最近、精神面での健康状態に問題をかかえる労働者が増えた、と言われています。
実際に、産業医をしていても、実感として「多いなあ・・」と感じます。でも、実数として増えているのか、治療の対象となった精神疾患が増えたために、見かけ上増えているのか、そこのところはよくわかりません。
精神面での問題をかかえるきっかけは様々で、職場でのストレス、家庭での問題、など比較的はっきりとしている場合もあれば、よく原因がわからないことも時々あります。
今では多くの会社が、「職場のメンタルヘルス問題」対策に手をつけつつあります。
管理職向けのメンタルヘルス講習会などを開いているところもあります。
しかし、どんなに講習会で学んでも、メンタルヘルス問題への対応は、決してマニュアル化できないものだ、と日々感じています。
たとえば部下が「うつ病」にかかってしまった場合、よく相談があるのが、「どう接するべきなのかわからない。」ということです。
上司としては、思うように仕事がはかどらずイライラする一方で、本人をせかしたりしないようとても神経質になって、上司のほうが精神的に参ってしまう場合や、逆に無神経に何でも思ったことを言ってしまって、部下の具合がさらに悪くなる場合もあります。
私は、助言を求められた時は、
「相手の顔色をよくみて話をしてください。」
と言っています。文面では同じ言葉でも、お互いの感性や人間関係によっても、受け止められ方はかなり違ってくるからです。
たまに、この、「相手の顔色をよくみる。」ことができない上司の方がいます。いったん部下が心の病を抱えると、完全に専門家まかせになって、いっさい自分は関与したがらない上司です。
こういう上司の方というのは、たいてい日常業務の中で、部下のことをよく知っておこうという努力をしていないことが多いです。
だから、部下が心の問題をかかえると、自分の言動が部下にどう伝わるのかがわからず、
「さわらぬ神にたたりなし」状態となってしまうのかもしれません。
そういう上司に対して、部下のほうもあまり信頼感を持っていないことがほとんどです。
最近は飲み会にも出てこない若者が増えて、仕事以外でのコミュニケーションをとる場が少なくなっていることも、部下を知る機会が減った原因の一つではあるでしょう。
また、電子メールが会話に取って代わられるようになり、ふとした会話の中でできる雑談も減ってきているのかもしれません。
極端な場合には席がとなりどうしでも、メールで連絡をとったりしていることもあるようです。
横綱朝青龍と高砂親方の関係は、私が日常的に目にしているいまどきの上司と部下の関係によく似ている、と思います。
ふだんから、上司と部下の何気ない信頼関係を築いておけるかどうか、大げさにいえば、リスクマネジメントの一つではないだろうか、と感じています。
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