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寒くなってきました。冬ですねぇ。冬といえば、特にお正月中心に、新聞に「お餅による窒息で亡くなる!」という記事をよく目にしますが、いざ目の前にすると、・・・
ある年の暮れ、12月30日の朝、当直のため出勤する途中で何軒かの家の庭で餅つきをしていました。
「正月準備かなぁ、うちの準備大丈夫やろか。」等とほのぼのした気持ちで仕事に入りました。
「餅つきしてる家があったでぇ、今年も終わりやねぇ」
「何言ってんですか、発熱している人が一杯いるんですから、てきぱきとした、診察お願いしますね。」
「はい、はい。」
診療を初めてようやく一段落したところ、救急要請!
「86才男性、お餅を詰めて窒息とのことです。」
「受け入れOKです。今どんな状態ですか?」
「血圧は150の90、脈拍は110、サチュレーションは、酸素8リッター投与下で85%です。口腔内から大量の餅が取れました。」
「意識レベルはいかがです?」
「300です。後5~10分で到着します。」
準備を整えているところへ到着。
車内がチラとみえたら、あれ!心臓マッサージしてる!
「どうしたの?」
「到着直前に脈が触れなくなって、蘇生開始しました。」
「お餅は全部取れたの?」
「届く範囲は取れたと思います。」
「すぐに、救急室へ、気管内挿管!それから、ライン確保もお願い。」
「挿管用意できました。」
「ライン取ります。」
てきぱき動く看護師たちに急き立てられるように、処置を始めました。気管内挿管し、バッグで換気を始めると妙にかたい。
エッ、食道挿管してしまったか!
中を覗いて見ると、確かに気管内にチューブははいってました。となると、・・・
「気管支鏡もって来てぇ!」
とにかく中を見て見ないとはっきり分かりません。ただチューブを入れて少しずつでも換気できるおかげか、気管支鏡を用意している間に自己心拍が戻って来ました。
「よかった、まず戻った、次だ。」と用意して気管支鏡検査をしたところ・・・
いつもなら気管の内腔が見れるのに、気管内チューブの先端からは、
白い壁が・・・。
「気管全部に餅が詰まってる。!」
「えっ!」
スタッフ一同たまげました。
「全部取らにゃあ、また止まっちゃう。」
モニター係、バッグを押す係、気管支鏡の介助係と役割を決めて、処置を始めました。細かいお餅を吸引で先端に張り付けては抜いて、という作業を繰り返しました。
不思議だったのは、細かいお餅が合計30数個詰まっていたことです。
「このおじいさんが、お餅をこんなに細かくできるものかな。歯が無いのになぁ。」
ほぼ取り切れて、お餅の破片が気管内腔に一部こびりついているだけになりました。レントゲンを撮って病室へ入院し、引き続き肺炎の治療をする事としました。
家族に「お餅は、ほぼ取りましたが、この後肺炎になることが必発ですので、入院して治療しましょう。」
「どうでしょうか?」
「肺炎は重症ですが、できるだけのことをしてみましょう。」
「ところで、お餅の量が結構多かったのですが、どういう風に食べてましたか??」
「もともと、お餅が大好きな人で、つきたてのお餅をまず、じいさんに食べさせてやりたくて・・・、もうかなりボケてきているのでつめたらいけないと思って、細かくちぎって、ちょっとずつ食べさせていたんです。」
「はぁ、」
「ちょっと食べたので、もう良いかと思って口に入れるのをやめたとたん、両手で鷲掴みにして餅を口の中に詰め込み始めたのです。」
「はぁ?」
「そしたらこんな事になってしまっ・・・」
「とりあえず、詰まってた餅はほぼ取り切れましたが、これがきっかけになり、肺炎を起こすことが考えられます。また心停止となりましたので、意識の回復に後遺症が残るかも知れません。このまま入院して治療しましょう。」
さすがに小さくちぎった餅が、実は大変だったとは言えず、入院治療を開始しました。
大きな餅の固まりなら、家庭用掃除機で取れますが、小さなものだと奥に入ってしまって逆に大変なことになり得ます。
ご注意を・・・
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