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2007.09.19 13:03 |  診療  |  生活 / くらし  |  その他(医療関連)  |  三毛猫  | 推薦数 : 1

あこがれの小児科医

小学生の頃にみていただいていた小児科医の先生がいます。

K先生は小柄な男の先生で、たぶんそのころ40歳代後半だったと思います。

とても温厚で、こどもにはいつも優しい先生でした。

手術をすることになって、一時的に外科に転科したのですが、手術前に、

「手術が終わったら何が欲しい?」

と聞かれました。

当時はやっていた、BeBeという指くわえ人形が欲しい、とおねだりしました。片方の親指がちょうどその人形の口にぴったりはまるようになっている、目の大きな人形です。

 

手術が終わって病室で目が覚めた時、枕元に、BeBeが置いてありました。

サーモンピンクのジャンパースカートと白いブラウスを着せられて、同じピンク色の帽子をかぶっていました。

今から思えば、たぶん私の親が手術前に、先生になにがしかのお礼をしたのだろうと思います。

当時はまだ、そういう習慣が許容された時代でした。

そのお礼の一部が、人形に変身した、というのが真相かもしれません。

でも、子供の私にはそんなことはかまいはしないのです。

大好きなK先生から、がんばって手術を受けたことのご褒美をいただいた、そのことが私にとっては大切なことでした。

 

その後大学を卒業して地域の病院に勤めていた時、専門病院から男の子が転院してきました。

手術の創部が感染し、専門病院で長く治療ができないとのことで、治療を引き継いだのでした。

実は、その子のお父さんは、K先生の病院の薬剤師さんでした。

K先生から直接その子のことをよろしくたのむ、とお電話をいただいたとき、担当医が私であることに気がつかれました。

主治医と患者であった遠い昔をなつかしみ、またこうして医師として話をすることの気恥ずかしさを感じました。

 

私が医師をめざしたのは、K先生に出会う前です。

でも、あこがれの小児科医であったK先生は、私のその後の人生に大きな影響を与えた人の一人です。

 

こどもの心は、乾いた砂に水がしみ込むように、成長期に出会う多くの人から影響を受けるものだな、と思います。

 

サーモンピンクは色あせて、洗濯をしてももとの鮮やかな色には戻らなくなってしまいました。

それでも、今でもその人形を大切にしています。

 

 

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