た、狸が梨食ってる!!
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ある夜中に、「腹痛い、すぐ診てくれ~!」と50歳ぐらいの男性が、救急室に飛び込んできました。あまりの勢いだったので、アッケに取られていたらとにかく痛がるので、・・

 

「いつからですか?」

 

「痛い痛い!」

 

「夕飯食べてからです。」と奥さん

 

「サバの刺し身です。」

 

「エッ。しっかりお酢でしめてありましたか

 

「ちょっと生っぽかったかしら。脂がのってておいしかったんですよ

 

これは間違いない!「アニサキス」だ。すぐに内視鏡の準備をして、始めてもらいました。

確かに胃カメラで胃の壁にもぐりこもうとして居る、アニサキスが見つかり取り出してもらった所、ウソのように痛みが引きました。

 

「すっかり楽になりました。そのアニサキスって何ですか?」

 

よくぞ聞いてくれた!と内心で思いながら・・・

 

「アニサキスは、サバや鮭についている寄生虫です。」

 

「エッ!」

 

「加熱調理したり、酢でしめたり、冷凍した後ならば大丈夫です。」

 

「食えなくなるなぁー。」

 

「ちゃんと調理したら大丈夫ですよ。それに、よく噛めばさらに大丈夫だそうですよ。」

 様子観察で入院してから、サバ料理のレシピについて話をし、退院の時には、サバの味噌煮が食べたいと帰って行きました。

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2007.06.20 00:03 |  診療  |  仕事 / 職場  |  その他(医療関連)  |  た、狸が梨食ってる!!  | 推薦数 : 2

虫刺されー2

 前回に引き続き虫刺されです。

 

 ある年、梅雨の晴れ間のむし暑い日、呼吸が苦しいから診てくれと電話が入って、10分後に受診した70過ぎのおじいさんが受診しました。

 全身状態を診てみると、熱は38度以上、SpO2 90%、呼吸30回、血圧150の85、脈拍120回でした。

左右の肺に雑音が聞こえたのでレントゲンを撮ったところ、肺炎ではあるものの少し気になるところがあったのでさらに詳しくCT検査をしました。

すると、肺の一部が壊れ大きな袋になったところに痰が詰まった画像がみられました。いわゆる肺気腫の状態です。

 

 肺が壊れるのは色々原因がありますが、初診でしたので訊ねてみました。

 

「タバコは、吸われますか?あるいは以前に吸っていましたか?」

 

「ワシャ、タバコ何ぞ一度も吸っとらん」

 

ありゃ、ヘビィ・スモーカーに多いのになぁ。

 

「炭鉱とかで働いたことはありますか?」

 

「ワシャ、ずーっと百姓ジャ。」

 

「寒い地方にいたことはありますか?」

 

「ウンニャ西日本じゃ。」

 

はて、職業・環境とはちょっと違うかも、と思い質問内容を変えてみました。

 

「いつから、苦しくなったのですか?」

 

「ここ1、2週間のことじゃなぁ。」

 

「何か苦しくなる前変わったことがありましたか?」

 

「ばあさんが死んでナ、一人になったのを機会に、こっちの姪っこの家のそばへ3週間前引っ越してきたんじゃ。」

 

「はぁ。」

 

「そしたら越した家が、虫が多くて殺虫剤をスプレーで撒いたんじゃ。それでもようけ出てきよるから、面倒になって自分の身体に殺虫剤をスプレーしたんじゃ。」

 

「えっ!どれくらい撒いたのですか?」

 

「新品の缶2本いっぺんじゃ。さすがに虫も近づかなくなったぞ。」

 

「そりゃ、そうかもしれませんがねぇ。あのねぇスプレー缶の中の成分には、溶剤が一杯入っていて肺に良くないのですよ。」

 

「注意書きに、人体に向かって噴霧してはならないとか部屋の換気を十分にとか、書いてあったでしょ。」

 

「そんなもなぁ、小さい字じゃったから読んどらん。」

 

「入院して治療しましょう。」

 

 「分かった、徹底的に治してくれや」 

 

入院して治療して、メキメキ良くなってきました。退院しました後もしばらく検査し、日常生活に影響はない程度に落ち着きました。

 

 まさかと思ったことが起こるのもコンビニ救急か、ともおもいます。

 

くれぐれも使用説明書をお読みください。

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2007.06.16 05:25 |  診療  |  仕事 / 職場  |  その他(医療関連)  |  た、狸が梨食ってる!!  | 推薦数 : 2

虫さされー1

 関東地方も梅雨入りしました。しばらく梅雨のうっとうしい空が続くと思うと・・・でも今年はカラ梅雨らしいとも聞いています、夏の水不足が心配です。

  この季節は、ハエや蚊等虫達とつきあいの深い季節です。夏、特に梅雨のころから虫さされでコンビニ救急を訪れる人が急増します。何でもない時には、虫さされごときで病院なんてと思うでしょうが、自分が当事者になると結構あせるものです。

  蝶々がきれいで追いかけていたら、鱗粉が目にはいって両目が見事に開けられないくらいに腫れて「みえない!みえない!」と大泣きして受診してきた幼児。

  家庭菜園の毛虫取りをしたら、毛虫の復讐か手の甲と腕に乗って、その後が真赤に腫れ上がってしまった主婦。虫に関連する患者さんはよく受診します。

  以前、梅雨のある夕方、しとしと雨が降り、じめじめした天気の日曜日。

「当直の日曜日の雨降りは何か嬉しいな。」 

「どうしてです?」

「だって、こうやって仕事をしている時に、良い天気で遊びに行っていたりしたらうらやましいモン。この天気じゃ外に遊びに行けないだろ?」

「そんなこと言っていたら、罰当たりますよ。」

「大丈夫だよ。」

 ちょっとだけなんとなく不安になっていたら、夕方になってから・・・救急隊より要請の電話がありました。

「15歳男性、蜂に刺された後の呼吸困難です。収容可能ですか?」

「可能です、バイタル教えてください。」 

「血圧90の50、脈拍130、SpO2 90%のため酸素3リッター投与で97%まで回復しています。」

「呼吸状態どうですか?」

「喘息様の喘鳴が聴かれます。」

「後5分で病院到着します。」

「気をつけてきてください。」

約5分後到着したので、車内に見に行くとストレッチャーに座ったままの状態で酸素マスクをしていました。

「わかる?病院に着いたよ!」

コックリとうなずいたのでちょっと安心。すぐに救急室内に収容し聴診してみると、連絡で想像していたよりも重症で、すぐに吸入、点滴を開始しました。幸い割合速く反応し、吸入が終わるころには楽になって、話ができるようになってきました。

「少し楽になってきました。」

「何処を虫に刺されたの?状況を話してくれる?」

「ふろに入って洗濯物の束から自分の下着を出したらいきなり右手の甲を刺されました。」

「どんな虫?蜂?」

「叩き殺して持ってきました。」

と見せてくれたのは、アシナガバチ。

「今までに刺されたことありますか?」

「小学校の時に一度あります。」

「症状その他から、アナフィラキシー・ショックと思われます。」

「何ですか?それは?」

「激烈なアレルギー反応の一種です。もっとひどければ窒息するところでした。以前に蜂に刺された時に、からだの中の免疫機能が蜂の毒を覚えておいて、次に入ってきたものに対して、排除しようと強烈に反応し過ぎることで喘息様の発作が起きるんです。」

「防ぐ手立てはないのですか?」

「とにかく蜂に刺されないこと、もし刺されたら症状が軽くても病院を受診してください。」

「わかりました。」

元々アレルギー体質だったとのこと、くれぐれも気をつけるようにと話して念のため入院としました。

今は、自分で治療薬のアドレナリンを打てるようになりましたが、その後受診が無いのでどうなっていることやら、、、

 

便りが無いのは、無事な証拠と思います。

 

くれぐれもお気をつけあれ・・・  

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2007.06.11 14:24 |  診療  |  仕事 / 職場  |  その他(医療関連)  |  た、狸が梨食ってる!!  | 推薦数 : 2

向き合う

 前回アップした、記事にいただいたコメントの中で「友人が白血病になったがどう接したらいいかわからない!!」とご質問をいただきました。直接メールするつもりでしたが、そのころ、わがコンビに救急にがんの末期患者さんが搬送されることが続きました。お答え記事を書こうと四苦八苦していましたが、とりあえずアップしてみました。あくまでも私「た、狸が梨食ってる!!」の個人的見解です。

 

「救急隊から、搬送依頼です。先日紹介状を持って狸先生にご相談した患者Aさんが、痛みがひどく眠れなくなったとのことです。」と事務から電話。
「この前から聞いてるからイイですよ。」と返事。
とはいうもののかなり気が重いのですが逃げられません、内心は「どうしてあげたらいいのか???」と自問自答している状態です。

そのうちに救急車が到着搬送されました。すでに専門病院にて考えられる治療はやりつくされ、現在は、本人の意志で緩和ケアを自宅で受けている状態です。今回は、両下肢が麻痺してうごかず、しかも、痛み・しびれが強く身の置き所がないとのことで、何とかしてほしいと搬送されました。

 

訴えが激しいので入院して神経ブロックと鎮痛剤にて治療を開始しました。持続時間を調べながら治療を続けていく予定でした。
すると数日して、悩みの底に沈みました。持続時間が一定でないのです、もちろんいろんな要因があり一概に言えないのですが治療が効いているのか聞いていないのかわからなくなりました。

 

本人に尋ねると、昼間は大丈夫だが、明け方午前4時ごろから午前6時ごろが一番痛いとのことその間は何をどうやってもだめで、足をマッサージしてもらうのが一番効果的とのことでした。キット痛いのでしょうが、どうも医学的なことだけではないようです。本人家族とよく話し合い総合的に対処できるホスピスに転院となりました。

 

一般的にがんの患者さんは何がつらいって一人っきりがつらいといわれています。今私の知っている医療では、心の襞までは踏み込めません。正直無力です。せめて、心のケアの対応をしてくれる専門家を紹介することがせいぜいです。あるいは身内もしくはそれに順ずる人ががんの末期になったときには、そばにいることぐらいしかできません。「こうしたら?ああしたら?」はその筋の専門家がやってくれているでしょうから無力です。

 

答えになりましたでしょうか?とめどない話ですみません。
今回のケースは、個人のことが書かれていますので突っ込まないでください。

 

もうひとつ、この患者さんには彼女がいて、病気が発見されたときからズーット寄り添って可能な限りそばにいるそうです。彼女がいるから患者Aさんは自分を必死に保っているのでしょう。病気と向き合う人、またその人と向き合う人、その逃げない姿は神々しくさえあります。いろんな事件があり人間なんて、、、と思ってしまいがちな世の中ですが決して捨てたもんではない、すばらしいと思います。

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