研修医3年目のころ、12月31日に当直をしていて、腹部大動脈瘤破裂の患者さんが運ばれてきたことがありました。
数日前に腹痛で地域の診療所を受診して、確か胃腸炎などのような診断でしばらく様子をみられていた患者さんでした。
到着したときは、血圧も下がっており、当然ながら緊急手術となりました。
70代のおじいさんだったと記憶しているのですが、なんとか人工血管をつないで手術を終えたと思います。
いえ、私が執刀したわけではありませんが。
ペーペーのわたしにできることといえば、大急ぎの術前の検査、麻酔科医への依頼、指導医の呼び出し、輸血の手配、手術に必要な手続き全般。
外科部長が到着して、私と直属の指導医と3人で、大晦日の夜を手術室で過ごしました。
麻酔科医は若い先生で、中心静脈ラインを取るのにちょっと手間取りましたが、あとは無難に麻酔をかけてくれました。
看護師さんもしっかり機械出しをしてくれたし、外回りの看護師さんもばっちり仕事をしてくれました。
夜間の緊急手術となると、スタッフは皆気が立ってイライラしがちですが、大晦日ともなれば、なんとなく一同団結してがんばっている、という雰囲気でした。
患者さんの肺機能があまりよくなかったことと、血圧が下がってからの手術だったことで、術後、人工呼吸器から離脱することができませんでした。
ICUで、全身管理が始まりました。
今なら術後管理は麻酔科医が主体かもしれませんが、そのころはまだ、手術をした科の担当医が術後管理をしていた時代です。
元日は当直明けですが、手術をしたおじいさんの主治医である私は、帰るわけにはいきません。
というわけで、三賀日はめでたく病院で過ごしたのでした。
冬は血圧が上がるので、血管が破れやすいと上司から教えられました。
血管の緊急手術は、冬に多い、と。
おじいさんは、長く入院されていましたが、最後まで人工呼吸器をはずすことはできませんでした。
治療の甲斐なく最終的には死亡退院となってしまったのです。
寒いと血圧が上がります。
特に年配の方は、どうぞ暖かくしてお過ごしください。
そして、普段高血圧の治療を受けておられる方は、お薬を飲むのを忘れないように。
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