イージス艦が小さな漁船と衝突し、漁船は真っ二つに引き裂かれてしまいました。

漁船に乗って漁をしていた父子は、いまだに行方不明のままです。

 

朝早くから船を出し、ただ一生懸命魚をとっていただけなのに。

 

あんな重装備の軍艦が、周囲の安全確認を人間の目視で行っているということにずいぶん驚かされましたが、よく考えてみれば、どんなに機械が精密になったとしても、それを使うのは人間なのだということを、改めて思い起こさせられもしました。

 

私が産業医をしている工場でも、時々労働災害が起こります。そのとき、会社は原因を追究し、再発防止のための対策を講じます。

それでも、労働災害はなかなかゼロにはなりません。

 

そこには、それを使っている「人間」という一番不確定な要素がリスクとして潜んでいるからかもしれません。

普段安全には気をつけているつもりであっても、仕事が遅れていたりして気が焦ると、ついルーチンの段取りをすっとばし、結果としてけがにつながることがあります。

機械が不調のとき、わざわざ安全装置をはずして原因を調べようとして、けがをしてしまうことも意外と多いのです。

 

面倒くさい。

急いでいた。

あせっていた。

ぼうっとしていた。

うっかりしていた。

 

多くの場合、そういうちょっとした心の動き、感情で、安全から不安全の方向へと簡単に向かってしまいます。

 

今回の事故の原因はまだはっきりしていませんが、勤務交代の時間であったとか、ちょうど眠気におそわれる時間帯であったとか、そのような情報が漏れ伝わってきています。

やはり、業務に従事していた人の感情が何か影響したのではないか、ということが十分に予想されるのです。

 

その上に―

軍艦というのは、戦闘時を想定して作られているのだなとつくづく思います。

 

海上でドンパチやっているときに、漁船が横切ることはまずないだろうし、敵意をもって近づいてくる戦闘機やミサイル、弾丸などの鉄の塊にのみ神経をとがらせておればいいのですから、当然レーダーなどの機器の能力が大いに役立つのでしょう。

 

平和な海で、商業活動や漁業活動に精を出している民間の船を確実にキャッチする装備が、意外と手薄なのではないかと思えるのです。 

 

戦争中なら、ひょっとしたら、仮に漁船とぶつかって漁船がち没してしまっても、そんな危ない所に出掛けて行った漁船が責められはしても、軍艦にはおとがめはないかもしれません。

 

重量で千倍の差がある船どうしの衝突から、いろいろなことを考えさせられました。

 

一生懸命に漁をしていた父子。

どこかに流れ着いて助かっていてほしい、と切に願っています。

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