今日の話題は、高校生の「夜の生活」です。
産婦人科の先生方なら、高校生ぐらいの女の子の性生活について、日々接点があるんだろうなあと思うのですが、昔外科医をしていたころは、めったにそういうことに遭遇することはありませんでした。
たった一度だけ、忘れられないケースがありました。
ひどい交通事故で、10代の若者が3人担ぎ込まれました。
運転していたのは18歳ぐらいの青年だったと思います。
助手席に乗っていたのが、その青年の恋人で、後部座席にその女の子の女友達が同乗していました。女の子たちは、二人とも16歳でした。
運転していた青年は、骨折などの外傷が中心で、整形外科に入院。
助手席に乗っていた女の子は、脳挫傷で意識不明の重体。いったん外科に入院しましたが、外科では見きれないと、ほどなく脳外科へ転科しました。
後部座席に乗っていた女の子は、不思議に軽症で、なぜここまで差が出るのかと首をかしげるほどでした。
痛みのあるところはレントゲンで検査して、血液検査も行いましたが、その時点で大きな外傷もなく、念のための入院となりました。
しきりに、友人の女の子の容態を心配していましたが、私の口からはとても話すことはできず、「他の科で治療を受けている」ことを理由に、詳しく話しませんでした。
翌日、回診で女の子のベッドサイドに行ったとき。
身体の痛いところはないか、少し貧血があるようだと話しました。
その時、彼女がこう言ったのでした。
「先生、3日前に中絶した・・ お母さんには言わんとって!」
出血の有無を尋ねると、今のところ大丈夫とのこと。
産婦人科を受診させたいと思ったのですが、お母さんに知られたくない一心で、本人は強硬に拒否してしまいました。
医師としては、どんなに本人が嫌がったとしても、やはり首根っこをつかまえてでも、産婦人科を受診させるべきだった、と今になって思います。
しかし、当時は、どういうわけか、事故のショックもあるだろうからと、そっとしておくことにしました。
ただし、本当に出血があったら、かならず私に知らせるようにと念をおして。
その後特に変わった様子もなく、その子は数日で退院していきました。
医師でいる間は、人間の行動に、良し悪しの判断をしないように、人にはいろんな考え方、生き方があるのだと考えて診療にあたるようにしていましたが、10代の女の子が、すでに妊娠・中絶を経験しているという現実は、私にとってはかなりショックでした。
もっと自分の身体を大切にするよう、諭してやるべきだったのか、保護者であるお母さんに伝えるべきだったのか、今でもなお心残りです。
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