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春先は、いろいろな配置転換があったり、各職場に新人が配属されたり、結構ストレスの多いことも多いのです。いろいろなストレスが原因の病気の患者さんもコンビニ救急にかつぎ込まれたり、受診したりします。
ある日の夜、救急隊より連絡が入りました。
「19歳女性、意識混濁、興奮しております。後10分で到着します。」
「状態はいかがですか?」
「血圧130の70、脈拍110、呼吸速くて測れません。」
「紙袋をあてて来てください。」
「わかりました。」
いざ到着してみると、救急車のなかから紙袋を被せられた女性が、ストレッチャーで運ばれて来ました。興奮した面持ちで何か言っているのが分かりました。どうも自宅からだったようで、親御さんが救急車に同乗して来ました。
「病院着きましたよ、お名前は?」
「く、苦しい、死んじゃう!手が固まって動かない!」
確かに手は、助産婦位と言って小さく折り畳まれたような形になっていました。
「今までに、こうなっちゃった事はありますか?」
ハアハアした息をしながらコックリとうなずきました。
「落ち着いて焦らないで、ゆっくり呼吸しましょう。」
「で、できない!」
「大丈夫、一緒にやりましょう。ハイ吸って、ちょっと止めて、ハイ吐いて。」
紙袋を当てながら、看護師さんがリズムを取ってくれ徐々に落ち着いて来ました。採血して調べて見ると、過換気症候群に間違いありませんでした。
安静にして一眠りしてもらうと大体おさまりました。やれやれと思って、親御さんに聞いてみると、この春就職したものの年長者の上司・同僚との対人関係がうまく行かなくて悩んでいたとのことです。そのことを親子でいろいろ話し合いをしているうちに、どっちも興奮してきて言い合いになってしまったとのこと。
「どんな事ですか?差し支えなければ?」
「いや~、まぁ」
話したくない様子、なので深追いせず
「そうですか、一足飛びにすっきりはなかなかしないですから親御さんも焦らないで…」
過換気症候群は、なんらかの理由で浅い呼吸を頻回繰り返すことで、からだの中の二酸化炭素が出過ぎてしまいバランスが崩れ、パニックになる状態です。
思春期の女性に多いと言われていましたが、最近はそうでもありません。年齢性別に関係なく、パニックになると起こりやすいようです。
急性の胃腸炎を患って、嘔吐を繰り返しているうちに手がシビレてれて来て救急搬送された壮年の男性。
夫婦ゲンカの末、興奮してまくし立てているうちにけいれんを起こして大騒ぎになり救急搬送された60才台女性。
ある時はカレー専門店から「けいれんを起こした!」と連絡が入り、救急搬送された男子大学生がいました。搬送時にはけいれんは収まっていましたが、症状は過換気症候群です。おかしいなと思って同行して来た友達に訊ねると、
「どうしたのですか?」
「カレーを食べているうちに、けいれんを起こしたのです。何か成分に当たったのではないでしょうか?」
「どんなカレーを食べたのですか?なまものでも入っていたのですか?」
「いいえ、ただ20倍の激辛カレーに挑戦すると言って注文していました。」
「もともと、辛いモンは、好きなのですか?」
「いいえ、辛いものは苦手の方でした。新入生に根性みせたる!といって食べ始めたのです。」
「食べている時はどうでした?」
「熱い、辛いとヒーヒー言って食べていました。止めるようにとめたんですが、意地張って全部食べちゃって、、、」
そのうちに紙袋が効いたのか、落ち着き始めたのでしばらく休んだ後に帰宅しました。
春先独特の大騒ぎでした。
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