になっているし、膣の分泌物を顕微鏡で

みたら、おしっこの時と同じような、大腸菌みたいのが、いっぱいいたよ。』

「どうしよー。半年も、こーゆー状態だったのに。」

彼女は何か心配している。

『なんか、心配してるでしょ?』

「彼にうつしてしまったんじゃないかと思って。」

『そんなこと、気にしなくていいよ。だって彼は、何も言ってはいないんでしょ?

男性で大腸菌が原因で尿道炎起こす人って、うちでも年間に数えるほどだもん。』

 

ここまでの話で、読者の皆さんの中に、疑問を感じている方はいらっしゃらないだろうか?

逆に、感じていたらすごい洞察力ってことになるんだけど。

それは、彼女は大腸菌による膀胱炎で、5日間の抗生剤治療を行った。

しかもその膀胱炎は、ここ半年の間に8回も繰り返すほどのしつこさである。

原因はどうも、大腸菌による膣炎が、病原体の供給源であったみたいだ。

でもまてよ。彼女はすでに、抗生剤を飲み終えてるぞ。

抗生剤飲んでるのに、膣内に大腸菌が棲息しているなんて、おかしいぞ?

だって膀胱の大腸菌は死んじゃってるんでしょ?

 

まさに、ここなのだ。

ここで、結論づけてしまうと、抗生剤を投与した場合、それが膣内にいる細菌にまで、

到達するか、しないかは、ほぼ、その人の体質による、と言い切ってしまっていいのだ。

このTさんの場合は、膀胱内の大腸菌は抗生剤によって、死滅した。

でも、そんな状態でも、膣内にいる大腸菌は普通に生きながらえていたということになる。

もし、そうでない体質の方なら、膀胱・膣、同時に治療ができるはずなのだが、

彼女の(体質の)場合は、だめだった。

 

じゃあ、治療はどうするの?ってことになるのだが、これは、

婦人科的な古典とも言える方法でいくしかない。

『洗浄して、お薬を膣の中に入れるということを、何回か繰り返していけば、

膣内の細菌は死滅させることができる。そうすれば、8回繰り返した、膀胱炎とも

さよならだね。』

 

それから、彼女は約1週間、まじめに通院してきた。

やはり、午後1番目の患者さんとして。

 

そういえば、最後に彼女を診てから、もう半年以上経つが、

膀胱炎の再発は未だないようである。(と思う。)

もう、午後のカルテリストの最上部に彼女の名前が書かれることはなくなった。

 

 

さて、3話にわたってお送りしたお話は、ちょっと性感染ということからは、ずれましたね。

でも、こういった患者さんが多いのも、また事実。

ボクは、結局、性感染症だけでなく、その類縁ともよべる疾患すべてにおいて、

対応できるスキーム(粉ミルクじゃないよ。)を作り上げることが必要なんだといつも考えています。

もちろん、ボクが世界を救うためにね。ww

次回は、またSTDに戻ります。世魯誌句!(なんじゃ、こりゃ。)

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日本代表、だめでしたね。

最初の得点が、日本チームによるものだったので、ちょっと期待しちゃったボクがバカでした。

でも、一瞬の夢は見れましたよね。

ブラジル、ほんとにありがとう。あの1点をプレゼントしてくれて。

その優しさは、決して忘れないからね。

 

さあ、気持ちを切り替えて、きのうの続きです。

 

と、行こうと思いましたが、ひとこと。

先ほどボク宛に、m3.com からメールがきまして、ASKドクターなるサイトがあるから、

やりませんか?みたいなのが書いてありました。

早速、これは、ボク向きだと思い、性感染症撲滅へのステップにしなくては、と、

STDと戦うDr.という名で登録し、「どんな質問が、一般の方から寄せられるのかな?」

と、ページを開こうとすると、重い、重い。

これじゃー、無理だよ。せっかくやる気だったのにさ。

ちゃんと、してください。管理してる方は。

 

ということで、彼女は、再来の時もやはり、午後の一番目の患者として、現れた。

 

『症状の方は、どうなりましたか?』

「すっかりよくなっちゃいました。」

『でも、ここまでは、いつもと同じでしょ?』

「そうですけど。。。。」

『今回の検査結果では、あなたの尿1ml の中に、大腸菌が100万個いたということが

わかりました。通常、10万個もいると、かなりの自覚症状が出るんですけどね。』

「え~。100万個も~。」

 

彼女は、腰を抜かしそうになっていた。無理もない。

自分の尿のそれまた1ml のなかに100万個もの大腸菌。

ふつうでは、到底考えられない数だ。

しかも、ちょっと昔に、おしっこ健康法なるものがあって、いかにも健康そうなおじさんが

テレビに出演し、腰に手をあてがいながら、おしっこを一気飲みするなんていうのがあった。

その彼らのいいぶんの一つに、「おしっこっていうのは、無菌なのです。きれいなのです。」

っていうのがあったが、確かにそのとおりですよ、だからって、飲むっていうのもねぇ。

でも、その場合の菌の数は1ml 中に0(ゼロ)個っていうことだから、比較すると、

確かにすごすぎる。100万対0 だからね。

間違っても、初診時の彼女のおしっこは飲めるものではない。

ただし、かなり特殊な趣味をもった殿方なら、食中毒覚悟で

飲むことはできるだろうけど。。。

 

おしっこ健康法はこのくらいにして、その次の課題にとりかからなくては。

すなわち、

「なぜ、半年の間に8回もの膀胱炎を繰り返したのか?」という謎に迫るということなのだが。

 

今宵は、少々、話が長くなってきたのでございます。

この続きは、またの機会にいたしとうございます。

(たしか、こんなエンディング、何かであったな。)

次回、この話は第3話となってしまいますが、みなさん、あきれないで、ついてきてくださいね。

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みなさん、UPが遅れて、本当にすみません。

日本VSクロアチア戦から、なんだか落ち込んでいます。

確か、決勝ラウンドに抜けるには、2点差以上つけて、ブラジルに勝ち、ですよね。

あと何時間かしたら、始まっちゃうんですよね。

ジーコよ、頼む。ブラジル代表のユニホームを着て、3回ほど、オウンゴールしてくれ~。

マジで頼む。あなたなら、ブラジル国民もきっと許してくれるはずだ。

 

ということで、今日は、24歳Tさん♀のお話を。

 

午後の診療が始まると、すぐに新患であるTさんの名前が、電子カルテのリストの一番上にあった。

開いてみると、彼女の主訴は、

「膀胱炎のようです。」とのこと。

自分の病気が自分でわかってるんだー。と、その時はただ漠然と思っていた。

 

『今日はお小水が、おかしいんですか?』

「先生、私はこの半年、もう7回も膀胱炎になっているんです。」

『じゃあ、今回で8回目ですか?』(あたりまえじゃん!)

「そうです。友達の話を聞くと、膀胱炎っていうのは、癖になるっていうじゃないですか。」

『で、そのつど、どうしていたんですか?』

「お水をたくさん飲んだりして、治るときもありましたが、だめなときは、

近くの内科のお医者さんに診てもらったりしました。」

『その時、内科の先生は、どんなことをおっしゃってましたか?』

「膀胱炎ですね。薬を出しておきます。とだけ、おっしゃっていました。」

『どんな細菌がいたかということは、説明がありましたか?』

「それはありませんでした。」

 

ということだったので、ボクとしては、今回の膀胱炎はもちろん治し、その原因を

突き止めて、さらに、再発防止に努めなければならないという、使命を感じとったのだった。

 

今回のような場合、尿の細菌培養を行うのは当たり前だが、当症例では、尿沈渣

(採ったおしっこを試験管みたいな、スピッツと呼ばれるものに入れて、遠心機に入れた後、

底に沈んだものを顕微鏡で見る検査です。)

を見ておいたほうがいいと思われたので、やってみると、

いかにも大腸菌という、桿菌の集まりが、強拡大の視野いっぱいに見ることができた。

 

昨今、こういったふつうに見られる大腸菌でも、薬剤耐性が問題になる場合があるが、

今回の場合は、治療そのものよりも、そこから先の方が大事だと思われたので、

とりあえず、ニューキノロン系の抗生剤を5日分処方して、

『飲み終わったらすぐに来てください。注意事項として、1日2リットルの水分をとって、

薬は規則正しく、服用するようにしてください。』との指示を出して、その日の診察が終わった。

彼女は、2リットルという言葉に、さすがに戸惑いを隠せなかったが、

なんとか、飲んでやろうという、意気込みは、ひしひしと感じられた。

 

5日後、彼女が、再来した。

やはり、午後の1番目の患者さんとしてであった。

 

<すいません。体調が悪いんで、今回ここでやめちゃっていいですか?続くってことで。>

P.S.今回の症例は一見すると、泌尿器科領域の話に思えるかもしれないが、

このままで行ってしまうのか、それとも、性感染症とのオーバーラップを見るのか、

まさに、含みを持たせた、このエンディングに、ボクの拙い野望が見え隠れするのでした。

 

 

 

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