2007.07.25 12:29 |  診療  |  仕事 / 職場  |  その他(医療関連)  |  三毛猫  | 推薦数 : 1

アルコール依存症の経験-3-

職場の健康診断で、肝機能がひどく悪くなっている30代のDさんを、個人面談にお呼びしました。

部屋に入ってきたとき、顔が土気色で生気がなく、私の質問にも、無表情のままぼそぼそと小さな声で答えます。

その答えも、単語をただ並べただけのような言葉だったので、コミュニケーションをとることにとても困難を感じました。

Dさんの言葉の断片をつなぎ合わせて、何とか、最近通院中で、近々また外来を受診することになっている、ということがわかりました。

 

こんな状態で仕事を続けさせるのは問題がある、と思ったのですが、主治医からは仕事を休むようには言われていないと言うし(・・本人が言っているだけなので、本当のところはわかりません)、また近いうちに外来を受診すると言うので、

「必ず担当の先生に、ちゃんと診てもらってくださいね。」

と念をおして、その日の面談を終えました。

 

それから数日後、Dさんは、自宅で倒れているところを発見されました。救急車で運ばれたのですが、搬送先の病院で息をひきとったのです。

Dさんは独身で、アパートで独り暮らしをしていました。自宅で具合が悪くなったときに同僚に電話をかけようとしていたそうです。でも、電話口で言葉を発することができず、とにかくその同僚の方がDさんの自宅へ直行し、倒れているDさんを見つけたとのことでした。

 

あとから聞いた話では、Dさんは職場で後輩からも慕われていて、とても面倒見がよかったのだそうです。でも、ふだんからお酒をよく飲んでいた、ということでした。

なぜ身体をこわすほどお酒を飲むようになったのかは、誰もわかりませんでした。

本当に、まるでろうそくの火がすーっと消えるように、静かに亡くなられたという感じでした。

 

私がずっと心残りなのは、個人面談のときに、半ば強制的にでもすぐに病院を受診させて、入院治療でも何でも受けさせればよかったんじゃないか、ということです。独り暮らしの家に帰してしまったことが、結果的にDさんの死を招いてしまったんじゃないか、と。

 

でも、相手は分別のある大人です。

 

どこまでを自己責任としていいのか、今でもずっと結論が出ないままです。

 

 

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