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2008.07.08 12:20 |  診療  |  仕事 / 職場  |  生活 / くらし  |  三毛猫  | 推薦数 : 0

スパイ

昔外科医をしていたころの話です。

外科と内科、整形外科、小児科の4科しかない小さな病院に勤めていたことがありました。

外科医は4人でしたが、一人は院長先生だったので、実質3人ですべての外科患者さんを診ているようなところでした。

 

ある日、70歳ぐらいの男の人が入院してこられました。

病名は忘れてしまいましたが、とても背が高いのにやせっぽっちで奥目の、なんだか人体の骨組みがそのまま姿になっているような風貌の人でした。

 

あまりしゃべらないし、愛想もよくないのですが、毎日ベッドサイドに回診に行っているうちに、ぼそぼそ話をするようになりました。

 

なんでも戦争中にソ連にいて、スパイ活動をしていたそうです。

 

「え~っ、スパイですか???」

 

スパイと言えば007です。

ジェームスボンドのイメージしか持たない私は、その地味なおっさんがスパイだと言われても、にわかには信じられませんでした。

奥目のおっさんが言うには、集団で隠れるように生活し、諜報活動をしていたんだとか。

食事は黒パンと野菜のスープ…

そんな話を聞いた覚えがあります。

 

極寒の地で、黒いコートをはおって諜報活動をしているおっさんの姿を想像し、若いころは結構カッコよかったんちゃうん…と想像力を働かしてしまいました。

 

院長先生に、

「あの方、ロシアでスパイされてたんだそうです。」

と誇らしげに言ったら、

「そんなもん、どうせ下っ端のスパイやろ。大したことないわ。」

で終わってしまいました。

 

医者をしていると、いろんな経歴をもつ患者さんに出会うものですが、スパイをしていた人に出会ったのは、さすがにこれが最初で最後でした。

まあ、下っ端かもしませんが… スパイはスパイですから!

 

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