2009.02.09 12:46 |  仕事 / 職場  |  生活 / くらし  |  その他(一般)  |  三毛猫  | 推薦数 : 1

老いてなお…

気の利いた棚がみつからないので、自分で作ることにして、ホームセンターに木材や釘などを買いに行った時のことです。

いろいろ物色して、軽くて扱いやすそうな木材を買うことにしました。

いろんなサイズの木がほしかったのですが、あいにくぴったりのサイズの材木がありませんでした。

でも、家には手動ののこぎりしかないので、木をまっすぐに切る自信はありません。

それで、ホームセンターの木工室で、切ってもらうことにしました。

 

木工室へ行くと、70歳ぐらいのおじいさんが、一人で作業していました。

胸には「研修中」の札が下がっていました。

 

「ふうん、こんなお歳の方でも、研修中なんや…」

 

ちょっとびっくりしました。

私の前に依頼されたらしい材木を、ゆっくりゆっくり束ねて、どこかへ持っていこうとしているところだったのか、私が声をかけると、

「ちょっと待ってね。」

と言ったまま、しばらく戻ってきませんでした。

 

しばし、待たされて、とぼとぼとおじいさんが戻ってきました。

 

「これは半分に切って、これはあと5センチ切って…」

次々に言うと覚えられなくなって、おじいさんは、1回1回、切っては注文を聞き、という具合に木を切っていきました。

 

ビニールで包装されたその木材は、切るときにビニールが邪魔になるとかで、ひとつひとつはがしていかなけれなならなかったのですが、これまたおじいさんのペースでは、ものすごいゆっくりゆっくり、はがしていく感じでした。

 

おじいさんが木を切っている間、少しでも時間を節約しようと、私もいつの間にかビニールをはいでいました。

 

後ろには、もう一人、何かを切ってもらいに来たお客さんが待っていました。

子連れだったので、待ちくたびれた子供が騒ぎだしました。

それでも、おじいさんは、ゆっくりゆっくりでした。

 

やっと全部切れて、ラップで束ねてくれている間、

「何か作るの?」

と聞かれたので、

「あ、ちょっと棚を作ろうと思って…」

と答えました。

そしたら、おじいさんは、

「釘はどうするの?」

と聞いてきます。

「ねじくぎを買おうと思ってます。」

すでにカートに入れておいた細いねじ釘をおじいさんに見せると、

「それでは細いよ。木が柔らかいから負けてしまう。これにするといいよ。」

そう言って、見本用にねじ釘を1本くれました。

その上に、木を切る代金も、だいぶ値引きしてくれました。

 

ものすごく時間がかかったけど、実はおじいさんは、たぶん元大工さんか何かで、木のことはよく知っている人だと思いました。

本当は、あれくらいの年齢になれば、肉体労働はほどほどにして、これまで蓄積した知識や知恵を生かした仕事ができればいいのになあ、大変だなあ、としみじみと感じました。

 

おじいさんのアドバイスに従って、ねじ釘を変えたおかげで、無事に希望通りの、しっかりとした棚が完成しました。

木を買うのに少々時間はかかりましたけど、あのゆったり、まったりした時間と会話が、かえってよかったなあと思うような出来事でした。

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